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2017/7/12 22:11

シャープ「ラクティブ エア」を9項目で検証! 「外せるバッテリー」の絶大なメリットも明らかに

本サイトでは、最新コードレス掃除機のなかでも、特に人気の高い5機種を集め、9項目で徹底的に比較・検証した記事を連載してきました。今回は、超軽量モデルとして話題のシャープ「RACTIVE Air(ラクティブ エア) EC-A1R」にフォーカスし、そのテスト結果を振り返っていきます。

 

本体質量1.5kgを実現し高所の掃除もラクラク

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シャープ

RACTIVE Air(ラクティブ エア) EC-A1R

実売価格4万8470円

本体パイプ部に軽量高剛性のカーボンを採用するなどして、本体質量1.5kgを実現した超軽量モデル。エアコンの上など、高所の掃除が得意です。大風量ターボモーターと遠心分離サイクロンを搭載し、微細なハウスダストもパワフルに集じん。セパレート式のバッテリーはわずか80分でフル充電が可能です。●サイズ/質量:W222×D220×H980mm/1.5kg

 

ラクティブエア・テストその1 フローリングでの吸引力は?

大きめのゴミは苦手だが普段の掃除には問題なさそう

今回のテストは、フローリング上の幅45cm×長さ90cmの範囲にタブレット100粒、重曹20g、長さ5cm×幅1〜2mmに細長く切った紙ゴミ2gを撒き、床面を1回走行。どれだけゴミが取れたかを検証しました。掃除方法は、まず中央を前進したあと、左側のゴミを後退しつつ集じん、最後に右側に移って前進しながら集じん。通常の掃除に比べてゴミの量が格段に多いため、掃除機には極めて負荷のかかるテストです。運転モードは、電源を入れたときにデフォルトとして設定されているモードを使用しました。

↑このような状態の床でテストします
↑このような状態の床でテストします

 

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強モードでテスト。結果的には、タブレットと紙ゴミが多めに残り、重曹も全体にうっすら白い筋が残っていました。タブレットはヘッドの底にゴツゴツ当たりながらかき込み吸引する感じで、カサのあるゴミの掃除はやや苦手な印象です。また、ヘッドのローラーに紙ゴミが巻き付いてしまうのも気になりました。

 

ホコリ中心のふだんの掃除には問題がないとは思いますが、吸引力は他機種と比べてやや非力な印象。集じん容積が0.13ℓと小さいので、大量のゴミを集じんさせたことも吸引力に影響を与えたかもしれません。

 

ラクティブエア・テストその2 カーペットでの吸引力は?

大きめのゴミが苦手なことがより強調される結果に

今回はカーペット上の幅45cm×長さ70cmの範囲に、タブレット100粒、重曹20g、長さ5cm×幅1~2mmに細長く切った紙ゴミ1gを撒き、カーペット上を走行。どれだけゴミが取れたかを調べました。

 

今回は、より過酷なカーペットでの掃除ということで、全体にゴミの取れ方が良くないことが予想されるため、フローリングに比べてより長い時間をかけてテストすることに。掃除方法は、まず中央を前進したあと、左側のゴミを後退しつつ集じん、最後に右側に移って前進しながら集じんしました。さらに、一度の走行で掃除を終えるのでなく、30秒間掃除を続けました。運転モードは、電源を入れたときにデフォルト設定されているモードを使いました。

↑カーペット上にこのようにゴミを撒いて、検証しました。使用するカーペットは毛足が短いものの、重曹は繊維の奥に沈み、紙ゴミも毛に絡まりがちです
↑カーペット上にこのようにゴミを撒いて、検証しました。使用するカーペットは毛足が短いものの、重曹は繊維の奥に沈み、紙ゴミも毛に絡まりがち。テストとしては過酷な状況です

 

強モードで検証。これは操作性とも関連しますが、ヘッドがカーペットに吸いつき、やや掃除しづらかったです。まず中央をまっすぐ掃除しましたが、タブレットと紙ゴミが大量に残っていました。

↑まず、ゴミの中央部を掃除。タブレットがヘッドの下の隙間に入り込めず、どんどん前に押し出されるかたちになっています
↑まず、ゴミの中央部を掃除。タブレットがヘッドの下の隙間に入り込めず、どんどん前に押し出されるかたちになっています

 

特にタブレットは、吸い取るのに苦労しました。紙ゴミもかなりカーペットの毛に絡んで取りづらかったです。タブレットはヘッドの後方をちょっと浮かせた状態で、バックしながら吸引するとある程度取れましたが、すべて除去するのはかなり時間がかかりそうで、効率的ではないと感じました。ちなみに、重曹は問題なく除去できています。

 

