筆者は今年で41歳。独身、彼女ナシ。そんな私が以前より気になっていたのが薄毛です。我ら独身中年男性にとって、薄毛は死活問題です。ただでさえ肉体は衰えてきているのに、ここでハゲたらいったい誰が振り向くというのでしょう? とはいえ、時の流れは止められません。毛髪は日に日に薄くなってきて、鏡に映った自分を見てはため息をつく今日このごろ。
立場を活用し「頭皮に効くドライヤー」の長期レビューを敢行
かといって、バカ高いAGA治療ができるわけでもなく、海外の安い薬品に手を出す勇気もない……。いったいどうすればいいのか……。そんな折に耳にしたのが、シャープのドライヤー「スカルプエステ(※)」(実売価格1万7770円)のウワサです。聞くところによるとこのドライヤー、頭皮環境を整える効果が実証されたとのこと。幸いにして筆者はGetNavi webの家電担当。わらにもすがりたい筆者は「長期レビュー」と称し、本機を1か月拝借させてもらうことにしました。
※正式名称:プラズマクラスタースカルプエステ IB-GX9K
まずは使用する前に、現状を確認してみましょう。あらためて見ると、やはりショックですね。左右こめかみの延長線上から、薄毛の溝が走っています。特にひどいのが頭頂部。こちらは、小型のUFOが着陸したのか? と錯覚させるうずまき状の薄毛地帯が。一部は、うっすらと光を反射しているではないですか……。これはまずい……。
「スカルプエステ」の何が髪にいいのか?
さて、使用の前に、まずは家電担当として、本機の何が髪にいいのか説明しようと存じます。資料によると、シャープのお家芸である空気清浄メカニズム「プラズマクラスター」が頭皮環境を整えてくれるそう。具体的には、「頭皮のうるおいを保つ、皮脂バランスを整える、ふけ・かゆみを抑える」というトリプル効果を実証したといいます。また、静電気を抑制することで、摩擦による髪の絡まりや枝毛、切れ毛などのトラブルを回避するのだとか。
これに加え、本機は2500年前から行われてきたという中国の民間療法、刮痧(かっさ※)からヒントを得て、孫の手状の「かっさアタッチメント」を採用しました。同アタッチメントは、頭皮を心地よくマッサージするとともに、プラズマクラスターが頭皮に届きやすくするはたらきもあるそうです。
※刮痧(かっさ)……専用の板やレンゲなどを使って、肌をこする方法
しかし、「プラズマクラスター」は、同社の空気清浄機や冷蔵庫などに搭載されるのが普通で、除菌や消臭を行うものというイメージがあります。ホントにそれが頭皮に効くのでしょうか? 「かっさアタッチメント」も、奇をてらって無理やり載せたんじゃないの……? 借りておきながら、そんな疑問が次々と湧いてきます。でも、悩みが切実なのですから、仕方ないですよね。
温度は絶妙! かっさアタッチメントは独特の感触
では、いよいよ使ってみましょう! 「スカルプエステ」初見の感想は、「ちょっとデカイ」……。ふだん使っているドライヤーに比べると、1.3倍くらいの長さがあります。ただ、重量はそれほど感じず、使用中に疲れたということは一切ありませんでした。
運転モードは「COLD」「SCALP」「WARM」「HOT」「BEAUTY」の5つ。温風と冷風を繰り返してキューティクルを引き締めるという「BEAUTY」モードにも興味がありますが、私はもちろん、「SCALP」一択。こちらは50℃の温風で地肌をいたわりながら乾かせるとのこと。通常のドライヤーだと、髪が焼けそうなほど熱くなることがありますが、こちらはそんな危機感を微塵も感じないほどよい温かさです。「風量」は一番弱い「SET」だと少々物足りないですが、そのひとつ上の「DRY」を使えば速乾性も十分。2~3分で髪が乾きました。
では次に、かっさアタッチメントを見ていきましょう。こちらは5本に分岐した孫の手のような形になっており、球状になった先端を頭皮に当て、滑らせるようにして動かします。最初は、アレ? 痛いかな? と思うのですが、こりこりとマッサージを続けていくと、頭皮がわずかにじんじんしてきて、温かくなってくるのがわかります。とはいえ、髪を乾かすのに何で本体をこんなに動かさなきゃならない? と、少し面倒に感じたのは事実です。
使用して1か月、髪のハリやツヤがアップした?
…中年になると時の過ぎるのは早いものです。そうこうしているうちに、あっという間に1か月が経ちました。本機を使っている間も、私は髪を洗わずに眠ったり、酒を飲みながら夜遅くまで起きていたりと、髪に悪い生活をしてきました。そんな毎日を送るなか、薄毛に改善は見られたのでしょうか?
正直言って、自分では劇的に変わったようには見えませんでした。写真を見てみると、多少は髪が増えたように見えますが、これも誤差の範囲と言われればそれまで。ただ、以前は左右そりこみ状の薄毛を隠すのに、髪を寄せたり上げたりと大変でしたが、最近はパパっと整髪料を付けるだけで、すぐに出発できるようになりました。薄毛を意識しなくなった、ということは多少は効果があったのか……。あとは、髪の感触も何だか変わったような……。髪にハリが出て立ち上がりが良くなった気がしますし、ツヤもアップした気がします。
もうひとつ、変化があったのはかっさアタッチメントに対する考え方。一度使えばわかりますが、これは絶対、髪にいい。育毛には頭皮の血行促進が重要ですが、確実にその効果が実感できますし、何より、気持ちがいいです。固い頭皮をコリコリとほぐしていく、イタ気持ちいいような、こそばゆいようなあの感覚……。その感覚がヤミツキになり、最初は面倒に感じていたこの動作も、いまでは楽しみになってしまいました。
念のため、周囲にも反応を聞いてみましょう。社内でもっとも声が小さい若手の同僚に聞いたみたところ、「…最近、髪型がスタイリッシュだなと思っていました…」と、そよ風のような声で答えてくれました。次に、先輩の女性に聞いてみたら、「興味ないんだけど……ほわっとしてるよね。前のほうは(薄毛が)目立たないかも」とのこと。なるほど、コメントを総合すると、ボリューム感が出たために髪型が決まってきた、また、前頭部の薄毛が目立たなくなってきた、と推測することができます。
欠点はあるが、もう手放せない存在に!
と、いままで「スカルプエステ」の良い部分を述べてきましたが、本機にも欠点はあります。例えば、アタッチメントの交換がとにかくやりづらいこと。かっさアタッチメントを通常のセット用ノズルに交換しようとすると、取り外しにくく、取り付けにくいのです。といっても、私はかっさアタッチメント以外を使う気はありませんので、同様に割り切って使う人には無関係かもしれませんね。あとは、通常の機種より大きいので置き場所に気を遣う点と、約1万8000円というお値段をどう思うか……。
とはいえ、本機のメリットを考えると、どれも許容の範囲です。実際のところ、数日間本機を手放していことがあり、その間に従来のドライヤーを使ったところ、かなりイライラしました。そもそも熱すぎるし、使ったあとは髪がパサパサごわごわするし、これじゃない感が強すぎたのです。その点、「スカルプエステ」だと髪がしっとりまとまるし、温度もちょうどいいし、かっさも本当に気持ち良い。あらゆる点から、もう離れられないことに気がつきました。なるほど、「スカルプエステ」とは、身体が欲するドライヤーだったのだな……1か月使ってみて、そう強く感じた次第です。