今年もまた、花粉症の人にはつらい季節がやってきました。2018年は東北地方で前年の2倍以上、関東甲信、四国では約1.5倍超の量の花粉が飛散すると予測されています(日本気象協会調べ)。
花粉症は、「いったん発症すると、30年程度は治らない」とも言われています。寒い冬が終わって暖かな陽気になったのに、花粉の恐怖で外出もままならない……。そんな日々を何十年も繰り返さなければならないと思うと、憂鬱になりますよね。
そこで、花粉症に悩まされるこの時期を少しでも気分よく過ごせるように、花粉症とどう上手につきあったらいいか、ドクターに聞きました。
花粉症治療は2月後半からスタートを!
花粉症の症状を少しでもやわらげるためには、花粉が飛び始める2 週間くらい前から初期治療を行うことが効果的です。たとえば最も代表的なスギ花粉は、2018年は福岡の2月下旬から3月上旬を筆頭に、大阪や広島で3月上旬から中旬、東京では3月の上旬から4月上旬くらいまでに飛散のピークを迎えるとの予測が。となると東京では、2月の後半には治療をスタートさせるのが理想です。
早めに治療を行うと、くしゃみ、鼻水、目のかゆみといった症状の発症を遅らせ、花粉の飛散ピーク時のつらさを軽減できます。結果的に、処方される薬の量を減らすことも期待できるのです。
具体的な治療法は、大きく分けて3種類あります。
1.薬物療法
多くの方が行うのが、「薬物療法」です。アレルギーを抑える内服薬や、鼻に直接スプレーを投与する点鼻薬、目薬などを使います。
2.手術療法
ふたつ目は、鼻詰まりがひどい場合に行う「手術療法」です。これは、鼻の粘膜の一部を除去したり、鼻の粘膜にレーザーを照射したりして、アレルギーを起こす部位を減らす治療法です。
3.減感作療法
3つ目はアレルギーの原因物質を微量から注射し、抵抗力をつける減感作療法です。最近は注射ではなく、舌の下に置いて体内に吸収させる舌下免疫療法も保険適用になりました。少量からスギ花粉などのアレルゲンを投与し、3〜5年ほどかけて体をアレルゲンに慣らしていくので、治療に長期間かかりますが、完治できる可能性の高い方法です。
以上からどの治療法を行うのかは、医師とよく相談してから決めるようにしましょう。
日常生活では免疫力アップと花粉ブロックの2本柱が効果的
そもそも免疫力が低い状態では、花粉症の症状を悪化させてしまいます。そのため、免疫力を高める生活を心がけることが大切です。
免疫力を高めるには、質の良い睡眠やバランスの良い食事、規則正しいリズムで生活することが効果的です。特に、深く質の良い睡眠を得るためには、寝る2時間前までに食事を済ませましょう。仕事の都合などで早めに夕食をとることが難しい場合には、野菜中心のヘルシーな軽食にし、アルコールの量を控え、胃の負担を軽くできるように努めましょう。
22時〜2時の間は人間の成長ホルモンがもっともさかんに分泌される“睡眠のゴールデンタイム”と言われています。成長ホルモンの分泌が盛んになることで、体の不具合を修復したり、免疫力をアップしたりする効果が期待できます。このため、なるべく22時には就寝できるようにし、睡眠のゴールデンタイムの中は、少しでも長い時間、睡眠状態を保てるようにしましょう。
また、喫煙は鼻の粘膜を刺激して花粉症の症状を悪化させるので、なるべく控えるようにしましょう。
そして、少しでも花粉との接触を避けることも大切です。花粉をブロックするために以下の5つを習慣にしましょう。
1.マスクを着用する
マスクの着用により、吸い込む花粉を大幅に減らすことができます。また、花粉症ではない人も、花粉を吸い込む量を少なくすることで、新たに花粉症になるリスクを減らせます。
メガネが曇らず、コスパも優秀!
