フレンチトーストは「行列の店」に負けないおいしさ
もうひとつの実演が「フレンチトースト」メニュー。フレンチトーストが焼けるのも、プレートの上でパンを焼くブレッドオーブンならではの機能です。ちなみに、ホテルなどで提供されるフレンチトーストは一日近くトーストを卵液に漬けることもありますが、今回山崎三四郎裕崇氏が実演したのは、15分だけ揉み浸したもの。卵液は卵のほか、豆乳と牛乳、カルヴァドス(りんごの蒸留酒)、バニラエッセンス、砂糖、そしてなんと旨みを足すものとして昆布茶が少々入っているそうです。
4枚切りサイズのフレンチトーストの調理時間は約10分とそこそこ時間がかかりましたが、できあがりはとにかく絶品! 密閉して中までしっかり均一に火が通っているためか、焼き上がりは中央がふっくらと膨らんでいます。食べてみると口のなかでシュワッと音がしそうなほど、ふわふわと空気を含んでおり、まるでスフレを食べているかのような食感です。筆者は「行列のできるフレンチトースト」の店も何度か食べに行っていますが、正直ブレッドオーブンで作ったフレンチトーストは、これらの店に負けないおいしさだと感じました。
「おいしいトーストの焼き上がりをじっくり待つ」という製品
ブレッドオーブンを実際に触ったところ、とにかく「トーストをおいしく調理する」ことに特化した製品だと感じました。ただし、メリットだけではなく、可能な限り水分を密閉するためにトーストが1枚ずつしか焼けないというデメリットもあります。また、シンプルなデザインにこだわったためか、残り焼き時間が表示されないのも少々不便。このため「忙しい朝に急いでトーストを焼く」といった使い方にはあまり向いていません。
ブレッドオーブンが真価を発揮するのは「じっくりおいしいトーストを楽しみたい」というタイミング。最近は一斤1000円を超える高級な生トーストなどが人気ですが、そういった「こだわり派」なら本製品を購入して後悔することはないでしょう。究極の1枚ができあがるのをワクワクしながら待つ…そういった製品だと感じました。
ちなみに、三菱電機といえば、10万円を超える超高級炊飯器「本炭釜」を世に送り出し、「おいしければ高価格な炊飯器も売れる」ということを証明した最初のメーカーです。そして、何と今回のブレッドオーブンの開発には、この炊飯器部門の開発者が関わっているのです。ブレッドオーブンの水分を閉じ込めるシーラー技術や、絶妙な火加減を実現する温度センサーなどの技術はこの炊飯器技術から応用しているとのこと。思想や技が受け継がれているといった点でも、ロマン溢れる製品だと感じました。