家電
2018/6/2 18:00

約2万円のケルヒャー洗浄機「OC 3」は絶対に「買い」だ! アウトドア好きライターが断言するワケ

ドイツ生まれの高圧洗浄機メーカーとして知られるケルヒャーは、プロフェッショナルユースとして世界中で絶大な支持を受けているのは周知の事実。そのケルヒャー社が史上初となるバッテリーと給水タンクを内蔵したポータブル型の「マルチクリーナー OC 3(実売価格2万1578円 ※以下OC 3と表記)」をリリースしました。筆者はバス釣り、ロードバイク、バイクとアウトドアでの遊びを愛する者。もしかして、OC 3さえあれば、使い倒した遊び道具の汚れもすっきりキレイになるんじゃない? ……そう思い立ち、実際に本機を使ってみることにしました。

 

サイズは予想以上にコンパクト

製品を間近で見ると、予想以上にコンパクトなサイズ(W234×H201×D277㎜)に驚かされます。電源用のバッテリーを内蔵した本体と4ℓの水を蓄えられる給水タンクの二重構造を採用しながらも、その大きさはバイク用のヘルメットとほぼ同じ。さらに本体部分にホースやノズルを収納できるというパッケージングも絶妙。これが意外と重要なポイントで、付属品が別収納になると紛失してしまうことも多く「一体型」のメリットは高く評価すべき部分だといえるでしょう。

 

OC 3のメリットはバッテリーを内蔵していること。本体スイッチ下の充電用端子にアダプターを接続すれば、約3時間で充電が完了します。端子部分には防水カバーが付いているので、水が掛かっても安心です。

↑内容物は極めてシンプル。フラットジェットノズルが付属する本体(左)と4ℓの吸水タンク(右奥)、充電アダプター(右手前)

 

↑前面の充電端子。防水用のカバーを外して充電コードを挿します

 

バッテリーが充電できたら、次は給水作業。専用のタンクに水を入れ、本体にセットするだけで準備は完了です。給水タンクの容量は4ℓで、給水完了後はタンクを本体に乗せるだけでOK。このときに注意するのは、本体からホースを根元まで取り出しておくこと。ホースが給水タンクと本体に挟まらないよう、背面の切り込み部分に通すことをお忘れなく。

↑吸水後はタンクを本体に重ね(左)、本体のハンドルを起こしてタンク側に固定されているハンドルに重ねれば準備完了(右)

 

オフロードを走って泥だらけのバイクを洗車

まずはオフロードを走り回り、泥はねで汚れたバイクを洗車してみることに。今回の洗車テストではブラシやウエスを使わず、水流だけで泥汚れが落とせるかを試してみました。フレームやフェンダーの裏、アンダーガードの隙間など、手の届かない場所に入り込んだ泥汚れは、普通の水道ホースではなかなか落としきれないもの。気になる水圧は、カタログ値で水道の約2倍とのことですが、専用の「フラットジェットノズル」を使うことで、強烈とは言い難いものの十分な水圧が感じられました。

 

なお、このノズルはその名称からわかる通り、平たく強い水流を噴射することができます。対象に近づければ近づけるほど水圧が増すので、しつこい汚れの場合はノズルが触れるくらいまで近づけるのがオススメ。こびりついたガンコな汚れも、気持ちよく落ちていきますよ。

↑平たく勢いのある水流で、凹凸のある部分もしっかり洗浄できます

 

そして、洗車した結果は、想像していたよりもしっかりと泥汚れが落ちた印象です。コイン洗車場の高圧洗車に比べるとさすがに水圧は弱く感じますが、この程度の汚れなら効果は十分。フレームやアンダーガードなど、手の入らない隙間の泥汚れも十分に洗い流すことができました。

↑洗浄前(左)と洗浄後(右)

 

ただし、やや不満があったのが、給水タンクの容量。バイク全体を掃除するために、4回の給水(4ℓ×4回=合計16ℓ)が必要だったのですが、4ℓの水を連続噴射し続けると約2分で水が切れてしまいます。バッテリー(フル充電で約15分使用可能)は余裕で電力に不満はありませんでしたが、給水の時間を省くなら、あらかじめバケツなどに水を用意しておくのがオススメ。給水量の少なさから考えると、“クルマの洗車”というよりは、保管前のスタッドレスタイヤや夏タイヤの洗浄、エンジンルームの洗浄など、部分的な使用に力を発揮しそうです。あるいは、別売でバケツなどから直接吸水できる吸水ホース(3758円)も用意しているので、こちらを利用してもいいでしょう。

 

悪臭漂うフローターをキレイに洗うことはできるか?

