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2019/6/28 18:30

快感の「逆剃り」、かつてない剃り味! 家電のプロが日立の高級シェーバー「ロータリージーソード」を5項目で徹底チェック

高級電気シェーバーの剃り味や使い勝手をじっくり検証する連載企画の最終回。今回は独自のロータリー方式を採用した日立のロータリージーソード RM-LX10Dをチェックします。

日立の「ロータリー方式」とは、ドラム形状の内刃を搭載し、その回転によってヒゲをカットする方式。電気シェーバーに多い往復駆動より回転駆動のほうがエネルギーロスが少なく、音も静かだと言われています。

 

さらに最新モデルのRM-LX10Dは、ロータリー方式に往復式トリマーも加え、さらに快適な深剃りを実現しているのだとか。使いやすさやお手入れのしやすさも含めて、その実力をしっかり見極めていこうと思います。

 

【チェックする機種はコチラ】

独自のロータリー刃と往復式トリマーを組み合わせたハイブリッドシステムで深剃りを実現!

日立

ROTARY G・SWORD(ロータリージーソード)

RM-LX10D

実売価格3万6990円

従来機種の1.5倍大きい直径15mmのロータリー刃を採用し、より肌に密着した効率的な深剃りを実現。さらに、ロータリー刃だけでは剃り残ししやすい長いひげやくせヒゲを捉える往復式トリマーを追加搭載し、様々なヒゲをまとめて剃り上げる。ヘッド内に内蔵した小型駆動ユニットの回転トルクも従来比約300%になり、濃いヒゲも力強くカット。ヘッド部と乾燥充電器にLED照射機能を装備、内刃にコーティングした光触媒がLED光に反応してヘッド内の有機物を分解し、ニオイ発生を抑える。

SPEC●刃の枚数:2枚(ロータリー刃+往復式トリマー)●駆動方式:ロータリー式●回転数:非公表●充電時間:1時間半●使用可能日数:1日1回3分使用で約21日間●サイズ/質量:W68×H173×D55mm/約240g

 

【検証結果はコチラ】

《深剃り具合》

順剃り・逆剃りを組み合わせることで、十分な深剃りを実現!

ロータリー方式の特徴は、内刃の回転する方向が常に同じであること。横方向に往復しながらヒゲをカットする往復式と違い、縦方向にずっと回転しながらヒゲを剃る、つまりカミソリでシェービングするのと同じ髭の剃り方を高速で行っているわけです。

↑ロータリー式は、回転方向が常に一定です

 

もうひとつ特徴的なのは、内刃がドラム形状のロータリー刃なので、外刃も同じくラウンド形状の1枚刃になっていることです。そのため、4枚刃、5枚刃モデルと比べると肌に触れる面積がかなり少ないように思えます。肌に強く押し付ければ触れる面積は増えますが、そのぶん肌への負担も増えますから、その加減が難しそう。

 

ということで、早速シェービングを開始。3日間ヒゲを伸ばした状態から3分間シェービングを行い、ヒゲの剃れ具合を見た目と手で触った感触でチェックしました。ちなみに、ヘッドの往復トリマーは上に上げて、長いヒゲやくせヒゲを剃りやすいポジションにしています。

↑筆者はヒゲが濃いほうでないので、3日伸ばしてこれくらいです

 

52秒ほどで一通り剃り終わったので、剃れ具合を確認。鼻の下や口の下の部分はまずまずの剃れ具合ですが、口元や顎の下に剃り残しがあります。ヘッドの滑りは滑らかで、運転音の静かさも印象に残りました。

 

シェービングを再開し、合計1分53秒まで剃り続けました。1回目でかなり剃れているようで、2回目ではさらに剃れたという感触がそれほどありません。口元などの剃り残しはかなり減りましたが、手で触るとまだざらつきを感じます。

↑左が開始52秒の剃れ具合。口元のヒゲがまだ長めに残っています。右は1分53秒後。口元のヒゲはだいぶ短くなったものの、まだ黒いポツポツが目立ちます

 

そこでそこから3分までは本体を逆手に持ってシェービングしたところ、顎の下や口元の、順手では反応しなかった剃り残しがチリチリ剃れている音がしました。そのままヒゲを剃り続けた結果、かなり満足のいく剃り上がりになりました。

↑左は順剃り。ロータリー刃がヒゲの生える方向と同じ上から下方向に回転してヒゲを剃ります。右はカミソリのように逆手で持った逆剃り。ロータリー刃はヒゲの生える方向とは逆の下から上に回転するため、順剃りで剃りきれなかった部分もよく剃れます。また、外刃が丸いのでどんな角度で肌に当ててもヒゲをしっかり捉えられるのはメリットです

 

↑順剃りと逆剃りを計3分行うと、口元の剃り残しもだいぶ少なくなりました

 

