大手家電メーカーがひしめく炊飯器カテゴリーへ、新興メーカーから新たな製品が続々と参入。これらの炊飯器は、従来モデルとはまったく異なる方式を採用しているのが特徴です。まずバルミューダは、水蒸気の力で炊き上げる方式を採用。バーミキュラは、定評のある鋳物ホーロー鍋をベースにIHヒーターを組み合わせています。一方、王道メーカーはかまど炊きを目指し、長年蓄積した技術により、大火力で米をふっくらと炊き上げることを追求してきました。果たして、両者の味を実際に比べてみたらどうなのか? 気になる読者は多いはず。そこで今回は、絶大な人気を誇る王道メーカーの高級炊飯器3機種と話題の2モデルを集め、そのごはんの味(すべて普通モードで炊飯)や機能性をプロに評価してもらいました。果たして結果やいかに?
炊き上がりを採点したのはこの人!
五つ星お米マイスター 西島豊造さん
米屋「スズノブ」の代表取締役。お米博士としてメディアに多数出演しています。
操作性/メンテナンス性を採点したのはこの人!
家電コーディネーター 戸井田園子さん
雑誌やテレビなどで幅広く活躍。ユーザー目線の鋭い製品批評で人気を集めています。
1位
もっちり感が進化した「Wおどり炊き」でどんなおかずにも合う
スチーム&可変圧力
IHジャー炊飯器 SR-SPX106
実売価格7万2080円
かまど炊きのごはんを目指し、熱対流と可変圧力の2つの方式で米をおどらせてムラなく炊く人気モデル。通常、水分量が少ない沸騰維持後半では、米同士の摩擦で米をおどらせるのが難しいのですが、本機は減圧速度を緩やかに調整して、これを克服。粒の表面を崩すことなく、より長い時間米をおどらせることに成功しました。従来より米がおどる時間を長くしたことで、ご飯の甘みとハリを向上させています。強度を高めた内釜「ダイヤモンド竈釜」は、5年もの長期保証に対応。41種類もの銘柄炊き分け機能も搭載しています。
西島さんのごはんの炊き上がりチェック!
おかずの素材が生きる味! 高齢の方にもオススメ
ツヤ 20/20点 甘さ 16/20 柔らかさ 20/20点 粘り 16/20点 香り 12/20点
合計84/100点
「いま流行りの“もちもち寄り”ですが、粘り、柔らかさ、甘さ、米粒感のバランスが良い。おかずの素材が生きるので、刺身や海苔の佃煮、明太子のような朝ごはんのおかずに合います」(西島さん)
戸井田さんの操作性/メンテナンス性チェック!
炊き分けセンス抜群だが水洗いパーツは多め
操作性 90/100点
「本体で選べるメニューが豊富で、アプリ『銘柄コンシェルジュ』を連動させれば46銘柄の炊き分けも可能。『赤飯』メニューもレアですね」(戸井田さん)
メンテナンス性 80/100点
「スチーム噴射用の水容器があるため、今回ではパーツが最多。内釜は金属製で、取り扱いにさほど慎重にならなくていいのもうれしいですね」(戸井田さん)
同率2位
お米を芯からふっくらさせる高級炊飯器の代名詞的モデル
ZOJIRUSHI
圧力IH炊飯ジャー
「南部鉄器 極め羽釜」NW-AS10
実売価格14万5160円
羽釜形状の内釜に、伝統工芸品の南部鉄器を使用。大火力(最大1450W)と高圧力(最大1.5気圧)で「プレミアム対流」を搭載し、豊かな甘みを引き出します。ボタンを軽く押すだけで本体のフタが自動で閉まる「スマートクローズ」機能を新採用。アンケートに答えると好みの炊き方に近づけてくれる「わが家炊き」メニューも搭載しています。
西島さんのごはんの炊き上がりチェック!
肉料理や味の濃い料理との相性が良い
ツヤ 20/20点 甘さ 16/20 柔らかさ 12/20点 粘り 16/20点 香り 16/20点
合計80/100点
「柔らかすぎず硬すぎない、のどごしが良いごはん。食べ盛りの子どもも大好きな味です。豚のしょうが焼きや鶏の唐揚げといった肉料理、味の濃いお総菜との相性も良いです」(西島さん)
戸井田さんの操作性/メンテナンス性チェック!
圧力IHなのにラクにふたが締まるのが便利
操作性 80/100点
「モード数もアイコンも最小限で、直感的に操作できます。でも、炊くお米の合数を指定する必要があるのがやや面倒かもしれません」(戸井田さん)
メンテナンス性 80/100点
「蒸気口が本体一体型で洗うパーツが少ないのが良い。ただし、ふた裏は念入りに拭き掃除を。内釜が重く女性は大変かも」(戸井田さん)
同率2位
“ 理想の鍋” が炊飯器に進化! 様々な料理に使える万能モデル
愛知ドビー
バーミキュラ ライスポット
実売価格8万6184円
同社の鋳物ホーロー鍋の技術と、火加減をオートにできるIHヒーターを組み合わせた炊飯器。フタと本体との密閉性の高さには定評があり、フタと本体の接合部の誤差は0.01mm以下となっています。また、鍋には3つの技術を組み合わせた熱伝達技術「トリプルサーモテクノロジー」、ヒーターには、かまどのような立体的な加熱を実現する「ラップアップヒートテクノロジー」を採用。この2つのテクノロジーで激しい熱対流を起こし、一粒一粒のお米をムラなく加熱します。
西島さんのごはんの炊き上がりチェック!
