
近年のワイヤレスイヤホンのトレンドである「ながら聞き」。オープンイヤーとも呼ばれるこのスタイルは、あえて耳をふさがないことで自然な聴き応えとコミュニケーション性を実現しました。
また、耳をふさがずにイヤホンを装着する方法もひとつではありません。耳にかけるものもあれば、イヤーカフのように耳にはさみこむものもあります。例を挙げると「Shokz Openfit」は耳掛け型で、「Huawei FreeClip」がイヤーカフ型ですね。

ソニーから新しく登場した「LinkBuds Clip」は、ソニーにとって初となるイヤーカフ型のワイヤレスイヤホン。業界屈指の高性能イヤホンを手掛けてきたソニーですが、イヤーカフ型への参入は比較的後発となります。
ソニーストアでの価格は29,700円(税込)。イヤーカフ型としてはハイエンドな価格帯ですが、それに見合うだけの聴き応えなのか。じっくりとレビューしていきましょう。
春めいたアクセサリーのような佇まい

まず目を引くのは、鮮やかなパステルトーン。カラーはラベンダー、グレージュ、グリーン、ブラックの4色がラインナップされており、ブラックを除けばいずれも淡い色味をしています。
もともとイヤーカフはアクセサリーですし、LinkBuds Clipはイヤホンながらアクセサリー要素もしっかり押さえようとしているように見えますね。グレージュなどは肌なじみもよく、男性が付けていてもほどよいワンポイントとしておしゃれに見えそうです。

重量は約6.4gと軽量。耳をはさみこむバンド部分は肌当たりが優しいシリコン素材で、ゆるやかに可動します。写真のように横から見ると平たいのが特徴で、装着した際に耳輪を圧迫しない形状。このあたりはイヤーカフの後発らしい、研究の賜物でしょう。
というのも、筆者もイヤーカフ型ワイヤレスイヤホンを持っていますが、ずっと装着しているとバンド部分の圧迫が気になってくるんですよね。公式サイトによると、さまざまな人の耳の形状の3Dデータを用いて設計と装着を繰り返したとのことです。

ドライバーには10mmのダイナミックドライバーを搭載。バッテリーは連続再生で9時間、ケースでの充電を含めると最大37時間の連続再生が可能です。IPX4の防水性能があるので、汗をかくスポーツシーンにも◎。特にジョギングでは外音が聞こえるメリットが活きてきますね。
オープンイヤーなのにこの低音を出すか!
耳をふさがないからスピーカーのように自然な聴き応えが得られる一方、低音が物足りないのが旧来のオープンイヤーイヤホンの弱点でした。とはいえ、近年のフラッグシップクラスではその傾向も改善しつつあります。

LinkBuds Clipも、通常のカナル型イヤホンなどと比較すると低音は物足りません。けれど、オープンイヤーとして見れば十分な低音です。音質もソニーらしいバランス感を重視したもので、正直な感想としては「まぁこんなところかな」と思っていました。
が、ソニーが提供しているアプリ「Sound Connect」を併用するとそんな印象がガラっと変わります。

イコライザーで低音を持ち上げて、Bluetoothの品質を音質優先に変更すると、全然違う! 通常のワイヤレスイヤホンと変わらないダイナミクスがあり、当初の物足りない印象は一気に払拭されました。これはアガる!
さらにじっくり聞いてみると、高域の表現も心地良い。LinkBuds Clipはソニーのアップスケーリング技術「DSEE」に対応しており、音源の圧縮時に損失するデータが補完されます。低音だけが前に出るとモコっとした音になるところ、高域のきらびやかさもしっかりと追従してきている印象です。
本機はノイズキャンセリングを搭載していないため、電車や屋外で聞いているとなかなか実感できない部分かもしれません。ですが、屋外で使う際は「外音が聞けるオープンイヤー」として、自宅で使う際は「じっくり聞きにも応えてくれる優等生」として、二刀流の聞き方ができるイヤホンだとも感じました。ただしコーデックはAACまでなので、「WF-1000XM6」のようなフラッグシップ並の解像感はお求めにならぬよう。

専用のエアフィッティングクッションも同梱されています。装着した際の耳輪への圧迫を分散する補助パーツで、個人的にはアリでも無しでも快適だなといったところ。また、充電ケーブルは同梱されていませんでした。
ながら聞きのフラッグシップらしい仕上がり
アプリもしくはイヤホンの操作から、スタンダード、ボイスブースト、音漏れ低減の3つのリスニングモード変更が可能。電車など音漏れが気になる際は、トントンっとイヤホンを操作するだけで音漏れ低減モードに移行できます。

ソニー待望のイヤーカフ型ワイヤレスイヤホンであるLinkBuds Clipは、快適な装着感と臨場感たっぷりなサウンドを見事に両立させていました。実際にこの記事を執筆している数時間、ずっと試聴していましたが耳が痛くなる気配は一切ナシ。
この完成度の高さこそ、後発ながらこの価格で出してきたソニーの自信の表れでしょう。ながら聞きを極めたい人、アクセサリー感覚で音楽を楽しみたい人はぜひお試しあれ。
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