ブームの秘密はライブハウスにあり⁉ 若者に広がる「お茶割り」人気の真相を探る噺

ink_pen 2026/1/16
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ブームの秘密はライブハウスにあり⁉ 若者に広がる「お茶割り」人気の真相を探る噺
中山秀明
なかやまひであき
中山秀明

GetNaviお酒・グルメアドバイザー。GetNavi内食・外食のトレンドに精通した、食情報の専門家。現場取材をモットーとし、全国各地へ赴いて、大手メーカーや大手小売りから小規模事業者まで、幅広く取材している。酒類に関する知識量の多さでは、大手ビールメーカーでも一目置かれる存在。GetNavi・GetNavi webのほかに、テレビや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活躍。

提供:宝酒造株式会社

近年、特に若者の間で人気を集めている「焼酎のお茶割り」。なかでも、このブームを10年以上前から先取りしていた場所があります。それがライブハウスとその周辺。今回は渋谷のライブハウス「Spotify O-nest」やバンドマン、アイドルに、ユース音楽カルチャーとお茶割りの関係について話を伺いました。

お茶割りの人気

お茶割りは、全世代で市場が拡大中。2024年の販売規模は前年比で157.4%と大きく伸びました。その人気は小売店に限らず、居酒屋などのメニューでも同様。定番のレモンサワーやウイスキーハイボール以上に、お茶割りを提供する店が増えているデータもあり、近年の拡大が顕著です。

特に注目すべきは、20~30代といった若者にお茶割り好きが意外に多いということ。2023年に宝酒造が「宝焼酎のやわらかお茶割り」を対象に行った市場調査では、「飲用量・頻度が増えた・やや増えた」と答えた20代は70%以上。30代でも60%を超えるなど、若年層に支持を集めていることがわかっています。

そのうえで、さらなる調査を重ねてわかったのは、局地的に売れている店があるということ。一例が、東京都渋谷区の円山(まるやま)町や世田谷区の下北沢です。

その背景に何があるのかを調べて見えてきたのは、この一帯がライブハウスやクラブの密集地であるということです。渋谷の円山町には、「Spotify O-WEST」「Spotify nest」「渋谷7th FLOOR」があり、向かいの建物では「duo MUSIC EXCHANGE」「Spotify O-EAST」「Spotify Crest」が営業。

ほかにも周辺には「clubasia」と「WOMB」を筆頭に有名なクラブやライブハウスが点在しており、いわば円山町は音楽好きの聖地。そして、これらのカルチャースポットに足を運ぶ層が若者なのです。

こうした見立てから、ライブハウスやクラブに来店する若いお客さんがコンビニで「宝焼酎のやわらかお茶割り」を買うことが、局地的なデータに反映されているのでは?と推察。そこで、実際にライブハウス側ではどう感じているのか聞いてみました。

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ライブハウスとお茶割りの関係

伺ったのは、「Spotify O-nest」店長の森田大地さん。2025年4月に現職となり、その前は「同 Crest」で10年近くブッキング担当をしていました。率直に、ライブハウスでもお茶割りはよく飲まれているのでしょうか。であれば、その理由は?

「Spotify O-nest」店長の森田大地さん。

「箱(ライブハウスやクラブのこと)や出演者によってお客さんの層もガラッと変わるので一概には言えませんが、若いお客さんのお茶割りオーダー率は高いですね。ひとつには、炭酸が入っていなくてアルコール度数が比較的低いので、飲みやすいという理由があると思います」(森田さん)
 

森田さんの話で印象的だったのが、若いお客さんは他の世代に比べてビールをあまり飲まないということ。ビールなどの苦いお酒より、カシスオレンジやカルーアミルクといった甘いカクテル、またはお茶割りのようなやさしくすっきりしたチューハイが人気だと言います。


  「僕がドリンクを作ることもあるんですけど、普通にお茶割りの味が好きという人はもちろん、ドリンクを注文するなら(※)苦手なビールよりも、飲みやすくて甘くない選択肢としてお茶割りをオーダーする、という方も一定数いる印象です」(森田さん)

※基本的に日本のライブハウスやクラブでは、入場時に別途ドリンクチケットを購入するシステムが一般的。そのチケットを、会場内のバーカウンターでドリンクと交換する。

バーカウンターでお茶割りを作って提供する。

好みは出演者も同様。箱打ち(会場で行う打ち上げのこと)の際、お茶割りをピッチャーで提供したことが何度もあったと森田さんは回想します。
 

「特に、同世代の若手バンド同士の打ち上げだと多いですね。まだキャリアが浅い分、人脈作りって大切だと思うんです。となると酔いすぎは禁物じゃないですか。そこで最適なのが、アルコール度数が低めのお茶割りだと。あと、やっぱりバンドマンは男性のほうがまだまだ多い。となると、甘いカクテルよりも甘くないお茶割りのほうが好まれるという気もします」(森田さん)
 

調べたところ、ミュージシャンのなかにはお茶割りを熱愛するあまり、ステージにまで頻繁に持ち込むバンドマンも。その影響で、ファンがお茶割りをオーダーすることもあるはずだと森田さんは言います。


 「CMのタレントさん同様、”推し”の好みは共有したくなるのがファン心理かなと。ですので、ステージ上で推しが缶のお茶割りを飲んでいるから、自分もドリンクはお茶割りを注文しようという流れは大いにありえると思いますね」(森田さん)

Spotify O-nestのバースペース。

ここまではライブハウス内における話。では、「Spotify O-nest」周辺のコンビニで「宝焼酎のやわらかお茶割り」が飛ぶように売れている理由は?
 