適度な甘みとしっとり感で塩分のある和食にマッチする
ツヤ 20/20点 甘さ 16/20 柔らかさ 12/20点 粘り 16/20点 香り 16/20点
合計80/100点
「昔ながらの羽釜に近い炊き上がり。ただ硬さはそこまでなく、しっとり感が出ています。普通の炊飯器から乗り替えても違和感はないでしょう。煮物などの和食に合う味です」(西島さん)
戸井田さんの操作性/メンテナンス性チェック!
鍋のように直感的に使えるただし……結構重い!!
操作性 80/100点
「モード数もアイコンも最小限で、直感的に操作できます。でも、炊くお米の合数を指定する必要があるのがやや面倒かもしれません」(戸井田さん)
メンテナンス性 70/100点
「鍋とふたともに樹脂のパーツがないので、ニオイが付かないのが良い。料理に使っても安心です。ただし、鍋がずっしり重いのが難点」(戸井田さん)
4位
蒸気の力で炊き上げる硬めのごはんは若い人向き! ?
バルミューダ
BALMUDA The Gohan
実売価格4万4820円
3合炊きの炊飯器。2種類の釜を搭載しており、外釜と内釜の間に入れた水を蒸発させ、その力でごはんを炊く方式を採用しています。保温機能は省略していますが、断熱性があるので、炊き上がり約1時間後も温かさをキープ。カラバリは、ブラック(写真)とホワイト。
西島さんのごはんの炊き上がりチェック!
さっぱりした硬めのごはんは重めの料理との相性が良い
ツヤ 20/20点 甘さ 16/20 柔らかさ 8/20点 粘り 12/20点 香り 16/20点
合計72/100点
「米粒にハリがあって食べやすい。さらさらと喉を通ります。さっぱりしているので、味の濃い料理、油っぽい料理にも合うでしょう。お弁当のごはんにもオススメです」(西島さん)
戸井田さんの操作性/メンテナンス性チェック!
シンプルな構造なので取り扱いがラクなのが好印象
操作性 100/100点
「モードが少なく保温機能もないので、操作に迷わない。外釜に水を入れる手間がありますが、あまりストレスはなし!」(戸井田さん)
メンテナンス性 90/100点
「外釜・内釜と、釜が2つありますが、どちらも薄くて軽いので扱いやすい。裏ぶたなどを洗うのもラクなのが好印象です」(戸井田さん)
5位
炭で作られた羽釜がしっかりとお米の個性を引き出す
三菱電機
三菱IHジャー炊飯器
本炭釜 KAMADO NJ-AW107
実売価格10万5140円
純度99.9%の炭を削り出し、約100日かけて作る羽釜形状の「本炭釜」を採用。釜厚全体が発熱し、従来比約112%の大火力炊飯で、かまどで炊いたようなふっくらとみずみずしいご飯に仕上げます。計29種類の銘柄炊き分けモードを備えるほか、音声ガイド機能も搭載。
西島さんのごはんの炊き上がりチェック!
どんな人にもどんな料理にも合う良バランス
ツヤ 16/20点 甘さ 16/20 柔らかさ 12/20点 粘り 12/20点 香り 12/20点
合計68/100点
「突出した印象はありませんが、味のバランスが良く、誰が食べてもおいしく感じられるはず。この3機種では一番硬め。ハリのあるしっかりしたごはんなので、親子丼や天丼に合います」(西島さん)
戸井田さんの操作性/メンテナンス性チェック!
炊き分けの豊富さはマニアでも満足できる
操作性 80/100点
「米種×炊き分けで23、『炊分け名人』で15、「銘柄芳醇炊き』29品種×食感9通りと、300通り近くの炊き分けができてスゴい!」(戸井田さん)
操作性 80/100点
「水洗いパーツが3つと少なく手入れしやすい。炭の内釜は軽く扱いやすいですが、欠けや割れが生じることもあり取り扱い注意ですね」(戸井田さん)
技術を蓄積してきた王道メーカーに一日の長あり
新規参入のバーミキュラ、バルミューダに話題が集まりましたが、今回は米をおどらせて炊くパナソニックの「Wおどり炊き」に軍配が上がりました。かまど炊きを目指し、米をおどらせる技術を蓄積してきたメーカーに、一日の長があったといえるかもしれません。とはいえ、外が硬めで、中が柔らかいごはんを好む人がいるのも確か。水加減を調整して自分好みの味に近づけることもできるので、傾向を知ったうえで、自分にとってベストなごはんを探してみましょう!
※ごはんの炊き上がりを総合評価でチャート化しましたが、必ずしも“数字が大きい=おいしい”ではありません。自分好みの炊き上がりを探す目安としてご参照ください