ゲーム&ホビー
2023/11/15 10:50

「PlayStation Portal リモートプレーヤー」レビュー、注意も必要だけどゲームの楽しみ方がより自由になる

11月15日、PlayStation 5のゲームをリモートでプレイできる「PlayStation Portal リモートプレーヤー」が発売された。8インチのディスプレイを備え、コントローラーのDualSenseに採用された機能も搭載。コントローラーにそのまま画面をつけたような携帯ゲーム機だ。これがあれば、Wi-Fiを介して、どこでもPS5のゲームを楽しめるようになる。今回は、本機を発売前にお借りする機会を得たので、そのレビューをお届けしよう。

 

DualSenseの中央に画面をつけたポータブル機

本機の外見は、PS5のコントローラー・DualSenseを二分割し、その間に画面を挟んだようなもの。PSボタンが画面左上の近くに、タッチバッドが画面そのものになっている以外は、いつものコントローラーと同様だ。操作性を極力変えないまま、ポータブル化しようとした意図がうかがえる。

↑PlayStation Portal リモートプレーヤー。販売価格は2万9980円(税込)

 

↑操作部に手をかけたところ

 

↑トリガーなどの配置もDualSenseと一緒。振動機能もしっかりついている

 

↑画面の上辺に、電源ボタンや音量調節ボタン、スピーカーがついている。音はやや乾いているように聞こえたが、ポータブル機としては悪くないように感じた

 

今回のレビューでは『龍が如く7外伝 名を消した男』を本機でプレイしたが、普段のコントローラーとある程度変わらない感覚で操作できた。「ある程度」というのは、DualSenseよりは単純に重いことと、画面が近い割にはそれなりに大きく、さらに左右の手が離れることからくる感覚的な違いがあるからだ。この感覚には個人差もあるうえ、ある程度慣れで解消する部分もあるだろう。しかし、私があまりにDualSenseに慣れすぎているせいもあってか、完全に同等な操作性とまでは断言しにくい。

↑本機とDualSenseを並べた。中央に画面が入っただけで、操作部の大きさや配置はほとんど変わらない

 

本機の重さは520g。Nintendo Switchの398g(有機ELモデルは420g)と比べると重いが、Steam Deckの670gと比較すれば軽い。コントローラーの持ち手部分がしっかりあるせいか、プレイ中に感じる重さは、数字よりは軽めだった。

↑本機とNintendo Switchを並べた。全体的にPlayStation Portal リモートプレーヤーの方が大きいことがわかる。ちなみにこのNintendo Switchの画面は6.2インチ

 

遅延は少なく、プレイは快適。ただし、通信環境に注意

PS5本体と、PlayStation Portal リモートプレーヤーの操作感も比較。『龍が如く7外伝 名を消した男』はアクションゲームなので、遅延が少しでもあるとプレイに支障が出るのではと心配だったが、結果的には杞憂に終わった。PS5と外付けディスプレイを有線接続した状態と、PlayStation Portal リモートプレーヤーの画面を同時比較した場合は、多少の遅延が見られるレベルではあるが、リモートプレイ時にストレスを感じるほどではない。カウンターや回避の入力も問題なくできた。

 

画面の解像度は1920×1080pxで、4Kを映せるPS5と比べるとさすがに控えめだ。とはいえ、画面が8インチとポータブル機サイズなので、十分綺麗である。フレームレートは最大60fps。通信環境に左右されるものの、快適に遊べるだけのスペックは確保されている。

 

ただ、本機を使っていて個人的に気になったポイントが2つある。身体への負担と通信環境の影響だ。身体への負担という点でいうと、まずPS5と比べて酔いやすいような気がした(あくまでPS5との比較だが)。ポータブル機である都合上、画面と目が近くなるからだろうか。また、画面が明るいうえに光沢液晶なせいか、目が疲れやすい印象を受けた。明るさは設定を最低まで下げても、筆者の目ではそこまで暗いとは感じなかった。

 

また本機はWi-Fi回線でPS5と接続するため、通信環境には気を使う必要がある。メーカーは最低15Mbps以上の高速回線を推奨。ただし、人口密集地の集合住宅などで使用する場合は、混線の影響も考えられるだろう。

 

暖かい布団のなかでぬくぬくしながらゲームを楽しめる

PS5としては、初のポータブル機である本機。その魅力はやはり、これ1台で好きな場所で、好きな体勢でPS5のゲームがプレイできるようになることだ。寝っ転がりながらでも、家事の合間にでも、ゲームのフィールドが大きく広がる。家の外からでも高速なインターネット回線さえあれば使用はできるから、PS5の可能性を大きく拡張するデバイスといえるだろう。

 

ゲームのプレイスタイルは人それぞれだ。寝っ転がったままやりたい人、椅子に座りながらでもポータブル機でやりたい人、あるいは大画面でやりたい人……PS5は、これまでならテレビやディスプレイの前でしかプレイできなかったが、PlayStation Portal リモートプレーヤーの登場によってプレイスタイルにより沿った楽しみ方ができる。季節はこれから冬を迎えるが、たとえば暖かい布団のなかでぬくぬくしながら、PS5のタイトルを遊べるようになるのだ。

 

ゲームのグラフィックを楽しみたいのなら、大画面でのプレイに軍配が上がる。それでも、ちょっとしたスキマ時間にも気軽にゲームをプレイしたいなんてときには、本機はうってつけだ。本機はゲームの遊び方を、より自由にしてくれる一台といえよう。