前世代のゲーム専用機、ソニーのPlayStation 4(以下「PS4」)がマイクロソフト(以下「MS」)のXbox Oneより2倍以上も売れていたことが、ブラジルの裁判資料から明らかになりました。
これはMSがゲーム大手企業アクティビジョン・ブリザードの買収につき、ブラジルの規制当局CADE(日本の公正取引委員会に相当)との裁判で提出した文書から確認されたことです。
それによれば(17~18Pの段落46)「前世代でソニーはゲーム機の販売台数がXbox(One)の2倍以上を記録」したと書かれています。
今年1月、ソニーはPS4が全世界で1億1700万台以上も売れたことを確認し、最も人気あるPlayStation 2(1億5500万台以上)には及ばないにせよ、歴代で最も売れたPSハードだと述べていました。
Sony is no longer reporting PS4 shipments which means the final total for the console is ~117.2 million as of March 2022. pic.twitter.com/hWHv7NZ6RL
— Daniel Ahmad (@ZhugeEX) August 10, 2022
かたやMSはゲーム専用機の販売台数をあまり明かしていませんが、もしも今回の裁判資料での主張が正しければ、Xbox Oneシリーズ(廉価モデルのSや強化型のXを含む)はその半分程度、つまり5000~6000万台だったようです。
今回の裁判文書には、MS自らが認識しているゲーム機市場の位置づけや、ソニーの新世代ハード(PlayStation 5、以下「PS5」)と直接競合せずに「ゲーマー中心」のXboxゲームパスを推進したいとの意向も示され、Xboxゲームパスへのアクティビジョン・ブリザードの持つコンテンツの収録は市場の『転機』(独占)を意味する」との主張に反論しています。
さらに「“デバイス中心”のビジネス戦略から、より消費者に重きを置く“ゲーマー中心”のサービスへと移行する」意図についても詳しく説明されています。
また「ゲーム機戦争」という言葉が使われ、「ブランドへの忠誠心のため」Xboxは次世代/現世代のサイクルでも「PlayStationが引き続き市場で強い地位を占める」ため、うまく競争できないともほのめかされています。
つまりXbox Series X|SをPS5よりも多く売ることはすでに諦めている、ゲーム専用機の市場を独占するつもりはない。今後はゲーム機戦争から降りて、スマートフォンやタブレットでも遊べるゲームサブスクリプション+クラウドゲーミングに軸足を移す、ということでしょう。
ゲーム機メーカーは1台当たりの儲けが少ない薄利多売であり、ソフトを供給するサードパーティからのライセンス料で稼ぐビジネスモデルであることは広く知られています。すでに初代Xboxを送り出してから20年以上が経ち、MSもハードウェアでの競争から降りて、Office 365と同じような定額サービスに移行したいのかもしれません。