鼻の形にぴったりとフィットする「ノーズフィッター」で、マスク着用時のメガネの曇りを防ぎ、独自開発の「ガードステッチ」により鼻と口部分をしっかりと覆うことができます。ほかにも耳への負担が少ないワイド幅ゴムで長時間のマスク着用をサポート。高性能マスクでありながら、このコスパは魅力的です。レギュラータイプ以外にも、レディース&ジュニア、キッズサイズの展開があります。
2.こまめにうがいする
うがいは、のどに流れた花粉を除去するのに効果があります。風邪の予防にもなるので、歯磨きや帰宅時、外出先ではトイレへ行ったついでなど、こまめにうがいをしましょう。
3.帰宅後に洗顔とブラッシングをする
頭と顔は、体の中で特に花粉が付着しやすい部分です。でかけるときには帽子を着用し、帰宅したら髪のブラッシングと洗顔をすることで、付着した花粉を取り除きましょう。
肌や髪に付着する花粉をブロック!
花粉やPM2.5(大気中に浮遊する直径2.5マイクロメートル以下の物質)の、肌への付着を防ぐスプレーです。顔や髪、マスクや衣類の上からシュッと吹き付けることで、花粉の付着を減らすことができます。メイクの上からでも使えるので、化粧直し時の保湿スプレーとしても重宝します。マスクの装着を嫌がるお子さまの花粉対策にもおすすめです。
ワセリンによる保湿で花粉の肌浸透を防ぐ!
サンホワイトP-1 チューブ品(50g) 1296円(参考価格)
「サンホワイトP-1」は、高品質な白色ワセリン100%。無香料、無着色、保存料不使用で、皮膚にやさしく赤ちゃんから大人まで安心して使えます。ワセリンの保湿効果で花粉による肌の乾燥を防ぐ以外にも、肌の表面や目元、鼻の下や穴の入り口に薄く塗ることで花粉の肌浸透を防ぐことができます。
4.メガネを着用する
花粉症対策専用のメガネを着用することで、目に入る花粉を大幅に減らすことができます。最近は普段使いにも違和感なく使えるおしゃれなものが増えてきていますので、好みのものを探してみましょう。
花粉をシャットアウトし、保湿もできる!
普通のメガネと変わらない見た目なのに、目元をがっちりブロックしてくれる花粉カット専用のメガネです。2018年1月に発売されたこちらの新商品は、レンズ横部分にウォータポケットが付いています。付属のスポンジを水に湿らせて、ウォータポケットへセットすれば、目元の乾燥を防げます。
5.光沢のある服を選ぶ
ポリエステルやナイロン、皮製品など、表面がツルツルとした光沢のある素材の服を着用し、花粉の付着を防ぎましょう。ウール類は花粉が付きやすい上に静電気も発生しやすいので、避けるようにしましょう。
ほかにも、ペパーミントやユーカリの精油には、花粉症の症状をやわらげる効果があると言われています。ペパーミントやユーカリの精油を水で薄めたものをマスクにシュッとふと吹きしたり、布団やまくらに吹き付けたり、入浴時に精油をお風呂に入れたりすると、すっきりしますよ。花粉症の診断を受けたら、花粉飛散の前に治療を開始して症状をやわらげ、免疫力の上がるような生活習慣を心がけましょう。
花粉症対策を効果的に取り入れて、今年の春は例年よりもラクに過ごせますように!
※商品の価格はすべて税込です。
【Profile】
上高田ちば整形外科・小児科 副院長 / 千葉智子
昭和大学医学部医学科卒業。東京、神奈川の病院、クリニック勤務を経て、整形外科医の夫とともに「上高田ちば整形外科・小児科」を開業。年々増加する子どものアレルギー疾患に関して、日々の治療や、ホームケアの具体的な方法を提供している。各種メディアへの小児医療へのコラム執筆や、保護者向けへの小児科のかかり方、ホームケアについての講演にも力を注ぐ。現在3児の母として子育てにも奮闘中。
上高田ちば整形外科・小児科 http://chiba-cl.net/index.html
取材・文=今井美由紀(Neem Tree)