ヘルスケア
マッサージ器
2022/12/9 19:00

筋膜リリースに! 整体のプロが選んだ「マッサージガン」最新おすすめ7機種

筋肉を包む薄膜である “筋膜(きんまく)” が柔軟性を失うことで起きる、身体のコリや痛み。そこで筋膜をほぐす “筋膜リリース” が、近年注目されています。この筋膜リリースを効果的に行い、筋肉のコリをほぐすと人気なのが、その名の通り銃のような姿をしたマッサージャー「マッサージガン」。

 

マッサージガンがもつメリットから選び方のポイント、そして最新モデルからおすすめの7機種を、柔道整復師の奥村豪宏さんに教えていただきました。

 

医療現場で使われていた専門器具「マッサージガン」

プロの手技を再現したエアポンプ式、電気信号を送り込む低周波式、とマッサージャーも次々とトレンドが変遷。目下、人気なのが「マッサージガン」です。先端のアタッチメントが振動することで筋肉の弛緩を促し、血行促進を期待できるマッサージャーで、パワフルな振動と豊富なアタッチメントが魅力。価格は5000円〜3万円台とレンジが広く、ストローク幅(振幅)、振動数、アタッチメントの数や種類、重さ、形状、振動音なども機種によってさまざまです。

 

奥村さん自身、日頃からスポーツを楽しんでいることもあり、身体のケアにはマッサージガンを愛用しているといいます。

 

「マッサージガンは新しい製品のように思われますが、実は10年以上前から、病院などの医療現場で使われてきました。家庭用が登場し、店頭でよく見かけるようになったのは3年ほど前だったと思います。年齢・性別問わずとくにスポーツをされている方から人気があるようです。また、普段はスポーツをしていなくても、整体、マッサージ、パーソナルトレーニングなどに定期的に通うような、身体のメンテナンスに気を遣う方からも最近は関心が高いですね。うちの整体院には「どんなモデルがおすすめか』という問い合わせに加えて、すでにお持ちの方から『使い方が分からないから教えてほしい』という声も増えています」(柔道整復師・奥村豪宏さん、以下同)

 

凝りや痛みの改善から、運動パフォーマンスの向上まで。 “筋膜リリース” の効果とは?

マッサージガンを使うことで筋膜リリースが手軽にできると話題になっていますが、そもそも筋膜リリースをすることで、身体、また筋肉に対してどのような効果が期待されるのでしょうか?

 

「筋肉は脳から電気信号が届くと収縮します。筋肉が硬くなっている、つまり凝っているところは、脳からの電気信号が過剰になっていて、筋肉が緊張している状態だといえます。例えば、パソコン作業で肩を丸める姿勢が多いと、肩まわりの筋が伸びきった状態になり、それを縮ませようと脳からの過剰な信号により肩まわりに硬さが出て“肩こり”という状態が生じます。

 

そこへ、マッサージガンで振動刺激を与えることにより、筋肉に軽微な伸び縮みを起こします。すると、筋肉内にある筋肉の長さや張りを感知するセンサーが反応し、筋肉を緩める反応が起きます。筋肉が緩むことで、体の可動域が広がり体を楽に動かしやすくなるのです。また、筋肉が緩んで動かしやすくなることで血液循環が良くなり、様々な症状の改善やケガ予防、運動パフォーマンスの向上にもつながります」

 

マッサージガンはどんな症状の改善に役立つ?

奥村さんは日頃、整体院で患者に施術を行いながら、自宅でのセルフケア用にマッサージガンの使用をすすめることもあるそう。もちろん施術でないと難しい場合も多いようですが、自宅で手軽に使えるマッサージガンは重宝するとのこと。実際にどんな症状に効果的なのでしょうか?

 

1.腰痛、膝痛、筋肉痛

「膝の痛みは関節自体が悪い場合は改善が難しいですが、関節周りの筋肉をほぐすことで関節の動きがスムーズになり、痛みの緩和につながることが期待できます。また、関節自体が痛む場合でも、筋肉を緩めて調整することで膝への負担が軽減されて改善できることもあります」

 

2.肩・首こり

「5〜6kgもあると言われている頭を支えているのが、肩と首です。パソコンやスマホの長時間使用などで両肩を丸めた姿勢をとり続けると、首から肩の筋肉が緊張して血流が滞り、肩こりや首こりを起こしやすくなります。マッサージガンの振動によって緊張した肩まわりの筋肉を緩めて血流の改善を図ることで、凝り感を緩和する効果があります」

 

3.姿勢の歪み(猫背)

「私たちの姿勢は元々、頚椎、胸椎、腰椎で自然なS字カーブを描いているはずですが、猫背になっていると胸椎が極端に丸まっている状態になります。猫背では胸まわり、お尻、もも裏などの筋肉が縮んで硬くなり、背筋を伸ばしたくても伸びにくい状態になっています。マッサージガンで筋肉を緩めることで背筋を伸ばしやすい状態をつくり、本来のS字カーブの背骨に近づけていくことができます。この状態で体操やウォーキングなど、運動を合わせると、より効果的です」

