今年10月、消費税が8%から10%に増税となります。もちろん高価格な製品ほど増税の影響は大きいですが、必ずしも“駆け込み買い”が得とは限りません。本稿では、炊飯器カテゴリのなかからプロがベストバイ製品をセレクト。“買うべきモノ”をしっかりと見極めて、増税前後の「勝ち組」になりましょう!
ちょうど増税前に割安になる18年最上位機種が断然買い!
炊飯器の最新モデルの登場は5月から夏にかけて。それらの価格が落ち着くのは早くても11~12月頃で、増税前とはいえ9月までに買うと割高になります。また、新米の季節に合わせて買い替えるほうが、高度な炊飯機能をより享受できることを考えると、2018年モデルを底値で買うのが断然オススメです。
各モデル、ごはんの味や食感に特徴が出るので、購入前にはできれば家電量販店などで試食し、家族の舌に合うものを選びたいところ。食感炊き分けや銘柄炊き分けができる機種なら、好みのごはんに近づけられるので失敗が少ないです。
また、忙しい共働き世帯なら早炊き機能があると便利。毎日使うものなので、炊飯設定のしやすさや、お手入れのしやすさも忘れずにチェックしたいですね。また、ごはんを保温する家庭は保温時間も要確認です。
ちなみにバーミキュラやシロカのかまどさん電気などの大量生産できないモデルを狙うなら、こちらも増税前がおトク。そもそも値下がりしにくい機種ですので、単純に増税分だけ安く買えます。
【味わいはココをCHECK】
味わいは、ごはんの炊きあがりを編集部が試食してチェック。ツヤ、甘み、柔らかさ、粘り、香りの5項目を5段階で評価しました。ただし、必ずしも“数字が大きい=おいしい”ではありません。好みの炊き上がりを探す目安にしてください。なお、炊飯条件は、平成30年製の新潟コシヒカリ3合を、各機種の標準モードで炊飯しました。
【性能はココをCHECK】
1 炊き分け機能
好みに合わせてごはんのモチモチ度やかたさを調整する「食感炊き分け」が、何通り可能かチェック。銘柄炊き分け機能が付いているものはそれも確認しました。
2 操作性
炊飯メニューの多い機種は、目的の設定をスムーズに行えることも重要。ここでは操作パネルの操作方法と見やすさ、設定のしやすさなどをチェックしました。
3 メンテナンス性
毎日使う炊飯器を選ぶ際には、日々のお手入れのしやすさも確認すべき。炊飯後に洗う必要のあるパーツの数、内釜の洗いやすさなどを調べてみました。
4 独自機能
炊飯器の最上位機は、各メーカーの技術を結集した独自機能をふんだんに搭載しています。ここでは、ごはんのおいしさに直結する独自の機能・技術に注目。
【その1】 米の鮮度検知機能で乾燥米も精米したてのおいしさ
パナソニック
スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器「Wおどり炊き」SR-VSX108
実売価格11万8800円
通電切り替えによる熱対流と可変圧力の「Wおどり炊き」でハリと甘みの強いごはんに。米の鮮度を検知し炊き方を調整するから、乾燥米を精米したての味にします。浸水温度を45~55℃に保ち、うまみを12%アップ。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●内釜:ダイヤモンド竃釜●食感/銘柄炊き分け:13通り/50通り●最大保温時間:24時間●消費電力:約1210W●加熱方式:6段全面IH●早炊き:24~34分●炊飯メニュー数:14●サイズ/質量:W275×H234×D361mm/7.8kg
味わいチェック
【ツヤ5 甘み5 柔らかさ4.5 粘り4.5 香り4】
ふっくらした炊き上がりで、弾力がありながら口の中でほどける食感が絶妙。甘みも強く、万人に好まれる味と食感です。
【1 炊き分け機能】
【評価A+】食感・かたさの4方向に3段階ずつ選択できる
銀シャリコースでは「ふつう」に加え、「かため・やわらか・もちもち・しゃっきり」を各3段階で選択可。銘柄炊き分けも50銘柄に対応。
【2 操作性】
【評価A+】階層表示の操作パネルで各種設定が素早くできる
操作パネルは階層表示で、目的の設定に素早くたどり着けます。文字が大きいフルドット液晶とタッチキー採用でスマートに操作可能。
【3 メンテナンス性】
【評価A】パーツは少し多いが内釜は軽く洗いやすい
毎回お手入れが必要なパーツは内釜、フタ加熱板、うまみ循環タンク、水容器。軽量で洗いやすい内釜は、ユーザーからの評価も高いです。
【4 独自機能】
【評価A+】「鮮度センシング」で年中、新米のおいしさが味わえる
米の鮮度(乾燥度)に合わせて炊き方を調整する「鮮度センシング」機能を搭載。ごはんのパサつきを抑え、年中新米のおいしさを実現。
【その2】 IHヒーターで再現したかまどの炎のゆらぎがごはんを甘くする
ZOJIRUSHI
圧力IH炊飯ジャー炎舞炊き NW-KA10
実売価格10万9770円
本体底に設置した3つのIHヒーターを独立制御し、かまどの炎の揺らぎを再現します。均一加熱では生まれない複雑な対流が、米の甘みをさらに引き出しています。「わが家炊き」機能の炊き分け幅もさらに拡大。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●内釜:鉄~くろがね仕込み~豪炎かまど釜●食感/銘柄炊き分け:5通り/なし●最大保温時間:40時間●消費電力:1240W●加熱方式:ローテーションIH●早炊き:約13~21分●炊飯メニュー数:20●サイズ/質量:W275×H235×D345mm/8.5kg
味わいチェック
【ツヤ4.5 甘み5 柔らかさ4 粘り4.5 香り5】
ふっくらした炊き上がりで、弾力がありながら口の中でほどける食感が絶妙。甘みも強く、万人に好まれる味と食感です。
【1 炊き分け機能】
【評価A+】121通りの炊き方から好みの食感に自動で調整
白米の場合、手動で選べる食感は5種。ごはんの感想を入力する「わが家炊き」機能で、121通りから好みの食感に自動調整。
【2 操作性】
【評価B】液晶画面は見やすいがメニュー選択に工夫が必要
黒地に白文字表示で見やすいです。メニュー選択ボタンは1回押して1個しか進まず、希望メニューをすぐ選べないことも。
【3 メンテナンス性】
【評価A+】毎回洗うパーツはたった3つ内釜のニオイ除去機能も搭載
毎回洗うパーツは内ブタ2つと内釜だけ。内釜が約1.2kgと従来品より軽くなりました。クリーニング機能で内釜のニオイ残りも抑制できます。
【4 独自機能】
【評価A+】「ローテーションIH」で炎の揺らぎと圧倒的火力を実現
3つのヒーターを個別制御する「ローテーションIH」を搭載。単位面積あたりの火力も従来比4倍以上になり、ふっくら甘い炊き上がり。
【その3】 鋳物ホーローの特性を生かし、粒感際立つ絶品ごはんに!
