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2019/3/6 21:30

プロが選んだブランド別定番スニーカー5選【リーボック編】――ハイテクスニーカー界に革命を起こした絶対王者

日々新しいトレンドが生まれては更新されていく、現在のファッションシーン。中でもスニーカーのトレンドは、恐ろしいほどに目まぐるしく流動的で、追っかけるのもひと苦労。だけどその都度新しいモデルを買い足していけるほど、財布にもクローゼットにも余裕はない。じゃあ一体、ファッションスニーカーは何を買えば良いのか!?

 

そんな大いなるテーマに答える絶対の真理が、ひとつだけ存在する。それは「定番モデル」。というわけで、スニーカーシーンの代表的5ブランドから、それぞれが誇る定番中の定番モデルをご紹介。第5回目は、イギリス生まれアメリカ育ち、多くの革新的技術を排出してきたハイテクスニーカーの申し子、リーボックです。

 

リーボックの起源は1895年、イギリス人陸上選手ジョセフ・ウィリアム・フォスターにより開発・発売された、世界初の陸上用スパイクシューズにまで遡る。その後『J・W・フォスター社』を設立し、引き続き陸上スパイクを手掛けていく中で、多くの世界記録樹立や金メダル獲得に貢献。1958年に社名を現在の『リーボック』に変更した後、70年代後半に本格的に米国へ進出すると、1982年に発表した史上初のエアロビクスシューズ『フリースタイル』で驚異的なヒットを記録。晴れて世界トップレベルのスポーツカンパニーへと成長を遂げる。

 

1984年には当時米国での販売権を持っていたポール・ファイヤーマンにより買収され、完全なる米国企業へ。その後も躍進は止まらず、『ポンプ』システムや『ヘキサライト』、『DMX』など、無数の革新機構を発表。そして1994年にはスニーカー史に残る金字塔、『インスタポンプフューリー』をリリース。つまりリーボックの歴史は、まさに革新の歴史なのだ。そんなスニーカー界のエポックメーカーから、スニーカー事情に造詣深い編集ライター・ヤマモトサトシ氏のコメントの下、5足のド定番モデルをご紹介していきます。

 

【解説】

ヤマモトサトシさん

ファッションやアウトドア、ライフスタイル雑誌などで、スポーツ及びアウトドア関連のプロダクトを中心に執筆。シューズ選びで重視するのは“機能美”。どんなに優れた機能があろうとも、見た目が良くないと食指は動かず、その逆もまた然り。

 

[01]

90’sハイテクスニーカー界の絶対王者

リーボック

INSTA PUMP FURY OG

実売価格1万5000円前後

「今さら説明するまでもないと思いますが、90年代スニーカーブームにおけるトップ・オブ・トップモデル。すでに確立していた『ポンプ』システムを進化させ、空気室自体をアッパーの一部とした『インスタポンプ』テクノロジーによるデザインは、まさに革命でした。あのビョークがPVの中や雑誌のカバーなどで愛用していたことでも有名ですよね。そのおかげもあってか、レディースファッションシーンでも不動の人気を博し続けている数少ないモデルです。ハイテクスニーカーブーム終演後も、ポンプフューリーだけは廃れるイメージがなかった。如何に完成されたプロダクトなのかということの証明です」

 

[02]

宇宙科学由来の衝撃吸収を搭載

リーボック

AZTREK

実売価格1万1000円前後

 

「1992年デビューの長距離用ランニングシューズ。70年代後半に発売され人気を博していた傑作『AZTEC』をベースに、より堅牢なアッパーやラギットパターンソールなどのディテールチェンジで、オフロード仕様へとアレンジしたアップデートモデルです。ミッドソールには、NASAなどの宇宙産業向けにさまざまなハイテク素材を開発する『ヘクセル社』と手を組んで生み出された、当時世界最先端の衝撃吸収材『ヘキサライト』を内蔵。リーボックのエポックメーカーとしてのアイデンティティを封じ込めた1足です。92年モデルらしいレトロフューチャー的なカラーリングも、今のトレンドにマッチしそうですね」

 

[03]

あの天才デザイナーも愛したフューチャリスティックモデル

リーボック

DMX RUN 10

実売価格1万円前後

 

「ポンプフューリーがビョークなら、こちらはかの天才デザイナー、アレキサンダー・マックイーン着用モデル。デビューは1997年。97年といえばハイテクスニーカーブーム最高潮のころですが、そのフューチャリスティックなデザインは、当時のスニーカーシーンの中でも抜きん出て斬新でした。そしてこのDMX RUN 10にも、リーボックの革新技術が採用されています。それがスタイルネームにも冠されている『DMX・ムービング・エア・テクノロジー』。足が地面に接する度に、アウトソールに配されたエアポッド内の空気が異なるゾーンに押し込まれるという、言葉にするとなんだかよくわかりませんが(笑)、とにかくリーボックの歴史の中で外すことのできない1足であることは間違いありません」。

 

[04]

あえて時代に逆行した作為的なレトロモデル

リーボック

CLASSIC LEATHER

実売価格1万円前後

 

 

「90年代のハイテクスニーカーブームを彩った上記3足に対し、ここからはさらに年代の古いモデルをピックアップします。まずはその極めてオーセンティックなスタイルで、常に普遍的な人気を獲得し続けるレトロランニングシューズ、『CLASSIC LEATHER』。各社ナイロン×スエードなどのアッパーを用い、『より軽く、よりモダンなアイテムを』と躍起になっていた1983年に、あえてガーメントレザーアッパーを纏ってデザイン。それでいてアッパー以外のベースには当時の最新技術を詰め込んだ、ある意味とても作為的な1足です。結果、ランナーにもカジュアルユーザーにもヒット。清潔感あふれるオールホワイトがアイコンカラーです」

 

[05]

リーボック躍進のきっかけとなった傑作のメンズ版

リーボック

EX-O-FIT

実売価格8000円前後

 

 

「リーボックがまだ数あるスポーツメーカーのひとつでしかなかった1982年。当時隆盛の兆しを見せていたエアロビクスにいち早く着目し、アッパーに衣料用ガーメントレザーを用いてデザインした世界初のエアロビクス専門レディースシューズ、『FREESTYLE』。その目論見は見事に的中。社会現象と呼べるほどのスーパーヒットを記録し、リーボックを世界的トップブランドへと導いたターニングモデルです。そしてそのメンズバージョンとして1983年にリリースされたのが、こちらの『EX-O-FIT』。『FREE STYLE』のデザインアイコンでもあったダブルアンクルストラップは、よりシンプルなシングル仕様に変更。ボリューミーなのにスマートなシルエットは、ファッションアイテムとしても非常に利用価値の高い1足です」