「大きな転機はコロナ禍だったと思います。あれを機に、お店の営業や終電の時間が早まりましたよね。一方、特にこの周辺では終演後に仲間同士で語らいながら、缶のお酒を買って帰るお客さんの数が増えたと感じます。近年は物価高も見逃せませんから、ファン同士で公演を振り返る際、飲食店より安く語り合うツールとして、缶のお茶割りが重宝されているんじゃないでしょうか。実際に缶ビールより安いですし、飲みやすいですからね」

お茶割りはミュージシャンに最適なドリンク

では、演者であるミュージシャンの本音はどうなのでしょうか。次に話を聞いたのは、“宝焼酎のお茶割り”好きで有名な「ゲスバンド」。彼らはお茶割りを楽しむイベントを催すほか、実際にステージドリンクとしてはもちろん、リハーサルスタジオやプライベートでも「宝焼酎のやわらかお茶割り」や「宝焼酎の濃いお茶割り」を愛飲しています。

●ゲスバンド/2011年結成。橋本、高野、カネコ、マスダシン、井上による5人組ロックバンド。これまで2枚のアルバムと2枚のEPをリリース。2022年にカネコが加入して以降、他力本願で多くの出演イベントをソールドアウトさせている。2026年1月31日(土)にアルバムリリースイベント「MAKELOVEレコ発」が新宿Marbleにて開催される。
https://www.instagram.com/guess_band/

今回はメンバーを代表して、ボーカルの橋本さんとベースのカネコさんに聞きました。お茶割りとの出会いはそれぞれだと思いますが、よく飲むようになったきっかけや、お茶割り好きバンドを標榜するようになった背景は?
 

ボーカルの橋本さん(左)とベースのカネコさん(右)

「バンド間でよく飲むようになったのは、2015年ごろ。よく利用するスタジオやライブハウス近辺のコンビニで見かけたのがきっかけですね。みんなで集まるたびに飲むようになって、自然にゲスバンド=お茶割り”というイメージが付いてトレードマークにもなりました」(橋本さん)
 

ふたりとも、お茶割りの魅力として無炭酸や低アルコール(「宝焼酎のやわらかお茶割り」と「宝焼酎の濃いお茶割り」、ともにアルコール度数4%)といった飲みやすさを魅力に挙げますが、ほかにミュージシャン向けのメリットもあるといいます。

「刺激が少ないから、ノドにやさしく重くない。お腹が膨れないので、ステージ上でのパフォーマンスに影響が出ないんですよ。ゲップも出ませんし(笑)。だからスタジオでも飲んでますね(※)。コーヒーでは、そこまでテンションや想像力が上がらない。一方で、お茶割りは低アルコールなので酔いすぎず集中力も切れない。次の日にも残りにくいし、僕らにとっては最適なドリンクなんです」(カネコさん)

※リハーサルスタジオでの飲酒はロビーなら可、スタジオ内も可など、店鋪によってルールが異なる。全面不可のケースも少なくないが、その一方で、店内でお酒を販売しているスタジオもある。

橋本さんは、缶のデザインがステージ映えするとも語ります。派手すぎず、寒色すぎないライムグリーンの色は可愛らしくもあり、「宝焼酎のやわらかお茶割り」はちょうどいい立ち位置にあると力説します。

ステージ映えする缶のデザイン。

「このちょっとレトロな意匠がむしろクールだし、大衆酒場とか町中華の佇まいにもつながるような。音楽ジャンルでいうとシティポップみたいな感じなんですかね。同じ低アルコールの甘いジュース系の缶チューハイと比べても、玄人感が出るのがお茶割りだと思います。僕らは心底お茶割り好きですけど、甘いチューハイだと大人っぽくない、という理由でお茶割りを選ぶ若い人もいるんじゃないですかね」(橋本さん)

お茶割り好きなゲスバンドですが、お茶割りイベントを開催する理由は?

「僕らが好きっていうのが大前提。そのうえで、安定したクオリティーで提供できるし低コストという点があります。これがビールだとサーバーがないと恰好つかないし、レモンサワーはレモンが必要だったり、温度で炭酸のガス圧が変わったりするじゃないですか。その点、お茶割りは手軽でかつスピーディーですからね。あとやっぱり、お客さんにとっても飲みやすいし、苦手な人がほかのお酒より少ないかなと。でも、なにより“僕らのお茶割りを分かち合いたいという想い”ですね」(カネコさん)

パフォーマンス中でも「宝焼酎のやわらかお茶割り」が片手に。

ゲスバンドに影響を受けてお茶割り好きになったバンドやライブハウスがあるか聞いてみると、東北でムーブメントが広がった例があると言います。そのバンド名は「勃発」。2025年11月に解散を発表しましたが、仙台発のパンクバンドとして精力的に活動していました。

「僕らの『バンドマンはとにかくお茶割りを飲んだほうがいい』という極論を真に受け仙台に広めた功労者です。結果、彼らのホームである『仙台FLYING SON』では『宝焼酎のやわらかお茶割り』がバカ売れし、そのまま継続的に仕入れるようになったそうですよ」(橋本さん)

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お茶割りはアイドルの味方!?