あとで取扱説明書を見ると、順剃りを行ったあと、仕上げに逆剃りを行うことが推奨されていました。この辺もカミソリを使ったシェービングと似ています。

《肌への負担》

肌に接する面積が少ないぶん、「肌に押し付けないシェービング」を心がける必要あり

上記のように、深剃り具合は上々だったのですが、そのぶん肌にはかなりひりつきを感じました。特に逆手で剃った場合に、よりひりつきます。ロータリー方式の弱点として、やはり往復式の4枚刃、5枚刃モデルより、肌にかかる圧力が高くなりがちなようです。

↑ドラム形状のロータリー刃も外刃もラウンド形状なので、平面に対しては“線”で触れることに。肌は柔らかいので、実際はある程度の面で触れることになりますが、その場合も接触面の真ん中に最も圧力がかかります

 

そこで次に剃った際は、できるだけ肌に圧力をかけないよう、「なでる」ようにシェービングしてみましたが、これだとまったくひりつきは感じませんでした。時間がやや長くかかり、口元などに深剃りしきれない部分も残りますが、パッと見た感じではほとんど問題にならない「許容範囲」だと思います(筆者が深剃りにそれほどこだわらないのもありますが)。

 

本機は従来モデルよりロータリー刃が大きく、肌に接する面積が広くなっているため、肌への圧力が分散され、より「やさしい深剃り」ができるとのこと。その意味でも、できるだけ肌に負担をかけない、「なで剃り」がオススメです。もちろん肌が強い方は、やや圧力をかけて深剃りを狙うのもアリだとは思いますが。

 

ちなみに本機は、左右・前後・上下に可動するヘッドを採用。肌により密着するとのことですが、それぞれの可動部はかなり硬めで、顔の形状にスムーズに追随するというところまではいかないとの印象を持ちました。

↑ヘッドは左右に20°、前方に20°(後ろには動きません)可動するほか、下に3mm沈み込みます。ただし、手で動かすときにけっこう力を入れる必要がありました

《操作性》

ヘッドと本体のバランスはよく使いやすいが、ヘッドの可動性はいまひとつ

RM-LX10Dは重さが約240gとやや重め。ただ、ヘッドと本体のバランスは良く、グリップもすっぽり収まって操作しやすく、使っていて疲れることもありませんでした。グリップはラバー製ながらツルツルした感触。ここに凹凸などをつけて滑りにくくすると、ホールド感がよりアップするように思います。

↑グリップがフラットなので、中指から小指までの指先がやや滑りやすい気も。ただ、検証するためにやや意識を「過敏」にしているので、普段使いではそこまで気になるわけではありません

 

ヘッドの動きに関しては、前後・左右・上下に動くものの、可動範囲がなかり狭く、動きも硬いです。肌にヘッドを当てる角度は、ユーザーが意識しながらシェービングする必要があると感じました。

↑顎など尖った部分ではさらにヘッドとの接触面が少なくなり、最も肌に触れる角度を探りながらシェヘビングする必要がありました

 

ただ、ヘッドがラウンド形状なのは、肌に触れる面積がやや減る一方、縦方向ならどんな角度で肌に当てても同じ面積が肌に当たり、安定してヒゲが剃れてメリットです。

↑縦方向なら、ヘッドがどの角度で当たっても肌に接触できます

 

電源ボタンは、一度押すと運転スタート。もう一度押すと運転終了し、ヘッド内蔵のLEDが点灯します(通常は20分間点灯)。さらにもう一度押すとLEDランプが消灯。つまり、運転を一度止めてからまたすぐにシェービングを続けようとする場合、電源ボタンを2度押す必要があり、その点はやや煩わしいです。

↑シェービング開始すると内部のLEDも点灯。電源ボタンを押して回転を止めてもLEDは光り続け、ニオイの発生を抑えます

 

充電時間は1.5時間。フル充電状態で、1日1回3分のシェービングが約21日間行えます。充電残量表示は10%から100%(FULL)まで10%刻みで表示。90%が長く続いたあと、89%や88%とならずにいきなり80%になったときは「あれ?」と思いましたが、実際使うぶんにはまず問題ないでしょう。

↑フル充電後は液晶画面に「FU(LL)」の表示が出ます。その後しばらく使い続けると、「90%」の表示に。その後は使用時間によって「80%」「70%」と減っていきます

 

《メンテナンス性》

洗浄機能は非搭載ながら、温熱とLED光による除菌・防臭機能を装備した乾燥充電器を同梱

本機には洗浄充電器ではなく、LED光乾燥器が同梱されています。従来モデルでは専用洗浄液を使った洗浄乾燥器を採用していましたが、洗浄液を買い替える手間やコストを嫌い、結局使わなくなる人が多かったため、今回洗浄はユーザーが行い、乾燥と充電を専用器で行うことにしたのだとか。

 