 

4.むくみ

「筋肉量が少ない傾向にある女性が気になりがちな“むくみ”も、運動不足や長時間同じ姿勢をとり続けることによる血行の悪さが原因として挙げられます。むくんでいる部位の筋肉をほぐして血行を促進することで、むくみの改善につながります」

 

5.運動不足

「マッサージガンで刺激を与えることにより、脳が筋肉を使ったと錯覚する効果が認められています。実際に動くことには敵わないですが、運動したときとほぼ同じような脳の活動が起きるので、日常的に運動する時間が確保できない忙しい方やご高齢の方におすすめです。麻痺のある方にリハビリとして使用されている例もあります」

 

6.慢性痛

「体は基本的に使わないと機能が低下してくるので、痛みを鎮める反応も鈍くなってきます。その結果、少しの痛みでも過剰に痛みを感じやすくなり、これが慢性痛の原因になっていることがあります。マッサージガンで刺激を加えることにより、反応が鈍くなっていた部位をもう一度脳に教え直す効果があるという研究も出てきているようです」

 

手になじむ形状と重さがポイント! マッサージガンの選び方

・持ち続けても負担にならない重さか?

「手に持って体に当てて使うので、持ち続けてもつらさを感じない重さのものを選ぶことが大切です。中には1kg程のものもありますが、長時間使い続けるのは大変かもしれません。メーカーによって約250g〜1kgまで差があるので、自分が手に持って操作するのに負担にならない重さを選びましょう」

 

・手になじむ形状か?

「マッサージガンの形状は、ガンタイプと、筒状の本体の下にヘッドがついているスティックタイプの2種類があります。自分が扱いやすい形のものを選びましょう」

 

・使用や持ち運びに便利なコンパクトサイズか?

「小さくてもパワーが劣るものは少ないので、個人的にはコンパクトなものが、実際に使う場面でも持ち歩く場面でも便利だと思います」

 

・丸形・深型・二股・平型…基本的な4種類のアタッチメントがついているか?

「アタッチメントの種類は豊富なもので7種類もあるものもありますが、オードソックスな丸形、深型(ピンポイント型)、二股(U字型)、平型の4種類が付いていれば、十分全身にフィットさせて腱に振動を伝えることができます」

 

・3段階以上のレベル調整があるか?

「3段階はレベルの調整ができると便利ですが、ほとんどのメーカーに備わっており、最大振動数は3000〜3500回程とたいして差がないのが現状です」

 

・ストローク幅は自分の体型に合っているか?

「ストローク幅(振動の揺れ幅)はメーカーによって4〜14mmと異なります。筋肉が分厚い方、ふくよかな体型の方は、ストローク幅の大きいものを選んだ方がケアの幅が広がります」

 

現状では、レベル調整の段階数、アタッチメントの種類、静音性はメーカーによって大差はないとのこと。価格によっても性能はあまり変わらず、自分の手になじむ形状や重さ、体型に合わせたストローク幅で、なるべくコンパクトなものを選ぶのがポイントになりそうです。

 

柔道整復師・奥村豪宏さんがおすすめする、最新マッサージガン 7選

 

1.ドクターエア「リカバリーガン RG-01」9900円(税込)

暮らしに寄り添うデザインと機能を追求している健康器具メーカー、ドクターエアのボディケアツール「リカバリーガン RG-01」は、普段から陸上をされている奥村さんもご自身のケアに愛用中とのこと。最大振動数3500回、弱・中・強モードの3段階で強さを調整可能です。基本的な4種類のアタッチメントが付いており、これ1台で手軽に全身のケアをおこなうことができます。

 

「手になじむ扱いやすいシンプルな形状で、コンパクトさ、価格などのバランスがちょうど良いマッサージガンです」

 

2.ドクターエア「リカバリーガンPRO RG-02」3万3000円(税込)

最大の特徴は、12mmの大きなストローク。低速から高速まで4段階のスピード調整が可能なうえに、負荷をかけると自動的に振動数が上がるので、強さを自由自在に変えられることができ、筋肉の奥までしっかり振動が伝わります。また、オリジナルの開閉アームが付いており、アームを開けば手が届きにくい背中や腰なども対応可能に。本格的に全身のケアをしたい、トレーニングの質を向上させた方向けの万能な1台です。付属品をまとめて収納できるケース付きなので、トレーニングの相棒として持ち歩きにも便利です。

 

「1kgの重さが気にならなければ、アームが付いているのでハンディタイプでは当てにくい背中などに幅広く使用できるのがうれしいポイントです。ストローク幅が12mmと大きいので、筋肉が厚い方にもおすすめです」

 

