本記事では、スイス時計界で実力・知名度ともにズバ抜けた名門6ブランドから、話題の2020年ニューモデルをピックアップする。キーワードは、十年来続く「原点回帰」。本年は、時計界の堅実路線と符合して新たな復刻版が数多く登場した。GetNaviの兄弟誌である時計専門誌「WATCHNAVI」編集長・水藤大輔、時計ジャーナリスト・大野高広さん、本誌時計担当・青木のコメントともに紹介していこう。
歴史あるブランドの “名機の復刻”を堪能する
「長い歴史を持つブランドが過去の傑作アーカイブを復刻するのだから、人気を呼ぶのも当然です。各社にとって確かなセールスが見込めるうえに、復刻モデルで自らの歴史をユーザーにアピールできるから、まさに一石二鳥」(WATCHNAVI編集長・ 水藤大輔)
「新興ブランドもヴィンテージ調の新作を出していますが、やはりオリジナルモデルがあるかどうかが、決定的なリアリティの差となって表れていますね」(時計ジャーナリスト・大野高広 )
復刻の手法は、オリジナルへの忠実ぶりで二分できる。リアルな再現か、現代的なアレンジを加えているか。ここで紹介した新作ではオメガが前者、それ以外が後者。今期はアレンジ復刻が優勢だった。
【その1】BREITLING(ブライトリング)
創業年=1884年 創業地=スイス/サンティミエ
アイコニックな意匠を統合し航空時計がマルチパーパスに進化
クロノマット B01 42 ジャパンエディション
Ref.AB0134101B2A1
97万9000円
1984年に誕生した初代クロノマットから、ルーローブレスやライダータブ、左右対称ケースといった意匠を継承しつつ、マルチパーパス(万能)クロノグラフに進化。シルバーのクロノグラフ秒針が日本限定仕様の証だ。
SPEC●駆動方式:自動巻き●素材:ステンレススチールケース&ブレスレット●防水性能:200m●サイズ:Φ42㎜(厚さ15.1㎜)
【その2】HUBLOT(ウブロ)
創業年=1980年 創業地=スイス/ニヨン
ブランドのルーツが40周年で堂々復活
クラシック・フュージョン 40TH アニバーサリー チタニウム
Ref.511.NX.1270.RX.MDM40
97万9000円
高級時計にいち早くラバーストラップを取り入れた原点モデルを、創業40周年を機に復刻。同時発売の18KYG、ブラックセラミックに比べて、仕上げや意匠の美しさをシンプルに楽しめるのが、このチタンモデルだ。自動巻き。世界限定200本。
【その3】ZENITH(ゼニス)
創業年=1865年 創業地=スイス/ル・ロックル
幻のプロトタイプをモダンに再解釈
クロノマスター リバイバル “シャドウ”
Ref.97.T384.4061/21.C822
96万8000円
1970年の試作品を再解釈。当時は珍しかったステンレススチールのブラックケースを、マイクロブラスト加工のチタンケースで表現した。ニュアンスのあるマットな質感のダークグレーと軽快な装着感は特筆ものだ。自動巻き。5気圧防水。
【その4】IWC SCHAFFHAUSEN(アイ・ダブリュー・シー シャフハウゼン)
創業年=1868年 創業地=スイス/シャフハウゼン
シンプル&上品な意匠の原点が現代に甦った
ポルトギーゼ・ オートマティック 40
Ref.IW358304
79万7500円
6時位置にスモールセコンドを配した端正なダイアルは、1939年に発表された元祖Ref.325から受け継いだもの。時代を経ても色褪せない格調高いフェイスに、ブルーの色彩をスタイリッシュに取り入れた。自動巻き。
【その5】TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
創業年=1860年 創業地=スイス/サンティミエ
初代ホイヤー カレラのDNAをエレガントに受け継ぐ
タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ
Ref.CBN2011.BA0642
63万2500円
初代ホイヤー カレラからスポーツ&エレガントなデザインコードを継承。3時と9時のカウンターを強調したダイアルやプレーンなベゼルが特徴的だ。42㎜径の絶妙なサイズに、約80時間駆動の自社製自動巻きムーブを搭載する。
その6【OMEGA(オメガ)】
創業年=1848年 創業地=スイス/ラ・ショー・ド・フォン
伝説の初代Cal.321を 徹底してリアルに再現
スピードマスター ムーンウォッチ 321 ステンレススティール
Ref.311.30.40.30.01.001
166万1000円
月面着陸50周年の2019年、伝説のキャリバー321が復活。2020年には待望のSSモデルが発売されて話題に。外装は米国初の宇宙遊泳で使われた第3世代を踏襲しつつ、ベゼルは最新のセラミック製だ。手巻き。
【おまけ】バランスの良い40㎜前後が流行中
主張の強い44㎜径以上のラージサイズの人気が急減速。最近は小型化とスリム化が進み、装着感と存在感のバランスが良い40㎜径前後が主流となった。クロノマスター リバイバル“シャドウ”(上写真)は、37㎜径(厚さ12.6㎜)と小ぶりだ。
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