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2025/5/2 6:30

キン肉マン大好き芸人・濱口優が発表するキンケシベスト10!「キンケシ、集めててよかったなって心の底から思います」

キン肉マンとともに人生を歩んできたという、THE・キン肉マン芸人のよゐこ、濱口 優さん。キン肉マンの専門番組『キン肉マサル』を始めるなど、キン肉マン愛は止まらない。その原点ともいえる「キンケシ」についてお気に入りのキンケシを持参してもらい、初代キンケシのリアル世代として、また自身が提案したキンケシの誕生秘話から、勝手にベスト10まで、たっぷりお話いただきました。

 

濱口 優●はまぐち・まさる…1972年1月29日生まれ。大阪府出身。有野晋哉とお笑いコンビ・よゐことして活動中。現在は『ワカコさんとマサルくんのお宅は買わないの??』(テレビ朝日)、『診療中!こどもネタクリニック』(NHK総合)にレギュラー出演中。Instagram

【濱口 優さん撮り下ろし写真】

 

その後の人生に多大な影響を及ぼした『キン肉マン』&キンケシとの出会い

──子供の頃からキンケシを集められてたということですが、キンケシが最初に発売されたのが『キン肉マン』がアニメ化された1983年ですから、そのときすでに小学校6年生の濱口さんはビミューに世代がズレてませんか?

 

濱口 そうですね。対象年齢よりちょっと上ですけど、気持ち的にむちゃくちゃ子供だったんで、それで手を出したと思います。確かに女子に笑われてました。まだ、そんな子供のおもちゃで遊んでんのって。だから恥ずかしかったですよ、ガシャポン回してるのを同級生の女子に見られるのが(笑)。

 

──シリーズの最初(パート1)から集められてたんですか?

 

濱口 はい。ただ、当時、地元にまだ100円のガシャポンがなくて、近所の駄菓子屋さんに20円のガシャポンが置いてあるみたいな状況だったんですよ。そしたら、『キン肉マン』を好きな友だちが、「こんなのが出た」っておもちゃ屋さんで買ったラーメンマンを見せてくれて、「これはすごい。どこに売ってんの?」ってことで一緒に買いに行くんですけど、おもちゃ屋さんがまだガシャポンのシステムを理解してなくて、業者から届いた袋のまんま、その中から好きなのを選んで買えたんです(笑)。

 

──それはラッキーでしたね(笑)。

 

濱口 いや、ほんとに(笑)。そのおもちゃ屋さんもシステムがわかってからはガシャポンの機械の中にカプセルを入れはって、こっちは最初を知ってるから「おっちゃん出してよ」って言うんですけど、「出したら俺が怒られんねん」って(笑)。でも、パート1はカプセルの中身を見ながら選んで、好きなやつを買えたんですよ。それはよく覚えてます。

 

──それはかなり特殊な体験だと思いますが、そもそも最初に濱口さんが惹きつけられたキンケシの魅力って何なんでしょうか?

 

濱口 まず、サイズ感ですね。指先で遊べる。枕元で遊べる。で、グッと指で押さえると曲がる素材感が好きでした。超合金とかで遊んでると関節が緩くなってフニャッとなる感じがすごくストレスだったんですよ。だから、基本的に動かないんだけど、自分のさじ加減で腕や足を曲げて遊べるとこがよかったですね。

 

──あとはやっぱりコレクション性の高さでしょうか。キンケシでしか商品化されてない超人もいっぱいいるじゃないですか。それこそ、劇中には未登場の募集超人までラインナップされてたりしますし。

 

濱口 昔、「人志松本の〇〇な話」という番組で自分の趣味を紹介する回があって、そこでキンケシについて語ったんですよ。そしたら、それを造形師さんが見ててくれて。もっと詳しく言うと、造形師さんの息子さんが「これ、お父さんのことじゃないの?」って気づいて、それで見てくれたんですけど、のちにその造形師さんと会うことになりまして。そのとき、ずっと疑問だった「なんで募集超人がラインナップに入ってたんですか?」という話を直接聞いたんです。そしたら、原作を追いかけて作ってたらラインナップが間に合わないから、連載の扉で募集超人が紹介されたらもう造形していってたって。

 

──要は、劇中未登場の募集超人をあえて商品化したのではなく、募集超人をもとに原型を作ったら、その結果、未登場に終わったものも出てしまったということだったんですね?

