象印マホービンは、新フラッグシップとなる圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き(えんぶだき) NW-KA」を発表しました。発売は7月21日。実売予想価格は、5.5合炊きの「NW-KA10」が12万円前後(税抜)、1升炊きの「NW-KA18」が12万5000円前後(税抜)です。
かまど炊きの炎のゆらぎから着想
本機の特設サイトのコンセプトムービーでは、本機の開発の経緯をわかりやすく伝えています。以下でそのナレーションを紹介していきましょう。
「おいしいご飯を追い求めて……象印は、いつの時代ももっと美味しく炊ける炊飯技術の研究・開発に取り組み続けている。これまでの象印は、圧力を生かす構造を採用し、炊きムラを抑える羽釜も取り入れてきた。しかし、彼らは、まだまだ美味しいご飯を炊く秘密が、かまどには隠されているはず、と考えていた……。そのとき、見慣れていたかまどの炎に、誰も気づいていなかった新たな発見があった。そう、炎のゆらぎだ」
3つの独立したIHヒーターを搭載して大きな対流を起こす
「かまどの炎は、部分的に強弱をつけ、ゆらぎながら釜のなかで複雑な対流を起こし、ご飯を炊いていることがわかった。いままではひとつの底IHヒーターを制御しながら、内釜全体を均一加熱することを目的としていたが、かまどでの炎のゆらぎを実現するには、IHヒーターの構造を、根本的に見直す必要があった。そこで、いままでひとつしかなかったIHヒーターを分割し、独立制御する技術を開発。業界で初めてのIH構造を搭載した『炎舞炊き』が誕生したのだ」
「『炎舞炊き』は3つの独立したIHヒーターを制御。(従来比)4倍以上の大火力で、釜内に大きな対流を起こすことに成功した。部分的な集中加熱で、複雑で激しい対流を起こし、違いは明らか。炎のゆらぎも見事に再現。しかも、甘み成分を引き出し、ふっくらおいしいご飯に仕上げた」
そして、同ムービーは「この炊き方は、象印の炊飯革命だ。舞え、炎。舞え、お米。炎舞炊き」との力強い言葉で締めくくり、この「炎舞炊き」がまったく新しい技術であることを強調しています。
「お家芸」といえる「南部鉄器 極め羽釜」を止め、軽量・コンパクト化を果たす
同社の意気込みは、内釜を見てもよくわかります。2010年から採用していた羽釜(中ほどにつばがついた釜)、および2011年から採用していた南部鉄器の内釜を廃止。代わりに、炎舞炊きの特性を生かすために、鉄、アルミ、ステンレスを組み合わせた「鉄 ~くろがね仕込み~ くろがね仕込み豪炎かまど釜」を採用しました。「南部鉄器 極め羽釜」は、長らく同社のフラッグシップの代名詞だったわけですが、新技術のために、おそらくは断腸の思いでこれを捨て去ったわけです。
これにより、従来品がW30.5cm×D40cm×H24.5cm/11.5kgだったのに対し、本機はW27.5cm×D34.5cm×H23.5cm/8.5kgとひと回り小さくなり、3kg軽量化したのもポイント。従来品は「デカくて場所を取る」「内釜が重くて扱いにくい」との意見も少なからずあったため、今回のダウンサイジングで、使い勝手は向上したといえるでしょう。
上質感のあるすっきりしたデザインを採用
さらに、新製品では本体デザインも刷新。コンパクトでキッチンにすっきりと納めたくなるような形状、かつ上質感のある“玉手箱”のようなデザインに仕上げたとのこと。カラバリはダークトーンのキッチンにも合わせやすい、和を感じさせる<黒漆(くろうるし)>と、清潔感とやさしい印象の<雪白(ゆきじろ)>の2色展開です。炊飯ジャー本体の液晶も、従来品から白黒反転し、視認性を向上させました。また、前回炊いたごはんの感想を入力することで、好みの食感に調整できる121通りの「わが家炊き」メニューも、本機ではその炊き分け範囲をさらに拡大させています。
同社は1918(大正7)年、ガラスマホービンの中びん製造を開始して以来、今年で創業100周年。その間、「象印といえば炊飯器」というイメージを作り上げてきた同社だけに、創業100周年を記念して、気合の入ったモデルを投入してきました。その実力はいかなるものか、ぜひ確かめてみたいところです。
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