3.アテックス「モノルルド リリースガン プラスアーム AX-HXL236」1万4800円(税込)

「モノルルド リリースガン プラスアーム」は、スタイリッシュで約250gの手のひらに収まるコンパクトサイズなので、専用ポーチに入れてバッグに忍ばせておけば、いつでもどこでもケアが可能。ゲル素材のオリジナルアタッチメントを搭載し、プニプニとした独特の弾力が体への衝撃をやわらげ、振動をやさしく伝えます。骨の近くなどデリケートな箇所にも使いやすく、初心者にも安心です。付属の専用アームを付ければ、手が届きにくい背中も楽々セルフケア可能に。色はブラック、グレーの他に、女性も使いやすいおしゃれなアッシュピンクを加えた3色展開です。

 

「振動数などのパワーが劣ることもなく、他のコンパクトタイプの約半分の重さを実現しているモデルです。使用時の手のだるさを心配する方におすすめです。アームも付いているので、背中などセルフケアしづらい箇所にも手軽に使えます」

 

4.サンディスクジャパン「ADORIC BEAUTY コンパクトハンディガン」9900円(税込)

約370gの最軽量クラスでありながら、最大振動数3200回、ストローク幅10mmとパワフルな1台。5000mAhの大容量バッテリーを内蔵し、1回の充電で6〜8時間使用可能なうえ、いざという時はスマートフォンなどデジタルデバイスにつないで充電することもできるので、付属の収納ケースに入れて出張や旅行にも安心して持って行くことができます。

 

「価格、コンパクトさ、振動数と、バランスがちょうど良い1台です。さっと収納できる袋が付いているので、携帯にも便利ですね」

 

5.opove「M3 Go」1万3900円(税込)

ストローク幅が大きいほど筋肉の奥深くまで振動が届く一方、本体のサイズも大きく扱いにくくなってしまいがちです。そこで、9ヶ国で事業展開をしている家電メーカーopoveが導き出したのが「M3 Go」。スマホサイズで640gという程よい重さを保ちつつも、10mmのストローク幅があり、約14Kgの相当の圧力に耐えられる高性能を兼ね備えたモデルです。通常の4種類に加え、緩衝形、T字形を加えた計6種類のアタッチメントが付いているので、全身のあらゆる部位のケアに使えるのはもちろん、グリップ部分が細く設計されており女性でも片手で簡単に扱えます。

 

「本体がコンパクトなのに、ストローク幅などの性能がしっかりしています。充電ケーブルやアタッチメントも一緒に収納できる専用の収納ケースが付いており、スポーツ現場や出張先などに携帯しやすいところも利点です」

 

6.MYTREX「MYTREX REBIVE」2万3980円(税込)

医療機器認証を取得した本格的なマッサージ機器。片手で使いやすい約680gのコンパクトさで、毎分最大3100回のパワフル振動を実現したマッサージガンです。振動レベルは5段階でボタン調整が可能で、さらに押し当てる強さでパワーが変化するので、好みの強度で使用できます。

 

「最大振動数が3100回という高性能だが、重すぎることもなくバランスがいいので、初心者にもおすすめです。ストローク幅がありすぎると骨に響いたりすることもありますが、こちらは8mmと首肩周りにもちょうど使いやすいストローク幅だと思います」

 

7.MYTREX「MYTREX REBIVE MINI」1万4960円(税込)

身体だけでなく、フェイスラインも整えたい人にもおすすめ。約370gと軽量でコンパクトながら、毎分最大3000回の振動と7mmのストローク幅があり、使い勝手の良いマッサージガンです。顔全体の印象の決め手となる「顔筋」に着目した、顔に優しくフィットする専用の緩衝形アタッチメントを付属しています。

 

「軽くて振動もパワーもあり、顔にも使えるのはいいですね。顔専用のアタッチメントを使用してデコルテラインの血行の循環を促してむくみをすっきりさせたり、食いしばりで固くボコッと出てくる顔のエラを目立たなくすることができると思います。頭は振動が伝わりやすいところなので、緩衝形アタッチメントで優しく顔のケアまで行いたい方にはおすすめです」

 

肩こりなど慢性的な悩みの改善から、スポーツのパフォーマンス向上まで、自分で好きな時間に身体を整えられる心強い存在、マッサージガン。お気に入りの1台を見つけ、運動不足になりがちな冬に向けてセルフケアを始めてみてはいかがでしょうか。

 

【プロフィール】

おくむら整体院 柔道整復師 / 奥村豪宏

整骨院とリハビリデイサービスに勤務中、学生から要介護者まで幅広いサポートに携わり、2022年兵庫県西宮市に「おくむら整体院」を開業。臨床15年の経験を生かして、ランナー、陸上競技者をはじめとしたスポーツ愛好家の方の怪我ゼロを目指し活動中。マッサージガンの使い方など、セルフケアの方法をInstagramで発信している。


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」