 

濱口 そうみたいです。長年の謎が解けて、面白かったですね。メジャーな超人は後ろ姿も劇中で描かれてるけど、募集超人はだいたい正面の絵しかないから、背面は造形師さんが想像で作ってるって話を聞いて「はあぁぁぁぁ〜!(しみじみ感心)」って。

 

──募集超人といえば、濱口さんも何体かデザインされてキンケシにもなってますよね。『よゐことキンケシ-濱口が有野に全418体を紹介する企画-』のDVDにローソン予約限定の特典で付属したザ・カンニンとか。

 

濱口 そうですね。あれはうれしかったです。

 

──ちなみにあの番組、キンケシ好きの濱口さんが大して興味のない有野(晋哉)さんにキンケシを延々紹介し続けるという本当にどうかしてる内容で、途中から紹介するほうもされるほうもバテてきて明らかにグダグダになってるのに、それでも最後まで一応やりきるのが本当にどうかしてるなと思いました(笑)。

 

濱口 最後のほうは疲れて雑になっちゃうという(笑)。そんなユルい感じでやってたからら、まさか後でDVDになるとは思ってなかったんでびっくりしました。

 

──でも、「肉」にちなんで祝われた『キン肉マン』29周年の一環で発売された商品で、今に続く濱口さんのキン肉マン公式仕事の端緒といえば端緒みたいな。

 

濱口 いまや番組(フジテレビONE『キン肉マン専門番組 キン肉マサル』)をやらせていただいてますからね(笑)。本当にありがたいことですよ。

 

──あと、濱口さんデザインの超人がもう1体キンケシになってますよね?

 

濱口 はい。プレミアムバンダで発売されたMr.USB(キン肉マン キンケシプレミアム vol.3)も自分がデザインしました。

 

──その他にも、リングイン用の階段をモチーフにデザインされたステップマンが『キン肉マンⅡ世』の劇中に登場してたり、なかなかファン冥利に尽きる話だなと。

 

濱口 ほんとにもう。自分が考えた超人がキンケシになったり、作品の中に出してもらったり、子供の頃にはちょっと考えられなかったことなんで。

 

──あと、キンケシじゃないですけど、ファイブスタートイの超人ソフビで、よゐこのお二人が考案したカラーバリエーションもリリースされたりしていて。

 

濱口 あぁ、やってますね。ロビンマスクの不忍池バージョンとか。

 

──水色の成型色で顔の上半分だけ彩色を施して、アトランティス戦で不忍池の水面から顔が半分だけ見えている状態を表現したのは、さすが『キン肉マン』ファンならではのアイデアだなと。一方、有野さん考案のウォーズマンはまったく劇中と関係ないカラーリングでしたけど。

 

濱口 ウォーズマンをマヨネーズ色にするっていう(笑)。

 

──頭をキャップの赤色、クリア成形のボディを内側からアイボリーに塗ってマヨネーズのチューブを表現していて、それはそれで面白いですけど、お二人の『キン肉マン』に対する温度差がはっきり出てるなーと思いました。

 

濱口 大好きな俺と、有野のそんなにハマってない感じがね(笑)。

 

──あと、濱口さんはキン肉マンの幻の緑顔バージョンのソフビも手がけられてますね。連載開始時の「週刊少年ジャンプ」(1979年22号ほか)の表紙イラストをモチーフにした。

 

濱口 そうです、そうです。「そういや、どっかで見たけどこんな色ありましたよね」ってメーカーの人に話して、「これ、いいですよ。オシャレですし」って。あれは、(ゆでたまご)先生がまだ表紙に関して全部任せてもらえなくて、色は別の人が塗ったという幻の配色なんですよね。

 

──アニアックな仕事してますよね。

 

濱口 そうですね(笑)。『キン肉マン』が大好きなんで。

 

濱口優が選ぶ、超個人的キンケシランキングBEST10

──ちなみに、『キン肉マン』は最初から読まれてたんですか? それともアニメが始まってハマったパターンですか?

 

濱口 最初は「ジャンプ」ですね。アパートの前に捨てられてた「週刊少年ジャンプ」の束を見つけて、これがクラスでちょっとイケてる第1グループの子らが読んでる「ジャンプ」かって感じで。俺はまだ「コロコロコミック」や「コミックボンボン」やったんで(笑)。

 

──まあ、それはそれで子供的に正解だと思いますけど(笑)。

 

濱口 それでパッと開いたページが、ウルフマンがスプリングマンにバラバラにされてるシーン(「週刊少年ジャンプ」1982年5号「7人の悪魔超人編(12) 第1の犠牲者!!の巻」)で、なんて過激なんだ、こんな世界があるんだ、って衝撃を受けました。あの頃、男子はみんなハマってましたからね。

 

──自分もほぼ同世代なので体感としてそれはわかります。が、当時の小学6年生や中学生の主流はロボットアニメのプラモデルとかで、普通キンケシには走らないと思います(笑)。

 

濱口 確かに(笑)。やっぱりだいぶ子供だったんでしょうね。

 

──その当時から現在に至るまで、ずっとキンケシのコレクターだったんですか?

