まだ世の中にないモノやストーリーあふれるチャレンジが集まる応援購入サービス「Makuake」から注目のプロダクトをピックアップ。
デザイナー、経営者、テレビ番組のコメンテーターなど、多岐にわたる活動を展開するアートディレクターの山﨑晴太郎さんに、開発担当者との対談を通じて製品の魅力を深掘りしてもらおう。
山﨑晴太郎
企業のデザイン戦略やブランディングを軸に、サービス設計やプロモーションまで幅広いディレクションを展開。“デザインで社会を変える”という信念の下、省庁や企業と連携し、課題解決に取り組む。セイタロウデザイン代表。TV番組コメンテーターとしても活躍中。
地方の伝統産業の、世間に届きづらい声を楽しくポップに、音楽体験を通して伝えていきたい

オーディオテクニカ
SHARK BURGER
一般発売予定価格3万3000円
Makuake応援購入実施期間 3月5日〜5月15日
ベースは、気軽にアナログサウンドを楽しめるポータブルレコードプレーヤー「SOUND BURGER(サウンドバーガー)。宮城県・気仙沼市の伝統産業であるサメ産業と限定コラボして、“シャーク”なデザインが施されている。
SPEC●通信規格:Bluetooth Ver.5.2●駆動方式:ベルトドライブ方式●駆動モーター:DCサーボモーター●回転数:33-1/3または45回転/分●ターンテーブルプラッター:アルミニウム製●最大再生時間:約12時間●サイズ/質量:H7×W10×D29cm/900g



産業分野は違っても“後世に繋ぎたい”思いは同じ

山﨑晴太郎さん(以下、山﨑) レコードは好きで、いまもアトリエでよく聴きます。このプレーヤーは、かなりコンパクトですね!
國分裕昭さん(以下、國分) ベースである「サウンドバーガー」の元祖は1982年発売です。当時ウォークマンが大流行する中で、弊社は〝レコードがもっと手軽で自由に聴けるようになったらいいよね〟という思いを込めて、小さくて、どこででも聴けるレコードのポータブルプレーヤーを作りました。当時のノリと勢いもあったと思いますが(笑)。
山﨑 オーテクさんって独創的なことなさってますよね。寿司握りマシンも作ってますよね?
國分 よくご存知で!レコードの回転板からヒントを得て、シャリ握り機を作っています。
山﨑 今回の、〝レコードプレーヤー×サメ〟と聞いたときも驚きました。何を言ってるんだ? と(笑)。気仙沼のサメと出会った経緯が気になります。
國分 昔から機器に伝統工芸などを使って装飾することがあり、弊社は地方の町工場や伝統産業との接点が実は多いんです。だけど、付き合いのある業者さんが廃業したり、職人不足で作れなくなってしまうものが出てきたり……という場面に直面することが結構ありまして。日本には似た状況の産業がたくさんあるのでは? と思い、そういった届きづらい声を、弊社の商品と掛け合わせて世の中に拡散するプロジェクトを立ち上げたのがそもそものきっかけです。
気仙沼には江戸時代からサメ産業が根付いていますが、サメ皮だけは活用しきれていないという現状があります。また3・11以降、深刻な後継者不足で産業自体の存続も危ぶまれているそうです。若者を集める取り組みを積極的に行っているという気仙沼の方々のお話しを聞いたときに、レコードを次世代に繋いでいく活動を長くしてきた弊社の理念と通ずるものがあると思いました。そこで生まれたのが「シャークバーガー」です。
山﨑 ターンテーブルとのコラボと提案したとき、気仙沼の方々も驚いていませんでした?
國分 “え、レコード!?”みたいな感じでした(笑)。ただ「サウンドバーガー」も、アナログレコードを後世へ伝えていくための活動としてBluetooth対応の復刻モデルを出しているので、そういった我々の思いをお伝えしてご賛同いただきました。長々語ってしまいましたが堅苦しいものではなく、皆でこの取り組みを楽しんでいこう! というのがモットー。デザインも含め、遊び心多めのプロダクトになっています。
山﨑 再生すると、サメがレコードの〝海〟を泳いでいる感じになるのがかわいいですよね。持ち手はサメ革で。サメ革ってどういう特長があるんですか?
國分 耐久性・磨耗性に優れていて、持ち手の素材としても優秀です。1点ものなので、それぞれ風合いが違うんですよ。ただサメ革は1個体から取れる面積が小さいだけでなく、主にマグロ延縄船によって漁獲されたものを使用しているので、安定供給に向いていません。
山﨑 そうなんだ! 狙って獲るわけじゃないんですね。
國分 マグロを獲ると、マグロを食べに来たヨシキリザメが一緒にかかっちゃうそうです。そういった経緯があり、獲れちゃったサメを余すことなく活かすために気仙沼ではサメ産業が発達しました。
山﨑 全く違う産業が繋がって一緒にモノづくりをするのって、イイですよね。レコード文化もサメ産業にリンクする部分があると思う。レコードという物性のあるもので音楽を聴く行為は、技術の進歩で社会からこぼれてしまった音楽の形じゃないですか? 気仙沼の産業の中でこぼれてしまったものと結びついて、ひとつの楽しいプロダクトになったんだなって。
國分 そう言っていただけるとうれしいです。
山﨑 レコードって、デジタルで聴くのとは違った特別な音楽体験になりますよね。
國分 クリックすると音楽が鳴って、適当にシャッフルして……みたいな感覚ではないですね。
山﨑 まずどのアーティストの何を聴くかを決めて、レコード盤という物体を手に取るところから始まりますからね。音楽に向き合うための〝メッシュ〟があるとしたら、超目の細かいメッシュに自分の感覚を通した末に聴くみたいな感じ。音楽が自分の中にスッと入ってくるというか。だから僕、アトリエにレコードを置いているんです。感覚を研ぎ澄ませて何かを制作する空間の中では、レコードの音楽体験がベスト! このプロダクトは、手軽にレコードの良さを味わえる点も良いと思います。

株式会社オーディオテクニカ
マーケティング部プロダクトマネジメント課
コンシューマープロダクトグループ・國分裕昭さん
「SHARK BURGER」のベースとなっているポータブルレコードプレーヤー「SOUND BURGER」(復刻モデル)の商品企画を担当。自身もアナログレコード好きで、多くの世代にレコードでの音楽体験を楽しんでほしいと願う。
株式会社オーディオテクニカ
1962年、レコードプレーヤー用カートリッジの開発から始まった日本を代表する音響・映像機器メーカー。“聴くもの”でなく“飾るもの”になりつつあるレコードの文化を後世に伝えるための活動を積極的に行っており、「音楽のアナログ体験」をテーマにしたプログラムなどもローンチしている。