時計に限らず、製品の小型化という技術革新は、多くのメーカーが目指すところでしょう。腕時計の世界では、スイス時計界の名門ジャガー・ルクルトが1929年に開発したキャリバー101が、世界最小の手巻きムーブメントとしていまも名を残しています。このキャリバーの詳細と特異なエピソードをご紹介します。
エリザベス2世も戴冠式で着用したキャリバー101
自社で一貫して時計を製造できるメーカーを時計界では「マニュファクチュール」と呼び、特別な存在として位置付けれられています。ジャガー・ルクルトは、マニュファクチュールの代名詞的な存在として位置づけられていて、スイス時計界でも別格の技術力を有しています。
そのジャガー・ルクルトが1929年に開発したのが、「キャリバー101」。縦14mm×幅4・8mm、質量はわずか1gという極小の角型手巻きムーブメントでした。
キャリバー101の体積はわずか0・2立方センチメートル。そのわずかな空間に98個の部品を収納し、毎時2万1600振動で時を刻む手巻きムーブメントは、「時計界の奇跡」と称され、1953年にはエリザベス2世が戴冠式でキャリバー101搭載モデルを着用したといわれています。
ちなみに、そうした縁もあってジャガー・ルクルトは2012年、エリザベス2世の即位60周年(ダイヤモンドジュビリー)の記念式典に際して、オフィシャルタイムキーパーを務めることになりました。
誕生から85年以上経った今も世界最小記録を保持し続けるキャリバー101は、その緻密さゆえ専門の熟練職人のみが組み立てや調整を担当。1年間に製造できるのは50本のみとなっているそうで、現在は主にハイジュエリーウオッチに搭載されています。
【URL】
ジャガー・ルクルト http://www.jaeger-lecoultre.com/