 

濱口 アニメが終わってキンケシが作られなくなってから一度離れたんで、今みたいに集めるようになったのは大人になってからです。

 

──どういう経緯でキンケシにリターンしたんでしょうか?

 

濱口 ネットか何かでまたキンケシの新シリーズ(2016年以降に展開)が出てるというのを知ってですね。それで1個手に入れて、今こんなふうになってんねやとか、Ⅱ世もガシャポンで出てんねやみたいな。そんな感じだったと思います。

 

──当時物、復刻を問わずでいうと全種類コンプリートされてるんですか?

 

濱口 いや、抜けてるところはいっぱいありますよ。今はYouTubeの動画でガシャポンを回してるんで、それは予算を決めてその中でコンプリートできるかな? みたいなことをやってますけど。

 

──なるほど。確かに、当時物の激レアアイテムだと1個20万円クラスも存在する世界なので、コンプを目指すのも大変というか。そこは無理のない範囲で現行のシリーズをメインに楽しまれてるわけですね。ということで、本日お持ちいただいた濱口さんのキンケシコレクションBEST10をそろそろご紹介いただきたいのですが。

 

濱口 ベスト10なぁ〜……やっぱ1位はこれなんですよ。当時、ガシャポンを回さずに手に入れたパート1のロビンマスク(笑)。あるとき、キンケシ仲間の友達に「俺、最近、第1弾で出たロビンマスクのかっこよさに改めて気づいてんけど、どう思う?」って問いかけをされたんですよ。それまで考えたこともなかったんですけど、家に帰って1回見てみて、確かにめちゃくちゃかっこいいと。手足が長くてシュッとしてるし、その後にいろいろ出たロビンマスクとは違うので。

 

──シリーズが進むと、よりデフォルメされてズングリ丸っこくなっていきましたからね。

 

濱口 そういう造形の違いも面白さの一つかなと思います。

 

──続いて2位は?

 

濱口 このアシュラマン(パート10にラインナップされたシリーズ3体目)かな。三面とも怒り顔で、上の手がグーになってるのが遊びやすいという。アシュラマンは何個か出てるんですけど、遊びにくい手のヤツもあるんですよ。

 

──そこが大事なポイントなんですね(笑)。ただ集めるだけじゃなく、今も子供の頃と同じように遊んでるという。

 

濱口 はい(笑)。で、3位がジャンクマン(パート2)です。ジャンクマンも何個かあって、これは一番最初のやつなんですけど、ジャンククラッシュ(両腕の武器)が小さいんですよ。いつ見ても「小さいなぁー」って思います(笑)。4位はテリーマン(パート14にラインナップされたシリーズ3体目)で、テリーマンは頭から血を流してるやつや腕がバッファローマンになってるやつとかいろんなのがあるんですけど、これはキン肉マングレートの正体がテリーマンということで顔がテリーマンで体がグレートになってるんですよ。で、5位のキン肉マンゼブラ(パート19)は、このポージングが珍しくてすごいなと。技ケシでもないのに、こんな動きのあるポーズなんや! と思って、そこがすごく好きです。6位のキン肉マンソルジャー(パート14)が出たときは感動しました。単純にかっこよくて。で、7位のオメガマン(パート29)は人からもらったものなんですけど、今結構な値段がついてるって聞きました。

 

──ここにきてついにレアものがランクイン。

 

濱口 俺が持ってる中では珍しく高いやつですね。自分で買ったんじゃないけど(笑)。

 

──続いて8位は?

 

濱口 悪魔将軍の六騎士合体バージョン(キンケシ復刻版5)ですかね。

 

──悪魔将軍の体に悪魔六騎士(スニゲーター、プラネットマン、ジャンクマン、ザ・ニンジャ、アシュラマン、サンシャイン)が現れるシーンを再現したやつですね。復刻版のシリーズに完全新造形でラインナップされた1体という。

 

濱口 これを見たときに、えっ、今のキンケシ、このクオリティで作ってんの⁉︎ って感じで。こんなことになってんねや! って衝撃を受けました。次(9位)のデビルエキスパンダー(キンケシ24)も、この技をキンケシで再現するのかというのに驚いたし、これでちゃんと立つのがすごいですよ。ランキングとは関係ないですけど、このサンシャイン(キンケシ21)も造形がシャープでエッジが立ってて、すごくクオリティが高いし。最近はガシャポンを回してて、そっちの喜びが大きいです。この造形、よく出来てるなぁって。

 

──ベスト10に選ばれた以外にも何個かお持ちいただいてますが、カニベース(パート3)、マップマン(パート7)、ヘビーメタル(パート17)とか、ちょっとしか出てこなかった地味な超人もちゃんと商品化されていて、そこもキンケシの魅力でしょうね。

 

濱口 そうなんですよ。当時はガシャポンを回してこれが出てきても何にもうれしくなかったけど(笑)。

 

──そしてラストを飾る10位は?