全体を一回走行したあとは、タブレットと紙ゴミがかなり残った状態。30秒間掃除を続けたあとも、まだまだゴミが取りきれずに残ってしまう結果となりました。ただし、本機は高所の綿ゴミなどを除去することを想定した特別なモデルであるため、今回のようなテストは本来の用途ではないことを付記しておきます。同社にはパワー重視のコードレスもあるので、カーペット用途ならそちらを選ぶのが得策でしょう。

↑テスト終了後の状態。ある程度吸引はできましたが、吸引し切れないぶんがカーペットに散らばってしまいました。紙ゴミも広い範囲に残っています
↑テスト終了後の状態。ある程度吸引はできましたが、吸引し切れないぶんがカーペットに散らばってしまいました。紙ゴミも広い範囲に残っています

 

↑EC-A1Rのヘッドの裏側。柔らかめの緑のブラシと硬めの赤のブラシがらせん状に配置されている、オーソドックスな構造です。硬い吸い込み口の幅は191mm。ブラシ専用モーターを装備
↑EC-A1Rのヘッドの裏側。柔らかめの緑のブラシと硬めの赤のブラシがらせん状に配置されている、オーソドックスな構造です。硬い吸い込み口の幅は191mm。ブラシ専用モーターを装備

 

ラクティブエア・テストその3 操作性は?

本体質量1.5kgと極めて軽く掃除しやすい工夫も満載

本機は充電時間約80分と高速充電できるのが特徴で、満充電後は標準モードで約30分、強モードで約8分の連続運転が可能。バッテリーは着脱式なので、予備のバッテリーを用意すれば、より長い時間の掃除も可能になります。

↑ハンドル後部の「バッテリーはずす」ボタンを押すと、バッテリーが簡単に外せます
↑ハンドル後部の「バッテリーはずす」ボタンを押すと、バッテリーが簡単に外せます

 

また、それにも増して本機のメリットといえるのが、本体質量1.5kgという軽さ。その軽さゆえに、エアコンの上や棚の上なども快適に掃除できるのがうれしいポイント。ヘッドの左右への方向転換もとても軽く、今回試した5モデルのなかでも最もスムーズに操作できる機種だと感じました。ハンドルにはラバーグリップを採用。グリップが手首に対して垂直に近いのも、操作性向上に寄与しています。

↑左右の首振り角度はパナソニックMC-BU500Jとほぼ同等。本体が軽いので、モノが多い部屋も快適に掃除できます
↑左右の首振り角度はパナソニックMC-BU500Jとほぼ同等。本体が軽いので、モノが多い部屋も快適に掃除できます

 

↑ハンドル部のグリップに握りやすいラバー素材を使用。さらに、滑り止め用の突起も施されています
↑ハンドル部のグリップに握りやすいラバー素材を使用。さらに、滑り止め用の突起も施されています。

 

本体を床にベタ置きして掃除する際は、パナソニックのMC-BU500J同様横にねじりながら下ろせば、ほぼ水平になってもヘッドは浮きません。なんと高さ約6cmの隙間にもヘッドが入って掃除できました。

↑ヘッドと延長パイプのジョイント部の可動域は広く、左右90°ずつ回転(写真左)、高さ10.5cmのPCデスクの下も余裕で掃除できます(写真右)
↑ヘッドと延長パイプのジョイント部の可動域は広く、左右90°ずつ回転(写真左)、高さ10.5cmのPCデスクの下だと余裕で掃除できます(写真右)

 

ヘッドは自走アシスト機能付きで前後の動きが軽快。一方、ハンディ機として使う場合は、本体がやや長めですが、軽量なので片手でも使いやすいです。本体裏には「ちょいかけフック」を装備。ラバー製なので滑りにくく、荷物を移動する際、掃除の途中でテーブルなどに立てかけても安定感があるのは、ポイントが高いです。

 

ラクティブエア・テストその4 ゴミ捨て・メンテのしやすさは?

集じん容積が小さいので掃除後のゴミ捨ての習慣化が大事

今回比較した機種の中で最軽量の本機。高所の綿ゴミなどを除去することを想定したモデルだけに、ダストカップ容量も0.13ℓと5モデル中最小です。集じん力維持のためにも、掃除後に必ずゴミを捨てるのがオススメ。ダストカップを本体から外し、さらにダストカップからフィルターカバーを外してゴミ捨てします。

