【検証のまとめ】
ヘッドはある程度のコントロールが必要。運転音が静かなのはメリット
操作性に関しては、やや本体は重めですが十分スムーズにシェービング可能。ヘッドは前後左右上下に動きますが、やや動きが硬いです。外刃もフロート構造でないので、顔の起伏への追随性は十分高いとまでは言えず、ユーザーがヘッドの角度と肌への圧力のかかり方をしっかりコントロールする必要があります。ちなみに、本機は深剃り性能が高いわりには運転音が静か。うるさい電気シェーバーが苦手な人にはオススメできます。

こまめなヘッドの洗浄とオイルを塗布する必要あり
メンテナンス性については、充電台に乾燥機能は付いているものの、洗浄を自分でやる必要があるのは面倒といえば面倒です。剃り味維持のために、洗浄・乾燥後の内刃と外刃に必ずシェーバーオイルをつける必要があるのも大変。ただ、自動洗浄充電台付きのモデルを買っても、専用洗浄液をこまめに買うのが面倒で、結局使わなくなりそうな人は、本機を選ぶ意味はあると思います。特に温熱とLED光照射による除菌・防臭機能は他社製品にはないものです。付加機能に関しては、キワゾリ刃もロック機能も極めてオーソドックス。

ある程度慣れれば、自分に合ったシェービングが行える
肝心の深剃りについては、通常の持ち方をした「順剃り」だけではやや物足りなさを感じましたが、そこに本体を逆手に持った「逆剃り」を加えることで、十分な深剃りが可能であることがわかりました。順手・逆手での剃り味の違いがT字カミソリに似ているので、T字カミソリを使っていた人が電気シェーバーに乗り換える際にも選択肢の第一候補にしていいでしょう。筆者はヒゲが濃いほうではないので実証できませんでしたが、内刃を回転させる駆動ユニットの回転トルクが約300%にアップしているとのことで、ヒゲが濃い人にも対応できそうです。

ただ、そのぶん肌に負担がかかるのも事実で、4枚刃や5枚刃のシェーバーのように、肌を広い「面」で受け止めるのと違い、このモデルはロータリー刃が大型になったとはいえ、構造上、肌を「線」に近いかたちで受け止めることになるのは間違いありません。特に、より広い範囲をより深剃りしようとヘッドを肌に押し付けると、肌に当たっている外刃の真ん中の部分はより圧力が大きくなり、ひりつきも強くなってしまいます。
そこで筆者はできるだけ肌にヘッドを押し付けず、時間をかけてシェービングすることを心がけました。また、口元などヒゲの剃り残しを感じる部分は様々な角度から順手・逆手を使ってアプローチ。その結果、ひりつきのほとんどない快適なシェービングができ、神経質にならなければ剃り残しも気にならないレベルに深剃りできました。このあたりは個人の肌の強さや深剃りの好みもあるので、各ユーザーが調整すればいいでしょう。その意味で、このシェーバーは買ってすぐ満足な剃り味を得られるタイプではなく、自分に合った剃り味を実現するまでに、ある程度の慣れが必要だと感じました。それを理解したうえで、他社製品にない剃り味を試してみたい人なら十分な満足感があると思います。

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↑左が開始52秒の剃れ具合。口元のヒゲがまだ長めに残っています。右は1分53秒後。口元のヒゲはだいぶ短くなったものの、まだ黒いポツポツが目立ちます ↑左は順剃り。ロータリー刃がヒゲの映える方向と同じ上から下方向に回転してヒゲを剃ります。右はカミソリのように逆手で持った逆剃り。ロータリー刃はヒゲの映える方向とは逆の下から上に回転するため、順剃りで剃りきれなかった部分もよく剃れます。また、外刃が丸いのでどんな角度で肌に当ててもヒゲをしっかり捉えられるのはメリットです ↑携帯用のポーチを同梱。ウレタン製で強い衝撃には弱いので、旅行バッグに入れる際は、クッションになる衣類やタオルを周りに咬ませておくなどする必要があります ↑トリマーつまみは片手で簡単に操作できます ↑外刃と往復式トリマーを同時に肌(写真では定規で代用)に当てると、往復式トリマーが肌(定規)に対して斜めに当たり、トリマーの奥の部分が肌に接しません。トリマー刃を広く肌に当てるには、ヘッドを強く肌に押しつける必要があります ↑鍵のかたちをした赤いロックマークが点滅中に電源ボタンを長押しします ↑キワゾリ刃の下のつまみを横にスライドさせると、小型のキワゾリ刃が跳ね上がります ↑ヘッドを洗浄し乾燥したあと、付属のシェーバーオイルを外刃と往復式トリマーキワゾリ刃に注油。4~5秒ヘッドを動かし、オイルを全体に行き渡らせます ↑フル充電後は液晶画面に「FU(LL)」の表示が出ます。その後しばらく使い続けると、「90%」の表示に。その後は使用時間によって「80%」「70%」と減っていきます ↑シェーバー使用後は外刃とロータリー刃(内刃)およびヘッドの台座を水洗い。外刃と内刃には親水性を高める処理が施されているため、ヒゲくずや皮脂などの汚れが浮きやすく、水洗いで簡単に流れるそうです ↑洗浄後は外刃を再びヘッドにセットし、LED光乾燥器にセット。セレクトスイッチで「乾燥・充電」を選ぶと約1.5時間の乾燥運転をスタート。さらにその後15時間LED照射を続けます ↑シェービング開始すると内部のLEDも点灯。電源ボタンを押して回転を止めてもLEDは光り続け、内部を除菌します ↑ヘッドは左右に20°、前方に20°(後ろには動きません)可動するほか、下に3mm沈み込みます。ただし、手で動かすときにけっこう力を入れる必要がありました ↑グリップがフラットなので、中指から小指までの指先がやや滑りやすい気も。ただ、検証するためにやや意識を「過敏」にしているので、普段使いではそこまで気になるわけではありません ↑顎など尖った部分ではさらにヘッドとの接触面が少なくなり、最も肌に触れる角度を探りながらシェヘビングする必要がありました ↑ドラム形状のロータリー刃も外刃もラウンド形状なので、平面に対しては“線”で触れることに。肌は柔らかいので、実際はある程度の面で触れることになりますが、その場合も接触面の真ん中に最も圧力がかかります ↑順剃りと逆剃りを計3分行うと、口元の剃り残しもだいぶ少なくなりました ↑筆者はヒゲが濃いほうでないので、3日伸ばしてこれくらいです ↑ロータリー式は、回転方向が常に一定です