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2022/8/28 19:30

90周年のレゴ社が手がける「大人レゴ」はなぜヒットした? 大人が作って部屋に飾りたくなる秘密

子どもの想像力を刺激し、発想力も身に付くと人気の「レゴ ブロック」。四角いブロックを組み合わせてさまざまな形を作り、イメージを具現化していくその過程に、子ども時代に夢中になった人も多いのではないでしょうか。でも「レゴ ブロック」は、実は子どものためだけのものではないようです。2020年、レゴは「大人レゴ」と銘打った商品を次々と発売。大人の遊び心をくすぐる細密さで、あっという間に話題になりました。

 

「遊ぶ」にとどまらず、さまざまな狙いのあるという「大人レゴ」。そんな注目のアイテムについて、ブランドマネージャーの和田めぐみさんを直撃しました。

 

1932年に創業。90年にわたって愛され続けるおもちゃ

レゴ ブロックの誕生は1932年。デンマークのビルンにある工房で、大工のオーレ・キアク・クリスチャンセンが木製玩具を作ったのが始まりです。世界的な大恐慌など不遇の時代を経て、オーレ・キアクの息子であるゴッドフレッド・キアク・クリスチャンセンがプラスチックの製造機械を導入したことから、1949年にはプラスチック製ブロックを開発・発売しました。レゴ社にとって転機となったのは、バッテリーを内蔵した機関車型の「レゴ トレイン」シリーズが発売された1966年。このシリーズはドイツで大人気となり、商品が一気に周知され、レゴ社が世界的に人気を得ることとなりました。

 

その後、オーレ・キアクの孫であるケル・キアク・クリスチャンセンが「キャッスル」シリーズや「タウン」シリーズを発売したり、レゴ ブロック遊びを通してプログラミングを学べる「レゴ マインドストーム」を展開したりと、さまざまなアプローチで世界にレゴ ブロックを発信。90年経ったいまも、多くの人々に愛され続けているのは周知のとおりです。

 

大人がリラックスするために遊ぶ「大人レゴ」の誕生

子ども向けのイメージが強いレゴ ブロックではありますが、最近では大人向け商品が大々的に販売されるようになり、注目を集めています。

 

「現代の大人たちは、とても多忙でストレスフルな日々を過ごしています。そんな中で、どうしたらワークライフバランスをとれるかを調査したことがあるんです。結果、成人男性の約7割が『リラックスできるための新しい方法を探している』と答えました。その方法のひとつとして、制作に没頭できるレゴ ブロックを使ってもらうのはどうかと考えたのが、大人レゴが本格的に生まれた背景です」と和田さん。

 

とはいえ、実は大人向けのレゴ ブロックは、以前から販売されていたそう。

「レゴ スター・ウォーズ R2-D2」
オープン価格(実勢価格2万3980円)

 

商品のパッケージに“+18”と書いてあるのが、大人向けの商品です。『スター・ウォーズ』シリーズなどがメインで販売されていました。ですが、“大人向け”ではあるものの、“大人レゴ”として明確に区別して販売しているわけではなかったんです。そこで、2020年からパッケージをよりスタイリッシュにして『大人レゴ』として売り出し始め、現在は常に100商品をラインナップしています」

 

2020年に販売され始めた「大人レゴ」は、奇しくもコロナ禍による“ステイホーム”とも重なり、売れ行きを伸ばしました。

 

「コロナ禍でおうち需要が増えたことが、認知向上につながったと思います。実際、2020年~2021年の販売数はそれまでの1.2倍となり、現在も数字は引き続き伸び続けています。転機となったのは、2021年1月に発売した『レゴ ボタニカル コレクション』。この商品は、マインドフルネスとストレス解消をもたらすためのレゴ ブロックとして販売されました。日本はもちろんですが世界中で話題となり、一時期は品切れも続出したほどでした」

「レゴ ボタニカルコレクション フラワーブーケ」
オープン価格(実勢価格6280円)

 

「この『レゴ ボタニカル コレクション』の登場は、これまでレゴ ブロックで遊んだことがなかった人も興味を持つきっかけになりました。もともとレゴ ブロックのイメージとして、“男性や子どもが遊ぶもの”というイメージもあったのですが、『レゴ ボタニカル コレクション』はモチーフが花ということもあり、大人の女性からシニアまで、手に取りやすい商品でした。飾るとかわいいという、作ったあとのイメージができるところも、チャレンジのしやすさにつながったようです」と和田さんは、人気の秘密を話します。

