ヘルスケア
2018/1/30 16:50

「日本のサウナはカリフォルニアロール状態!」 日本式と本場・フィンランド式サウナの根本的な違い

寒い毎日が続いていますが、こういうとき、サウナに行ってガッと汗をかいてぐっすり眠りたい……そう考える人も少なくないはず。

 

しかし、一般的な日本式サウナは本場フィンランドのそれとは大きな違いがあるようです。「日本のサウナは、言わば外国の寿司屋で食べる、カリフォルニアロールのようなものだ」と提唱するのは、都内でサウナ+カプセルホテル機能を持つ施設、ドシー(℃)を運営する株式会社ナインアワーズ代表の油井啓祐さん。

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今回はその油井さんに、フィンランドと日本のサウナの違いと、フィンランド式のサウナの在り方を取り入れた施設、ドシー(℃)について話を聞きました。

 

 

本場のサウナは水風呂がない!? スポーティーに楽しむフィンランド式

――油井さんが考える日本式とフィンランド式のサウナの大きな違いはどういったところでしょうか。

 

油井啓祐さん(以下:油井) もともと私がフィンランドのサウナに興味を持ったのは建築家の長坂 常さんがきっかけ。実際にヘルシンキに行って本場のサウナを体験してみると、日本のサウナとまったく違うことに驚きました。

 

まず、日本のサウナは温浴というニュアンスが強いですが、ヘルシンキではもっとスポーティーなイメージです。まず、水風呂というものがないんです。例えば森の中や、海沿いにあるサウナですと、サウナで汗をかいた後、目の前が湖だったり、海だったりするので、いきなりそこに目の前に飛び込むわけです。

 

または街中にあるサウナですと、目の前に水場がないのですが、汗をかいた後、ただ外に出るだけなのです。北欧で寒いためから、そのまま外に出るだけで十分身体が冷却できるから……という意味です。

 

つまり、本場では水風呂という機能はサウナ側では提供しておらず、「汗をかいたら、外で身体をリフレッシュしてくれ」というフローなんですね。日本式サウナに対し、特に衛生面で疑問を持つところが多々ありましたので、このフィンランド式に僕はとても納得しました。

 

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日本式サウナは、海外の寿司屋のカリフォルニアロール状態!?

――油井さんが日本式サウナに疑問を持っていたのはどういうところでしょうか?

 

油井 例えば、天然水の肌あたりの良い軟水が豊富に湧き出るような場所であれば、水風呂も気持ち良いと思いますが、自分が知る限り、日本全国でそういうところは2つ3つしかありません。

 

普通の日本式サウナは、塩素を加えた水を使い、循環・濾過させて水風呂を用意しているわけですが、自分の衛生基準としてはあまり好めるものではないと思っていました。

 

また、一般的なサウナ施設は、スーパー銭湯のように温浴とセットになっていて、飲食をする場所も複合しているケースが多いですよね。だから、一般的に「サウナに泊まる」と言うと、お酒を飲んだ後、ベロベロになってサウナに入ってそのまま寝るということになるわけですが、これもあまりヘルシーじゃないと思っていました。

 

ですから、ヘルシンキの健康的でオープンなサウナを知って「これだ!」と思ってサウナの良さを見直したわけです。

 

海外のお寿司屋さんに行ったら、カリフォルニアロールが出てきて「え?」となるようなものが、いわゆる日本式サウナじゃないかと思うんです。日本にサウナが入ってきたのは前の東京オリンピックのころで、まだ本場の情報が乏しかった。もともとあった日本の温浴文化のおまけとして加わって独自に確立していったというのが日本式サウナだと思うので仕方ないことかもしれませんが、これが僕はどうも親しめなかったんです。

 

それよりもサウナ自体をスポーティーに捉え、レクリエーションの一つとして親しんでいるのが本場式です。ヘルシンキのサウナでは休憩の合間にビールは飲んでいますが、どちらかと言うとスポーツジム感覚で楽しむものと映りました。ドシー(℃)ではそれを敷衍させ、これからジョギングする人がビールを飲んだりしないのと同じ感覚で、アルコール類の販売はしていません。

 

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本場ヘルシンキのサウナが、街中に3軒しかない理由

――その本場ヘルシンキですが、街中のサウナは何軒くらいあるのでしょうか?

 

油井 聞いた話ですけど、ヘルシンキ市街だけで言うと3軒だけだそうです。

 

――本場なのに……ですか?

