ここ数年、リチウムイオン電池による発火・発熱事故がニュースなどで話題にのぼる機会が増えています。特に要注意と言えるのが、スマートフォンなどで使えるモバイルバッテリー。様々な用途で便利に扱える反面、製品選びや使い方にも気をつけなければトラブルにつながりかねません。

増え続ける事故を受けて、2026年4月には新たにモバイルバッテリーやスマートフォンが国の「指定再資源化製品」に追加される見込みです。今後はメーカーや販売店により、古くなった製品の回収・リサイクルが義務づけられることになるため、社会的な事故防止の流れも加速していると言っていいでしょう。
一方、モバイルバッテリーを取り扱うメーカー各社も、こうした事故防止の取り組みに力を入れています。モバイルバッテリーを販売する各社は、こうした状況をどのように受け止め、対策を取っているのでしょうか?
今回GetNavi webでは、国内でモバイルバッテリーを販売する5社にメールで取材を実施しました。質問事項は以下の3点です。
① 近年、モバイルバッテリーによる発火・発熱事故のニュースが増えています。昨今の事故についての率直な印象をお聞かせください。
②こうした事故について、メーカーとしてどのように防止の取り組みや対策を取られているのかを教えてください。
③モバイルバッテリーの事故防止に関して、われわれが普段の使用時や保管時に気をつけるべきポイントを教えてください。
さっそく、各社の回答をご紹介します。
Anker
① 近年、モバイルバッテリーによる発火・発熱事故のニュースが増えています。昨今の事故についての率直な印象をお聞かせください。
業界として取り組むべき課題であると認識しており、事故が起きる前に、不要な製品をどのように処分すべきか困っているお客様のためにも、回収とリサイクルにしっかりと向き合うべきであると考えています。弊社としてもお客様に安心してお使いいただける製品をお届けすることは大前提として、どのような点に気をつけてお使いいただきたいか等の情報発信にも注力して参ります。
② こうした事故について、メーカーとしてどのように防止の取り組みや対策を取られているのかを教えてください。
PSE等の公的な基準以上に厳しい自社の基準を設けて製造・検品しているほか、バッテリー自体にも多重保護機能や温度管理の機能を搭載しています。また、全国の直営店「Anker Store」ではバッテリーの下取り回収を実施。スポンサーを務めるスポーツチームと連携した下取りキャンペーン等のイベントも実施しております。
③ モバイルバッテリーの事故防止に関して、われわれが普段の使用時や保管時に気をつけるべきポイントを教えてください。
Anker Magazineにて気をつけるべきポイントをまとめた記事を公開しています。よろしければ、ユーザーの皆様にもご確認いただけますと幸いです。
・モバイルバッテリーの安全な使い方と取扱いにおける注意点
・夏場にモバイルバッテリーを使用する際の注意点
・モバイルバッテリーの車内放置は危険です。知っておきたい、その理由と安全な使い方
CIO
① 近年、モバイルバッテリーによる発火・発熱事故のニュースが増えています。昨今の事故についての率直な印象をお聞かせください。
昨今の事故や報道を受け、不安になられる方も多くいらっしゃるかと思います。
安全を取り巻く現状に強い問題意識を持ち、メーカーとしての責任を果たすべく、下記の取り組みを推進しております。
・情報開示や発信による啓蒙や周知
・より安全性の高い製品開発の推進
・回収サービスの提供
② こうした事故について、メーカーとしてどのように防止の取り組みや対策を取られているのかを教えてください。
当社ではモバイルバッテリー使用時の注意点含め、公式HPやSNS、YouTubeチャンネル等にて発信しています。
一例ではございますが、下記に記事や動画のリンクを記載させていただきました。より多くの方に安心してモバイルバッテリーをご使用いただけるよう、今後も継続して発信してまいります。
【CIO公式HP】
【CIO公式YouTubeチャンネル】
モバイルバッテリーメーカーがお伝えする、モバイルバッテリーを安全に使う為の注意事項4点
【半固体?準固体?】モバイルバッテリーに使うセルってどのセルが良いの?メーカーが解説します