続いてはフローターを洗浄してみました。フローターとはチューブにカバーを取り付け、胸まである胴長靴を履いて沼や湖にプカプカ浮かびながら釣りをするための、浮き輪のような道具。ボートでの釣りとは違い、解放感は格別なのですが、よく釣りをする場所がひと昔前は日本でトップ3に入る“汚れた沼”として知られていた場所のため、その水の汚さは折り紙つき。釣りを終えたあとのフローターは、汚水の汚れとともに悪臭が染みついてしまいます。果たして、そんなガンコな汚れを洗い流すことはできるのか……実際に洗浄を開始!

↑釣りに使用したフローターやフィン、胴長靴でOC 3をお試し!

 

ノズルを近づけ、圧力を掛けながら作業を始めると、繊維の間に入り込んだ汚れが落ち始め、みるみる茶色い水が流れ出てきました。フローターの洗浄では給水することもなく4ℓの水で作業は終了。作業後に乾燥させてみると、汚れとともに悪臭も激減していました。これで、車内に載せたときのお悩みであった「ドブ臭さ」から開放されそうです。同時にウエーダーと呼ばれる胴長靴も洗浄。滑り止めとして張り付けられたフェルト素材の靴底からは泥と砂が大量に流れ出し、スッキリとした状態に戻すことができました。

↑わかりづらいですが、フローターを洗うと大量の茶色い水が!(画面右)

 

↑汚れがスッキリ落ちました!

 

コンパクトな本機をトランクルームに搭載しておけば、釣りを楽しんだあと、道具をスッキリ洗い流せるので、悪臭や汚れを車内に持ち込まずにすみそうです。特に水源や電源のない秘境の沼では、大いに活躍してくれるのは間違いありません。

 

一方、ここが改善したらうれしいな、という点を挙げるとするならば、標準装備でノズルの種類を増やして欲しい(オプションでは有り)ということ。もうひとつは、トリガーを握り続けなくても良いロック機構を付けてほしいと思いました。トリガーを握り続けるのは意外と面倒で、指も疲れます。ロック機構を付けることでシャワーの時に両手が使えるようになると思うのですが……。ケルヒャーさん、よろしくお願いいたします!

↑OC 3のトリガー

 

水道のない場所でのメリットは絶大

そして今回、バイクやフローターを洗浄して気付いたことは水道の無い場所での優位性。自宅にガレージや駐車場がある場合にはポータブルである必要性はないと思いますが、マンションの駐車場や一般的な月極め駐車場など、水道や電源のない駐車場を使っている人も多いはず。そんな人にとって「OC 3」は最高のパフォーマンスを発揮してくれることでしょう。

↑OC 3を試す筆者の息子。彼もその手軽さを気に入った様子

 

特に同製品をおすすめしたいのは、筆者を含めたアウトドア好きの趣味人。キャンプ後のBBQコンロや食器類、テント、マットなどを洗浄するには最適です。自宅のお風呂場で作業をして奥様に怒られた人も多いはず。その点、本機を使えば汚れものを自宅に持ち込まず、外で気軽にクリーンアップすることができます。

 

魚のニオイが付いたクーラーボックスやウエア、塩害防止のためにタックル(竿やリール)を洗う必要がある海釣り師にも重宝されるのは間違いなし。ほかにもサーフィンやMTB、ガーデニングなどでも威力を発揮してくれることでしょう。アウトドアだけでなく水槽の掃除やペット用品の洗浄、網戸やお風呂場、キッチンや冷蔵庫……こうした様々な場所に利用できるのを考えると、その用途が極めて広いのがわかります。

 

また、本機は洗車や洗浄用として認知されていますが、実はオプションとして用意されるシャワーノズル(2678円)に付け替えると“ポータブルシャワー”として使うことができます。海水浴やサーフィンを楽しんだあと、気軽にシャワーが浴びられるのも大きな魅力になりそうですね。

 

OC 3は「絶対に買い」と断言できる!

つまり、実際に使ってわかったことは、「とにかくOC 3は使える!」ということ。クルマの洗車に限定するならば、コイン洗車場を使う方が効率的ですが、遊び道具や趣味のギアを気軽に洗浄するなら、これ以上ないアイテムです。既存の便利グッズとして販売されている洗車道具とは異なり、「ケルヒャー」というブランドの信頼性も大きな魅力。買ってもすぐに使えなくなる道具とは違い、消耗パーツが用意されていて、長く使い続けることができるのもポイントです。これだけのブランド力と実力を兼ね備えたアイテムが2万1578円で手に入るのですから……これはもう、「絶対に買い!」と断言させていただきます!

ケルヒャー

マルチクリーナー OC 3

●実売価格:2万1578円●サイズ/質量:W234×D277×H201mm/2.2kg●吐出圧力:0.5MPa●吐出水量:2L/min●連続使用時間(満充電時):約15分●給水タンク容量:4L●充電時間:約3時間●標準装備備品:充電アダプター