↑ダストカップと本体の接続部にあるレバーを押してカップを外し(写真上)、さらにフィルターケースの黄色のゴミ捨てボタンを押してダストカップと集じん部を分離し、ゴミ捨てします。ダストカップの側面に吸引したゴミと空気が通る穴があり、ゴミ捨ての際にこの穴から集じんしたゴミがこぼれることがありました
↑ダストカップと本体の接続部にあるレバーを押してカップを外し、さらにフィルターケースの黄色のゴミ捨てボタンを押してダストカップと集じん部を分離し、ゴミ捨てします。ダストカップの側面に吸引したゴミと空気が通る穴があり、ゴミ捨ての際にこの穴から集じんしたゴミがこぼれることがありました

 

フィルターの着脱は取っ手をつかんで持ち上げるだけと簡単。ダストカップや集じん部は、プリーツフィルターを含め、全部が水洗いできます。本機も細かく分解して掃除できるので、キレイ好きにはオススメ。ただ、フィルター掃除時にはホコリが手についたり舞ったりすることも。

↑写真左からダストカップ、筒型フィルター下・筒型フィルター上(フィルターカバー)、プリーツフィルター。プリーツフィルターの掃除は付属のクリーニングブラシで行いますが、溝の部分に微細なホコリが溜まり、掃除が大変です。水で洗い流すのも手ですが、その場合は洗浄後に十分乾燥させる必要があります
↑写真左からダストカップ、筒型フィルター下・筒型フィルター上(フィルターカバー)、プリーツフィルター。プリーツフィルターの掃除は付属のクリーニングブラシで行いますが、溝の部分に微細なホコリが溜まり、掃除が大変です。水で洗い流すのも手ですが、その場合は洗浄後に十分乾燥させる必要があります

 

ヘッドブラシはベルト駆動ですが、ベルトの着脱はやりやすかったです。ブラシカバーはコインやマイナスドライバーなどの道具がなくても開けられたのがラクでした。

↑ヘッド裏のブラシカバーは開閉レバー付き。これを「OPEN」のほうにスライドすれば、簡単に外せます
↑ヘッド裏のブラシカバーは開閉レバー付き。これを「OPEN」のほうにスライドすれば、簡単に外せます。なお、ブラシを差し込む穴が透明で視認しやすく、他機種よりスムーズにセットできます

 

ラクティブエア・テストその5 設置性・運転音は?

バッテリーを外して充電できるから好きな場所に収納できる

本機は壁掛けホルダーを使いません。本体ハンドルの下に「ちょいかけフック」というホルダーが付いていて、これを棚やテーブル、出窓の角などに引っ掛けて収納できます。壁掛けホルダーをネジ止めしなくても部屋の隅に収納しやすいのはかなりメリットです。前々回の「操作性」の記事でも触れましたが、この「ちょいかけフック」は掃除中も有効。近くのテーブルや棚などにさっと引っ掛けて、椅子やモノを動かせ、スムーズに掃除できます。

↑本体後部に硬質ゴム性のホルダーを装備。出窓や棚などに引っ掛けて収納できます
↑本体後部に硬質ゴム性のホルダーを装備。出窓や棚などに引っ掛けて収納できます

 

↑S字フックを使っての収納もできそうです
↑本体が軽量なので、S字フックを使っての収納もできそうです

 

本機のもうひとつの特徴が、着脱式バッテリーの採用。他のモデルの設置場所がどうしてもコンセントの近くに限定されるのに対して、この機種は本体を好きな場所に置いて、バッテリーだけコンセント近くの邪魔にならない場所で充電できます。

本体から外したバッテリーを、充電台に差し込みます。本体ごと充電するよりスペースが小さくて済むのがメリット。テーブルや化粧台の上で充電することもできます
↑本体から外したバッテリーを、充電台に差し込みます。本体ごと充電するよりスペースが小さくて済むのがメリット。テーブルや化粧台の上で充電することもできます

 

運転音は、デフォルトである「強モード」では5機種中、最もうるさく感じました(本機はスタートボタンを押すとまず「強モード」になります)。モーター音はかなり高域が耳につき、風切り音もかなり出ています。ただし、ボタンをもう一度押して「標準モード」にすると、かなり運転音は静か。運転音が気になる人は、面倒でも毎回運転モードを切り替えるのがいいでしょう。

 

ラクティブエア・テストその6 独自性・汎用性は?