 

また、「大人レゴ」は子ども向け商品に比べ、ピース数が多いのも特徴のひとつ。多いものだと9000ピース以上の大作になります。その中にあって、この『レゴ ボタニカル コレクション』は1000ピース以下という手軽さも魅力です。

「レゴ ボタニカルコレクション 多肉植物」
オープン価格(実勢価格6280円)

 

2022年5月に発売。サボテンやアロエなど計9種の多肉植物がそれぞれの容器に入り、個別で飾ったりつなげて寄せ植えにしたりなど、アレンジが楽しめます。水やり不要のインテリアとしても人気となりました。

 

自分の“パッションポイント”は? ブロック作りを大人が楽しむ方法

「レゴ アイデア ゴッホ『星月夜』」
オープン価格(実勢価格2万280円)

 

大人レゴに興味が湧いても、初めてレゴ ブロックに挑戦する場合、何をどう選んだらいいのか難しいことも。ピース数やマニュアルが思っていた以上に膨大で「途中で投げ出してしまった……」なんてことにならないために、選び方のポイントを和田さんに聞いてみました。

 

「レゴ社で使っている“パッションポイント”という言葉があります。趣味として興味のある人が多い分野、を示す言葉です。基本的にレゴ社の商品は、この“パッションポイント”からセレクトして商品づくりをしています。
例えば、ピラミッドやコロッセオなど歴史的な建物、車などの乗り物、ゴッホの『星月夜』のようなアートシリーズなどが挙げられます。まずは、自分にとってのパッションポイントを見つけて、その中から作りたいと思うものを選んでみてください。自分が選んだ作品を作って好きなものを飾って、毎日目にできるというのは、幸せな気分になりますよね」

 

それでも、やはりピース数の多さは気になるところでしょう。

 

「HPで商品を検索する際には、ピース数で商品を絞り込むこともできるので、活用してみてください。ただ、大作でも、入っているブロックは小さな袋に分けられているので、“今日はこの袋の分だけ作ってみよう”ということもできますし、“毎日30分だけ”とか“週末だけ”など決めて、長い期間をかけて作っていくのも楽しみのひとつではないでしょうか。自分なりの楽しみ方が見つかるのも、レゴブロックの良さだと思います」

 

ハイクオリティかつ遊び心満載! ファンも驚く完成度の「大人レゴ」

自分なりの楽しみが見つけられるのはもとより、「大人レゴ」には“玩具”の域を超えたリアルさ、細密さをもった商品もたくさん。こだわり派もうならせるおすすめの商品を、和田さんにピックアップしていただきました。

 

「レゴ バック・トゥ・ザ・フューチャー デロリアン・ DMC-12」
オープン価格(実勢価格1万9980円)

「我々も思わず『すごい!』と声を上げてしまうレゴブロックはたくさんありますが、なかでもぜひ見ていただきたいのは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場するタイムマシン『デロリアン DMC-12』です。実はこれ、この1商品で3部作のデロリアンの型をすべて作れる工夫があり、驚きました。1~3までのデロリアンを並べたいと、3セット買う方もいるほどです」

 

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「レゴ ポルシェ911」
オープン価格(実勢価格1万7980円)

「2021年に発売された『レゴ ポルシェ911』も注目です。ナンバープレートが3種類同梱されていて好きなものに変更できるのですが、なんとそのひとつが“群馬ナンバー”。デザイナーの個人的な好みで入れているのですが、こういった遊び心もぜひ注目してほしいところです」

 

「レゴ アディダス オリジナルス スーパースター」
オープン価格(実勢価格1万2980円)

「また、2021年の夏にアディダスとコラボして発売された『オリジナルス スーパースター』も話題になった商品です。同時期に販売された本物の靴には、ソールに赤いレゴ ブロックが再現されるなど遊び心満載でした」

 

モデルとなった作品やブランドのファンも驚かせ喜ばせる「大人レゴ」。実は、昨今注目されているマインドフルネスなど、大人ならではの活用法があるといいます。

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