VERMICULAR
バーミキュラ ライスポット
実売価格8万6184円
高気密の鋳物ホーロー鍋と火力を細かく調節するIH技術を融合した革新モデル。ホーローの高い遠赤効果と効率的な蒸気対流、鍋を熱で包み込む加熱方式で、粒感と弾力のある食感に仕上げます。無水調理や低温調理にも使えます。
SPEC●炊飯容量:1.0~5.0合●内釜:鋳物ホーロー●食感/銘柄炊き分け:なし/なし●保温機能:なし●消費電力:約1350W●加熱方式:ラップアップヒートテクノロジー(IH)●早炊き:なし●炊飯メニュー数:5●サイズ/質量:約W311×H208×D296mm/6.9kg
味わいチェック
【ツヤ4.5 甘み4.5 柔らかさ3 粘り5 香り5】
モチモチしつつも粒立ちのいい食感は独特で、噛むたびに米の甘みが広がります。炊き上がりの香りにも、濃厚な米の風味が感じられました。
【1 炊き分け機能】
【評価C+】炊き上がりは選べるが、食感炊き分けには非対応
炊き上がりの種類は「ふつう/おこげ/おかゆ」の3つだけ。食感炊き分け機能は非搭載のため、食感は水の量で調整します。
【2 操作性】
【評価A】ボタンが光るため操作に迷う心配なし!
米の種類(白米/玄米)と炊き方を選び、炊飯量を設定。スマートタッチキー採用で必要なボタンだけ光るから、直感的に操作できます。
【3 メンテナンス性】
【評価B】洗うパーツは少ないが重いので細心の注意を
洗うのは鍋とフタだけですが、どちらもやや重い。フタや鍋のフチがサビやすいのも要注意です。こびりついた米粒はぬるま湯で漬ければ簡単に落ちます。
【4 独自機能】
【評価A+】高性能なホーロー鍋がIH無水調理器にもなる
同機に搭載の鋳物ホーロー鍋は、元々無水調理鍋として人気の品。同機も炊飯のほか、絶品料理を作れるIH無水調理器としても活躍します。
【その4】 人気炊飯土鍋のおいしさをそのままに電気化を実現!
長谷園×siroca
かまどさん電気
実売価格8万6184円
伊賀焼の人気炊飯土鍋が電気炊飯器に。アルミ製シーズヒーターの採用やガス炊きに学んだプログラミングで、土鍋の良さを最大限に生かす炊飯を可能にしました。土鍋の湿度調整機能で、炊飯後のごはんのみずみずしさをキープ。
SPEC●炊飯容量:1.0~3.0合●内釜:伊賀焼炊飯土鍋●食感/銘柄炊き分け:3通り/なし●保温機能:なし●消費電力:約1300W●加熱方式:シーズヒーター●早炊き:なし●炊飯メニュー数:5●サイズ/質量:約W300×H261×D300mm/7.6kg
味わいチェック
【ツヤ5 甘み4 柔らかさ5 粘り2.5 香り4】
柔らかいのにさっぱりした、他機種にない食感。上品な甘みで、食べるほどおいしさが増します。さっぱりからこってりまで幅広いおかずに合います。
【1 炊き分け機能】
【評価B】3通りの食感炊き分けのほか、おこげの濃さも3通りから選べる
炊き上がりの種類は「ふつう/おこげ/おかゆ」の3つだけ。食感炊き分け機能は非搭載のため、食感は水の量で調整します。
【2 操作性】
【評価A】4つのボタンで設定でき直感的な操作がしやすい
米の種類、メニュー、炊飯量、仕上がり(食感)の各ボタンを押すだけで設定でき、わかりやすい。タッチパネル採用で、操作も軽快にできます。
【3 メンテナンス性】
【評価C+】乾燥機能を搭載し土鍋の使いにくさを改善
洗浄部位は3つと少ないが、やや重いのが難点です。使用後の土鍋はカビが生えないよう約半日乾かす必要がありますが、30分で済む乾燥機能を搭載。
【4 独自機能】
【評価A+】土鍋が自動で温度調整し、ごはんのおいしさを守る
伊賀焼の土鍋は多孔質で内部の湿度を調節、ごはんのおいしさを守ります。独自のセンサーや冷却技術でガス炊きに負けない炊飯を実現します。
文/平島憲一郎、ゲットナビ編集部 撮影/高原マサキ(TK.c)