圧倒的な軽さに加えて使いやすい工夫が満載

本機は、軽量で使いやすいのが最大の特徴で、高所の掃除がとにかくラク。ここまで軽いと、これはもう立派な独自機能です。使い勝手を向上させる「ちょいかけフック」「ラバーグリップ」など細かい工夫も効果的でした。

↑ヘッドや延長管を付けても1.5kgと軽いので、男性ならそのまま片手で持ち上げての掃除も可能です
↑ヘッドや延長管を付けても1.5kgと軽いので、男性ならそのまま片手で持ち上げての掃除も可能です

 

また、バッテリーの充電時間が約80分と圧倒的に短いので、万一バッテリー切れした際も、比較的早く充電して掃除を再開できます。さらに、着脱式のバッテリーを採用しており、2個用意すれば掃除時間が倍になるなど、使い方の幅が広がるのも便利。ヘッドに搭載した赤い「床みがきブラシ」は、フローリング表面の汚れの拭き取り効果があるのもポイントです。

↑ヘッドの赤い毛の部分が「床みがきブラシ」で、緑の毛より硬めの素材でできています
↑ヘッドの赤い毛の部分が「床みがきブラシ」で、緑の毛より硬めの素材でできています

 

ラクティブエアの汎用性は?

はたきノズルは室内上部の掃除しにくい場所の掃除に最適!

はたきノズルとすき間ノズルが付属。はたきノズルはジョイント(関節)が2か所あって、角度が自在に変えられ、延長パイプにつなげればエアコンの天面も手軽に掃除できます。ノズルの先にはブラシがついているので、テーブルや棚の掃除にも便利に使えます。

#写真18 ↑写真左が「はたきノズル」。右が「すき間ノズル」
↑写真左が「はたきノズル」。右が「すき間ノズル」

 

↑「はたきノズル」の2つのジョイントを折り曲げて、エアコンの天面などを脚立や椅子に乗らずに掃除できます
↑「はたきノズル」の2つのジョイントを折り曲げて、エアコンの天面などを脚立や椅子に乗らずに掃除できます

 

使いやすさ重視でワンルームに住む人にオススメ

本機で強いて気になる部分を挙げると「運転音」でしょうか。本機のデフォルトである「強モード」で運転すると5機種のなかで最もうるさく、特に風切り音などの高音が気になりました。掃除中の音が気になる人は、毎回「通常モード」に切り替えての掃除がオススメです。

 

最大のメリットはその軽さ。ヘッドや延長パイプも含む本体質量が1.5kgで、しかも自走アシスト機能付きパワーヘッドを搭載。ヘッドの首振りもスムーズで、家具やモノの多い部屋でも軽快に掃除機がけできます。さらに、本体をほぼ床と水平に寝かせてもヘッドが浮かず、高さのないすき間に入り込めるのも魅力です。

↑「はたきノズル」の2つのジョイントを折り曲げて、エアコンの天面などを脚立や椅子に乗らずに掃除できます
↑とにかく軽いのが最大のメリット。「はたきノズル」の2つのジョイントを折り曲げて、エアコンの天面などを脚立や椅子に乗らずに掃除できます

 

「ゴミ捨て」については、集じん容積が5機種中最小で、こまめなゴミ捨ては必須。ただ、ゴミ捨ての手順はわかりやすく、着脱もスムーズに行えます。「メンテナンス」に関しては、プリーツフィルターに溜まったハウスダストの掃除がやや面倒。ただし、そのプリーツフィルターを含め、集じん部の全パーツが水洗いできるので、面倒なら水洗い、という選択肢もあります。ノズルブラシの毛がらみの手入れもまめに行う必要があるでしょう。

 

「設置性」に関しては、本機が5機種中唯一、バッテリーを外して充電できるメリットを活かし、棚や出窓など、好きな場所に収納できます。これは賃貸住宅に住んでいるなどの理由で、壁に収納ホルダーをネジ止めできない人には大きな魅力。ちなみに、フル充電時間はわずか80分と超高速(充電時間が次に速いパナソニックでも3時間かかります)。掃除中にバッテリー切れになっても1時間強の充電で掃除を再開できるのは安心感がありますし、予備のバッテリーを用意しておけば、バッテリーが切れても交換してすぐに掃除が続けられ、さらにストレスを軽減できます。

本体から外したバッテリーを、充電台に差し込みます。本体ごと充電するよりスペースが小さくて済むのがメリット。テーブルや化粧台の上で充電することもできます
↑バッテリーを外して充電できるのは、大きなメリット!

 

付属の「はたきノズル」は2か所にジョイントがついて、エアコンの天面部分も床に立ったままスムーズに掃除可能。本体の軽さはハンディ機としての使いやすさにもつながり、「汎用性」は高いといえます。

 

「吸引力」はフローリングでもカーペットでも他機種よりやや非力に感じましたが、通常の掃除にはほぼ支障がないレベル。特に、ワンルームや1LDK程度の住まいで掃除機がけを毎日する人なら、ゴミの量も少ないはずなので、本機でも十分。先述しましたが、本機はデメリットを補って余りある圧倒的な軽さが魅力。その軽さによって、「思い立ったときにすぐ使える」というコードレス最大のメリットが実感できるはずです。

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協力:楽天市場