なお当社では、2025年1月よりモバイルバッテリー「SMARTCOBY Ex01」の一部製造ロットにおける自主回収を実施しております。お手元にお持ちのお客様にしっかりとお伝えできるよう、引き続き努めてまいります。
製品開発の観点では、安全性の高い素材である半固体電池を採用したモバイルバッテリーを発売する予定です。従来の製品も、バッテリーセルの温度を55℃以内(※)に収める設計とすることで発火リスクを最小限に抑えるなど、十分に安全性を考えて開発しておりますが、半固体電池も一つの選択肢となることで、より安心してお選びいただける環境を作りたいと思っております。
(※)多くのバッテリーセルは、55℃を超えると劣化が進みやすくなるため、この温度内に収めることが重要です。
加えて、製品のトレーサビリティを高める取り組みも進めております。MES(Manufacturing Execution System)というシステムを導入することで、部品や工程上の問題を把握しやすくし、品質管理に役立てることを想定しています。設計だけでなくプロセスにおいても安全意識を高く持ち、安心で安全な製品をお届けできるよう、総合的に推進してまいります。
また、上記の自主回収とは別途、他社製を含むモバイルバッテリーの回収サービスを行っております(他社製のモバイルバッテリーを回収させていただく場合、CIO製モバイルバッテリーをご購入いただく必要がございます)。
※これらのサービスのご利用にはCIO会員登録が必要です。
▼CIO自社製モバイルバッテリー回収サービス
https://connectinternationalone.co.jp/collectservice/
▼他社製モバイルバッテリー回収サービス
https://connectinternationalone.co.jp/othercollectservice/
当社は小型充電式電池のリサイクルを推進する一般社団法人JBRCの会員企業として、皆様のご不便を解消し、資源の適切な再利用の促進だけでなく、回収サービスをきっかけに劣化が進んだモバイルバッテリーを最新の製品にかえていただくことで、安心して持続的に、より多くの方にご使用いただき、“わくわく”が広がる社会の実現を目指しています。
③ モバイルバッテリーの事故防止に関して、われわれが普段の使用時や保管時に気をつけるべきポイントを教えてください。
モバイルバッテリーご使用時の一般的な注意点を、大きく4つにまとめさせていただきました。一人でも多くの方にお伝えできる機会となりましたら幸いです。当社HPでもこちらの内容について掲載しておりますので、よろしければこちらよりご覧ください。
①高温・低温環境に弱いです
特に真夏の車内など、高温環境に放置しないようにしてください。
②衝撃にご注意ください
精密機器ですので、膨張・変形・焦げ跡などがある、過去に落下させるなど強い衝撃を与えたことがある製品は、即使用を中止してください。
③ケーブルにもご注意ください
付属品もしくは60Wを超える出力のケーブルを使用する場合はe-Marker搭載のケーブルをご使用ください。
④劣化が進みます
長期間未使用でも、半年に一度は充放電・点検をお願いします。
エレコム
① 近年、モバイルバッテリーによる発火・発熱事故のニュースが増えています。昨今の事故についての率直な印象をお聞かせください。
多くのモバイルバッテリーを販売するメーカーとして、心苦しく思っております。
② こうした事故について、メーカーとしてどのように防止の取り組みや対策を取られているのかを教えてください。
根本的により一層発火しにくく安全で安心してご使用頂けるバッテリー開発を加速させます。また、モバイルバッテリーの使用時、充電や廃棄する際の取り扱いに関して、お客様に対して情報発信をし、正しい使い方、廃棄方法の認知を高めていきたいと思います。
③ モバイルバッテリーの事故防止に関して、われわれが普段の使用時や保管時に気をつけるべきポイントを教えてください。
高温環境での使用、保管は避ける。バッテリーを落下させたり強い衝撃を与えない。膨張、液漏れ、異臭、以上発熱ある際は使用を控える。充電時は目の見える範囲で行う。
Xiaomi
(確認中。後日、追記いたします)
UGREEN
問い合わせたところ、回答は得られませんでした。