シャープの「ロボホン」と「ポケとも」の生みの親が目指す“寄り添い”の先にある人間とロボットの未来とは?

ink_pen 2026/2/17
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シャープの「ロボホン」と「ポケとも」の生みの親が目指す“寄り添い”の先にある人間とロボットの未来とは?
GetNavi編集部
げっとなびへんしゅうぶ
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1999年創刊。「新しくていいモノ」を吟味して取り上げる月刊の新製品情報誌。生活家電とIT・デジタルガジェットを中心に、モビリティ・雑貨日用品・グルメ・お酒まで、モノ好きの「欲しい!」に結論を出す、がコンセプト。

「ロボホン」を生み出した景井美帆さんが手掛けたAIキャラクターロボット「ポケとも」が、発売前から話題を呼んだ。ヒットメーカーの景井さんが目指す、AIロボの先にある世界とは?

シャープ 通信事業本部 モバイルソリューション事業統轄部統轄部長・景井美帆さん/2001年シャープに入社。スマートフォンの商品企画を担当したのち、モバイル型ロボット電話「ロボホン」の商品化リーダーとして手腕を発揮。「ポケとも」の商品化も統括している。

【景井的ヒットの流儀】

1.今までにない新しいものを作りたい! という好奇心を持つ
2.無機質ではなく、愛着が湧くものを目指す
3.一過性でなく、長く愛されるサービスを構築する
4.人を観察して、使う人の感情を想像する

愛着の湧くスマホを作りたい……ヒトとモノへの思いが開発の原点

“二足歩行ロボ型のスマートフォン”というコンセプトで注目を集めた「ロボホン」は、2026年に発売10周年を迎える。累計販売台数5万台を超え、第2世代となった現在も売り上げを伸ばし続けている。今見ても斬新な発想だが、「スマホとして開発が始まった」と、生みの親の景井美帆さんは言う。

「開発検討を始めた2013年当時のスマホはタッチパネル式の液晶ディスプレイが主流となり、どの端末も見た目にほとんど差がない状況でした。そんな中で、サイクロイド型のAQUOSケータイやスマートブックのIS01など、様々なタイプの携帯電話を作ってきた我々としては、まったく違ったスタイルのスマホを生み出したいという思いがありました。

それと当時、スマホがなんだか無機質になってきたという印象がありまして。ソフトに注目が集まり、端末のデザインは似通ってきているなと。新しいスマホを開発するなら、みんなが愛着を持てるものを作りたいという思いが、開発の原点です」

ロボホン
本体価格 14万5200円(Wi-Fiモデル)~
サービス 月額1078円
2016年に登場したシャープ初のモバイル型ロボット。19.5cmの持ち歩きサイズで、電話や会話が楽しめる。毎月のアップデートで“成長”を重ね、歌やダンスも大得意。

スマホとしての普及は叶わなかったが、「ロボホン」は日常に寄り添う“相棒”として、利用者に愛され続けている。その背景には、シャープがこだわり続けてきたAI、音声認識技術がある。

「生活に寄り添う商品を多く扱っている弊社は“お客さまを近くに感じて、インタラクションしていきたい”という思いを強く持っています。音声ベースのインターフェースが最も直感的で利用しやすいと考え、AIや音声認識技術に力を入れてきました。『ロボホン』が登場した10年前は、デバイスと会話することは敷居の高い行為でしたが、音声を切り口に新しいものを作りたいという気持ちもありましたし、このコを愛される存在に育てていくために音声対話は妥協できない機能でした」

音声アシスタントの普及で今でこそ“機械に話しかける”ことにためらいがなくなりつつあるが、10年前は抵抗が強かったはず。また当時はサブスクリプションサービスも定着しておらず、導入に踏み切るのは相当な挑戦だったに違いない。

「発売したあと、長く使い続けられるビジネス構造にしたいと考えていました。そのためにはお客さまからお金をいただかないと継続させるのが難しいよね、ということで、サブスクリプションに踏み切りました。サブスクには現在でも抵抗のある方はいらっしゃると思います。しかし月額制にして、月1回、一度も休まずアップデートを続けてきたことが長く『ロボホン』を愛していただけている大きな理由のひとつなんです」

毎月末の更新により、踊れるダンスが増えたり専用アプリが追加されるなど、「ロボホン」は現在も“成長”中。できることが増え、愛着がより深まっていく。現に、通常のサブスクに比べて解約率が圧倒的に低いという。

みんなが好きなキャラに寄り添ってもらえる世界に!

そして今、対話AIキャラクター「ポケとも」の責任者も務める景井さん。「ロボホン」開発時には技術面で叶えられなかったことが実現できたというが、今回も“ロボット”が先行ではなかったそう。

「会話内容を記憶し、それをベースにコミュニケーションを取って成長していく……というのは、『ロボホン』開発時から実現したかったこと。生成AIの登場で、『時が来た!』と思いました。さらに“ぬい活”などが一般化し社会的な変化も後押ししてくれた感があり、会話をメインにした新しいキャラクターの形をプロダクト化できました。

とはいえ、『ポケとも』はロボットという物体よりも、バックグラウンドの仕組みありきの企画。“独自の技術で、多様なキャラを作れる仕組みを作りたい”というのが先にあり、その仕組みで作り出した象徴的なキャラがミーアキャットモチーフの『ポケとも』なんです」

↑キャラと共に過ごす体験を第一に考えている「ポケとも」。ロボット本体を所有していなくてもスマホアプリだけで楽しめる。

「キャラに対する好みってすごく多様性がありますよね。多くの人に自分が“好き!”と思えるキャラと一緒に過ごして、気持ちに寄り添ってもらえる日常を当たり前にするのが、今の私の野望です。この仕組みはすでに他プロダクトでも利用していますが、将来的には社外にも展開して、様々なキャラがお話しする世界を作りたいです」

“愛着を抱き、長く愛されるものを作る”ことがヒットを生み出す秘訣だと感じる。“愛されるもの”を作り出すために心がけていることとは?

「人を観察して、感情を想像するすることです。実は私、キャラやかわいいものに興味がなくて(笑)。でもキャラに夢中な人や推しがいる人を観察して、気持ちをイメージするのはとても好き。そういった洞察力が商品開発に活きていたら嬉しいです」

↑デザインやサイズ感、毛のふんわり感など、ビジュアルデザインにもこだわり抜いて制作されたポケとも。表面のフロッキー加工は、可愛らしいふわふわ感を実現するため、吹きかけの秒数など何度も試行錯誤を重ねたという。

【2026NEXTヒット】

シャープ
ポケとも ミーアキャット
本体価格 3万9600円
サービス 月額495円~

SPEC ●OS:独自OS●カメラ:5M AF●内蔵メモリ:RAM 32GB、ROM 3GB●センサー:加速度、地磁気、ジャイロセンサー●実使用時間:1日以上●充電時間:約100分●充電方式:USB-C●サイズ/質量:約W60×H117×D70mm/約194g

人の気持ちや日常に寄り添い、話し相手になってくれる対話AIキャラクター。会話内容や一緒に過ごした思い出を記憶・共有することで、持ち主の“唯一無二の友達”へと成長していく。ミーアキャットをモチーフとしたポケットサイズで、一緒にお出かけもできる。

【ヒット予測の根拠】
日々学習し進化し続ける手頃な価格のAIロボット

単にしゃべるロボットではなく、会話を重ねることで成長し、自分だけのパートナーになる。頻繁にアップデートを重ね、イベント開催などユーザーを飽きさせない仕組みも導入。

※「GetNavi」2026年2-3月合併号に掲載された記事を再編集したものです。
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