ライブハウスに出演するお茶割り好きは、もちろん男性だけとは限りません。そこでもう1組、お茶割り好きを公言するアイドルユニットの「グデイ」にインタビューしました。

グデイ/2020年結成。室井ゆうとミ米ミ(みーまいみ)による2人組アイドル。“超自由音楽ユニット”と称し、これまで2枚のアルバムと5枚のEPをリリース。バンドサウンドやポップソング、正統派アイドルなど、ジャンルの枠にとらわれない幅広さも好評で、楽曲の主な制作やプロデュースはロックバンドcinema staffの三島想平が担当
https://gdayofficial.wixsite.com/gday

話を聞いたのは、グデイの活動に加え、アイドルグループ「ねおち」のプロデュースも手掛ける室井ゆうさん。室井さんがお茶割り沼にハマったきっかけは?
 

自分でお茶割りを作るほどのお茶割りファンの室井さん。

「コロナ禍がいちばん大きいかな。もともとお酒をたくさん飲むタイプではないんですけど、飲むこと自体は好きなんです。で、お酒は甘くないほうが好きというのと、そのままでも料理にもスイーツにも合うという点で、お茶割りをよく嗜んでいました。

でも、当時は飲食店が閉まっていたじゃないですか。時間もあるということで、試しに家で紙パックの宝焼酎を緑茶で割って飲んでみたんです。そしたら、自分で作ったのでもおいしい!って感動して、ますます宝焼酎のお茶割りファンになりました」(室井さん)

そしてコロナ明け後、室井さんはライブなどがある際に「宝焼酎のやわらかお茶割り」を指名買いするように。SNSにアップする機会も増え、ファンを中心に認知が広がり、いまでは差し入れでもらったり、お茶割り好きの共演者同士で盛り上がったりすることもあるそうです。また、お茶割りのメリットはほかにもあるとか。

「糖質ゼロっていうのが大きいです。アイドルもバンドマンもステージで表現する職業ですから、体形管理は大切。その点、糖質ゼロのお茶割りは、飲みたいときの強い味方なんです。アイドルに限らず、“糖質ゼロだからお茶割りが好き”という女の子も多いですよ」(室井さん)
 

加えて、お酒にそこまで強くない室井さんは、お茶割りをゆっくり嗜むタイプ。この点でも、お茶割りならではの魅力を語ってくれました。

「例えば、ビールやウイスキーハイボールなどは時間が経つと炭酸が抜けちゃうし、温度もぬるくなっておいしくなくなっちゃいますよね。でもお茶割りは無炭酸だし、ぬるくなってもそれはそれでおいしいじゃないですか。だから私みたいなゆっくり飲む人には、お茶割りがいいなって思うんです」(室井さん)

ライブ前後にお客さんがコンビニで缶のお酒を買う場合、氷を使わずそのまま飲むことがほとんど。となると、徐々にぬるくなりますから、温度変化においしさが左右されにくい「宝焼酎のやわらかお茶割り」を選ぶ。そんな背景も、「宝焼酎のやわらかお茶割り」が好まれる理由なのかもしれませんね。

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お茶割りの人気には理由がある!

今回、ライブハウスにバンドマンにアイドルと、若者の音楽シーンを取り巻く関係者に話を聞いてわかったことがいくつもありました。

ステージドリンクに最適: 優しい味わいで飲みやすく、ステージドリンクにも適している。

・若者やお酒の初心者向き: お酒のエントリー層である若者にとって親しみやすい。

・酔いすぎない: 適度にテンションを上げつつも酔いすぎず、翌日に残りにくい。

・コミュニケーションツールとして優秀: 場を盛り上げつつ、語り合いながらゆっくり飲むようなシーンにもマッチする。

・「ちょうどいい」デザイン: レトロなパッケージが、若者にはむしろポップで魅力的に感じられる。 こうした魅力から、ミュージシャンとファンとの共感アイテムともなり、ライブハウスの聖地である渋谷の円山町や下北沢周辺で大人気になっているーー。そう分析することができました。
 

宝焼酎のやわらかお茶割り」と「宝焼酎の濃いお茶割り」のほか、室井さんのように家でも簡単においしく作れるお茶割り。お茶の種類によってもその味はガラッと変わり、多彩な楽しみ方ができます。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

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記事に登場した商品の紹介はこちら▼
宝焼酎のやわらかお茶割り
https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/ochawari/

宝焼酎の濃いお茶割り 
https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/ochawari/

<取材協力>
Spotify O-nest
住所:東京都渋谷区円山町2-3 O-WESTビル 6F
https://shibuya-o.com/nest/
 
撮影/我妻慶一

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