 

油井 街自体が小さいということもありますが、何故それだけ少ないかと言うと、フィンランド人はサウナ設備を持っている家が多いからだそうです。それだけフィンランド人にとってサウナは身近なものですから、やはり僕らがイメージする日本式サウナというのはちょっと変わっているんだと思います。

 

――そういう状況を打破するために、油井さんが代表を務めるナインアワーズで、都内にドシー(℃)を開店させたわけですね。

 

油井 そうです。もともとカプセルホテルのオペレーションをやっていたわけですが、前述の通り、我々が望む品質の温浴サービスは日本、特に都内ではまず難しいだろうと。そこで本場フィンランド式のあり方に、ナインアワーズ独自の衛星基準や品質に対する考え方を加味して、全く新しいフォーマットのサウナを提供出来ないかと思って始めたのがドシー(℃)だったわけです。

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↑ドシー(℃)恵比寿の店内。恵比寿駅から徒歩1分の好立地にあるサウナ+カプセルホテルの施設です。確かに一般的な日本式サウナと違い、スポーティーでお洒落な内装

 

 

ミントの水蒸気でスッキリとしたロウリュを!

――確かにドシー(℃)はサウナですが、水風呂がありませんね。

 

油井 それはさっき言った理由からですね。本当はサウナで汗をかいていただいた後、水風呂ではなく外気浴でリフレッシュして欲しいとも思ったのですが、高温多湿の東京では難しいわけです。

 

ですので、サウナで汗をかいた後のリフレッシュには、ウォームピラーを設置しています。一本の水の柱が頭上から流れて出てくるシステムなのですが、冷たい水が好きな人もいれば、苦手な人もいますので、浴びる水の温度を15℃~30℃、さらに常温を用意しています。

 

――サウナの中には自分で出来るロウリュもあります。

 

油井 ロウリュは本来、サウナには欠かせない習慣で、熱したサウナストーンに自分で水をかけ、水蒸気を発生させることでさらに発汗作用を促すものです。

 

ですが、日本式サウナだと、ある一定の時間に、サウナの中にスタッフが来て「いまからロウリュやります!」みたいな流れですよね。ドシー(℃)ではお客様自らがいつでもご自身でロウリュできるシステムにしています。

 

――ここも本場式というわけですね。

 

油井 はい。自分でロウリュが出来ないサウナというのはフィンランドでは考えられません。また、ドシー(℃)のロウリュの水はアメニティでご協力いただいているTAMANOHADAさんが生産する生ミントを使ったミントウォーターを使っているので、水蒸気はミントの香りがします。これここもドシー(℃)独自のものですね。

 

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↑ミントの香りでスッキリしたロウリュを行い、サウナを浴びた後は、このウォームピラーでリフレッシュ。ウォームピラーのほかに、ドシー(℃)限定の独自開発のボディソープ、シャンプーなどがあるシャワールームもあります

 

 

スポーツジム感覚で気軽にサウナに触れて欲しい

――これまでの日本式サウナとは違うドシー(℃)ですが、カプセルホテルもあるので、宿泊はもちろん仮眠などの使い方も出来そうです。

 

油井 逆に一般的な日本式サウナのような、ゆったり過ごすせるようなスペースはドシー(℃)にはないんです。だからこそ本当にスポーツジム感覚で、「ちょっと時間が空いたからリフレッシュしよう」というような使い方をしていただきたいと思っています。仕事の合間、ササっと気軽にサウナを味わって、リフレッシュしたら、また仕事に戻るというような……。

 

実際、今ドシー(℃)を利用してくださっているお客さまは比較的若い、20代~30代の方で、健康志向の強いオシャレな方が多いのです。きっとそうやって気軽にサウナを使ってくださっているのではないかなと思っています。

 

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↑現在、ドシー(℃)は恵比寿駅近くに1店舗を展開していますが、今年春には五反田もオープン予定です。本文にもある通り、仕事やプライベートの合間に、スポーツジム感覚で本場式サウナを体験出来る画期的な施設です

 

 

取材終了後、筆者もドシー(℃)のサウナを体験させていただきましたが、確かにこれまでの日本式とはまるで違いました! 何よりミント水でのロウリュが気持ち良かったです。日本人にとっては新しい、本場式をベースにしたサウナ、一度体験されてみてはいかがでしょ