 

濱口 自分がデザインしたMr.USBです。

 

──いいですよねぇ、自分が考えた超人の商品化。ただ、今回ランキングに選ばれた超人は基本かっこいい系が多いのに、自分でデザインされた超人が全部オモシロ系なのはなんでなんですかね?

 

濱口 でも、Mr.USBは手脚だけでもかっこよくしたいと思って、ロビンマスクを見ながら描いたのを覚えてますね。パーツはかっこよくしようって(笑)。(キンケシの現物を見ながら)その辺をうまく出してくれてんだよなぁ、これ(しみじみ)。

 

子供の頃からキンケシを集めてて心底よかったと思う今日この頃

──濱口さんにとって、大人になってもなお集めたくなるキンケシの魅力って何ですか?

 

濱口 ガシャポンを回して、目当てのキャラが出てきたのを手に取った瞬間の喜び、その感触って、子供のときとまったく変わってないんですよ。で、ずっと眺める、置く、近くから見る、遠くから見る、何回も角度を変えて見る、遊んでみる……というのがずっと変われへんねんなぁって。それで子供の頃の気持ちに戻れるのも魅力ですし、あとは大人になってからの楽しみ方として造形を褒める、みたいな。

 

──まさに今、Mr.USBを見ながらしみじみ語られてましたね。

 

濱口 これ、いい形やなぁーとか、その辺を褒めるのは自分も大人になったんやなと思います(笑)。造形された職人さんの苦労とか、そういう裏側にも想いを馳せるのは。それこそ、さっき紹介したデビルエキスパンダーのスプリングマンも、このネジレ出すかぁ〜!? みたいな。子供の頃は、かっこいい! 欲しい! だけだったんですけど、大人な味わい方、楽しみ方を覚えました(笑)。

 

──でも、コンプリートにこだわらず、ビンテージの価値もあまり気にせず、今でもガシャポンを回して遊び倒すスタイルは、基本的にチャイルディッシュというか、当時のまま楽しまれてるあたり、キンケシコレクターというより純然たるキンケシファンなんだなという感じがします。

 

濱口 そうかもしれませんね。単純に『キン肉マン』とキンケシが大好きなんで。

 

──大好きといえば、キンケシではなく作品自体のお話になりますが、濱口さんが『キン肉マン』で一番好きなエピソードって何ですか?

 

濱口 キン肉マンとベンキマンのバトルが好きですね。

 

──第21回超人オリンピックで行われた一戦ですね。キン肉マンが便器で流されて万事休すと思ったら、トイレの逆流を利用して逆転勝利を収めるという(笑)。

 

濱口 まさに「奇跡の逆転ファイター」(アニメ『キン肉マン』挿入歌)。パンツ詰まらせて出てきよったぁ! みたいな(笑)。話としても面白いし、ギャグマンガの要素もあるし。パンツを履いてないキン肉マンがちゃんと股間が見えないように(とにかく明るい)安村くんみたいな隠し方をしながら出てくるという(笑)。

 

──現在放送中の『キン肉マン専門番組 キン肉マサル』は、まさに趣味と実益を兼ねたお仕事だと思いますが、そもそもどういった形で実現に至ったんでしょうか?

 

濱口 最初はスタッフさんが他にもいろいろ企画を考えてくれてて、その中の一つとして冗談っぽく書かれてたんですけど、それに食いついちゃって他の企画案の話が何も入ってこなくなって。その結果、やらせていただくことになった夢のような番組です(笑)。中西(茂樹/なすなかにし)も『キン肉マン』が好きなんで、よく二人で楽屋で話してるようなことをそのまま番組にしていただけて、ありがたいしかないですね。

 

──ラーメンマンとカレックックが食レポするのって、この番組ですよね?

 

濱口 そうです。ラーメンマンとカレックックで街ブラするという。それで、ラーメンとカレーしか食べないという(笑)。

 

──素晴らしい(笑)。好きなことをそこまでやりたい放題仕事に出来ていいのか⁉︎ って感じですよね。

 

濱口 そうだと思います、本当に。子供の頃、親に「あんた勉強し! そんなもん集めてないで」って言われてましたけど……集めててよかったなって。やめんでよかったなって心の底から思いますね(笑)。

 

 

構成・撮影/丸山剛史 執筆/麹町六郎