ファッション
2019/4/29 18:00

【G-SHOCKクロニクル2】1990年代、ストリートが熱狂し空前のG-SHOCKブームへ!

1983年、“腕時計は貴重品”という常識を覆し、“壊れない”腕時計を具現化したのが初代G-SHOCKです。その初期角形デザインは5600系に受け継がれ、ELバックライト、タフソーラー、標準電波受信機能、さらにはマルチバンド6、スマホリンクへと、ほぼ同じサイズながら高密度実装技術の向上によって多機能化を果たしてきました。

 

ここでは、数回に分けてそんなG-SHOCKの歴史を振り返ります。今回取り上げるのは、1990年代のG-SHOCK。頑丈さだけでなく、ファッションアイテムとしても高い評価を受ける存在になりました。

 

ファッションアイテムとして国内のエッジィな人々が注目

G-SHOCKの認知度が低かった日本ですが、1990年に海外で発売された丸型モデルが転機となりました。その斬新なスタイルが米国西海岸のスケーターを中心に、初めてファッションとして取り入れられたのです。これに日本でいち早く気づいたのが、ミュージシャンや業界人でした。

 

さらに、G-SHOCKを着けた金髪のスケーターたちが日本のファッション雑誌で紹介されると、一気にブレイク。91年に勃発した湾岸戦争の米軍兵士や、ミュージシャンのスティングが装着していたエピソードが紹介されると、人気はさらに拡大していきました。国内出荷数は、90年が約1万本(3モデル)、91年が約3万本(5モデル)、そして92年には15万本(11モデル)を超えました。

 

空前の“G”ブームのなか初代角型の直系は着実に進化

1992年に温度センサーを初搭載したDW-6100を皮切りに高機能化が進み、多様なストリートカルチャーを取り込んでデザインの幅も拡大。イルクジ、ラバコレなどの限定モデルは、ファンの激しい争奪戦が繰り広げられました。

 

5600系も「スピードモデル」の愛称で人気を博しつつ、独自進化を続けた。そもそも5600系は耐衝撃構造に必要な最低限の肉厚であり、新技術の搭載には不向き。1994年に開発されたELバックライトも、5600への搭載は2年遅れです。人気を博したプロテクターの装備は、5600系のデザイン的な逆襲でもありました。

 

【G-SHOCK史/1990年代】ストリートが熱狂し空前のG-SHOCKブームへ

その1/1992年

DW-5600C-9B

海外仕様の発売から2年、ファンの要望に応えて日本では冬季限定モデルとして発売されたイエロー。同時にリリースされたマーブルバンドのブルー限定より、明らかに人気が高かったです。

 

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「色のバリエーション」

ファッション感度が急上昇!イエローGは必ずレア化!?

G-SHOCKの外装に使用される樹脂は着色しやすい素材。1987年に初めてイエローのDW-5600Cが発売されましたが、これは海外専売モデルでした。その国内仕様が誕生したのは1992年。その後も多くのカラーが生まれますが、イエローGは限定モデルとして出ることが多かったため、マニアの間で人気を呼び、レア化していくことが多かったです。

↑1993年に登場したボーイズサイズのDW-500C-9B。イエローは当時まだ珍しかったため、人気も高かったです

 

↑2種類の樹脂を交互に金属に流し込んで自然成型したDW-5600D-1は1992年に誕生。同じ柄は2つとして存在しません

 

その2/1996年

DW-5600E-1

ELバックライトの小型化が進み、初めて初期角型デザインにも搭載可能になりました。それまではミクロランプと呼ばれる豆電球のようなライトシステムだったため、十分な輝度が得にくかったのです。

 

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「バックライト」

液晶全体を均一に照らす高精度なライトシステム

ELバックライトとは、電圧をかけると発光するEL素子を利用した半透過反射型のライトシステムです。1994年に開発され、1996年にDW-5600E-1にも搭載されました。当初は直流を交流に変換して電圧を上げ高周波で光らせるトランス型でしたが、他パーツとの共振回避と実装面積の縮小のため、後にインバーター型へと改良されました。

EL点灯時に浮かび上がるグラフィックも話題に

当初はEL素子自体を2色で発光させていましたが、半透過反射板に印刷した絵を浮き上がらせるタイプへ進化。その後、スペーサー(絵柄を印刷したフィルム)式に変更されました。これならスペーサーだけで絵柄が変更できるため、小ロット生産商品にも対応できます。現在もこの方式です。

 

その3/1996年

DW-5600ED-8

プロテクターをグレーボディに合わせた精悍なスタイルがストリートで絶賛された。ファンの要望に応えて2014年にグレー、ホワイト、ブラックのプロテクター付きDW-D5600Pが復活を遂げています。

 

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「バンパープロテクター」

ストリートファッションシーンで熱く支持される

1987年に発売された角型の海外専売モデルDW-5600C-1Vにバンパープロテクターが初めて装備されましたが、これは日本未発売でした。国内で最初にプロテクターを備えたDW-5600EDが1992年にデビューすると、エクストリームスポーツ好きの若者たちの間で評判を呼びます。スニーカーやジーンズなどストリートファッションが花開いた1990年代、プロテクター付きG-SHOCKのスタイルもストリートシーンで熱く支持されたのです。

↑プロテクター付きモデルのイエローバージョン、DW-5600ED-9。ELバックライトも搭載していました

 

↑同じくプロテクターを備えたレッド仕様、DW-5600ED-4。 ELバックライトにはGマークが浮かびます

 

<1990年代のリミテッド>

愛をテーマにしたG-SHOCK&BABY-Gのペア「Gプレゼンツフェアリーズ チャーム」DW-5600VTは1999年発売。各色ともプロテクター付きでした。

 

1999年春にシリアルNo.入りのボールペンとセット販売された「G-SHOCK 1999プレミアム」DW-5600EGP-9T。ゴールドのロゴで高級感を高めました。

 

G-SHOCK10周年を記念して初代モデルを復刻

DW-5000Cの復刻版が1993年に1983本限定で発売されました。生産の関係で2000本作る必要があったため、あえて17本を壊したというエピソードが残ります。購入するには事前に抽選申込みが必要でした。

ゴールドの遊環にシリアルナンバーが刻印され、キーホルダーも付属。重厚なローズウッドのスペシャルケース入りで販売されました。