その代わり、洗浄後のヘッドの清潔さをより高めるために、乾燥器内にLEDを搭載。光触媒をコーティングした内刃にLED光を当てることで、乾燥・除菌・防臭を行います。ちなみに、乾燥・除菌運転時のLED光照射時間は1.5時間です。

↑シェーバー使用後は外刃とロータリー刃(内刃)およびヘッドの台座を水洗い。内刃には親水性を高める処理が施されているため、ヒゲくずや皮脂などの汚れが浮きやすく、水洗いで簡単に流れるそうです

 

↑洗浄後は外刃を再びヘッドにセットし、LED光乾燥器にセット。セレクトスイッチで「乾燥・充電」を選ぶと約1.5時間の乾燥・除菌運転をスタート。さらにその後、清潔な状態を保つため、15時間LED照射を続けます

 

15時間もLED照射を続けると電気代が気になりますが、LED光乾燥器の消費電力は9W(乾燥時)とのことで、仮に消費電力9Wで15時間運転したとしても1か月90円以下。LED照射だけならもっと消費電力は少ないはずなので、電気代はほぼ気にしなくていいと思います。

 

本機は潤滑油入りの専用洗浄液を使わず洗浄するため、外刃や内刃の切れ味を保つのに、1.5時間の乾燥・除菌後に毎回シェーバーオイルを注す必要があります。夜寝る前に毎回その作業をやるのは、やや面倒かなと思いました。

↑ヘッドを洗浄し乾燥したあと、付属のシェーバーオイルを外刃と往復式トリマーキワゾリ刃に注油。4~5秒ヘッドを動かし、オイルを全体に行き渡らせます

 

ちなみに、シェービング後にヘッドの洗浄・掃除をせずに何度も使っていると、次第に鼻の中にひげクズが残るようになります。毎回ヒゲを剃ったあと鼻をかむと、細かいヒゲくずが入っているので不思議に思っていたのですが、どうもドラム形状のロータリー刃が回転する遠心力で、外刃の隙間から一度剃ったひげクズが出てくるようです。鼻に入る量が少量でも気分の良いものではありませんし、毎日と言わなくても2日に1回はヘッドの洗浄と乾燥はしたほうがよさそうです。

 

《付加機能》

往復式トリマーの上下動で、様々な部位のシェービングに対応するが……

RM-LX10Dはヘッド後方に跳ね上げ式のキワゾリ刃を搭載。もみあげなどの手入れに使いますが、刃がかなり小型でヘッドの裏に隠れがちになり、かなり見にくいです。持ち方を逆手に変えたり、鏡に映す角度を変えるなど、使い方に工夫が必要でしょう。また、外刃がラウンド形状をしているため、もみあげの手入れをする際に髪の毛が外刃に巻き込まれやすいので要注意。取扱説明書には、ヘッドにキャップを付けた状態でキワゾリ刃を使うことが推奨されています。

↑キワゾリ刃の下のつまみを横にスライドさせると、小型のキワゾリ刃が跳ね上がります

 

また、本機には長いひげやクセひげを効率よくカットするために、往復式トリマーを搭載。ヒゲを剃る場所によってトリマーの位置を上下動させる「トリマーつまみ」も装備しています。「トリマーつまみ」の位置を上げると長いひげやクセひげを剃りやすく、下げると鼻の下の奥に外刃が届きやすくなるとのことです。

↑トリマーつまみは片手で簡単に操作できます

 

ただ、つまみを上に上げた場合も外刃のほうが2~3mm高い位置にあるのが気になります。往復式トリマーも外刃も肌に密着させようとすると、往復式トリマーが肌に対して斜めに当たってしまうのです。筆者のひげはクセひげが少なく、今回長いひげもなかったので、実際に不具合を感じたわけではないのですが、その点はやや心配。ラウンド形状の外刃と角形の往復式トリマーの組み合わせで難しい点もあると思いますが、外刃と往復式トリマーが同時に肌に触れる場合にトリマー刃が肌に平行に当たるように、往復式トリマーの刃面を斜めにするなどの改善をお願いしたいところです。

↑外刃と往復式トリマーを同時に肌(写真では定規で代用)に当てると、往復式トリマーが肌(定規)に対して斜めに当たり、トリマーの奥の部分が肌に接しません。トリマー刃を広く肌に当てるには、ヘッドを強く肌に押しつける必要があります

 

また、本機にはロック機能も搭載。スイッチOFFにし、ロックマーク(鍵のマーク)が点滅しているときに3秒間電源ボタンを押し続けるとロックマークが点灯し、ロック完了します。ロックを解除するには、電源ボタンを3秒長押しします。筆者は、ロックマークが点滅している間に「長押し」を行う必要がある(※)のがややストレスでした。

※ロック後20分以内の場合。20分以上経過した場合は、ボタンを長押しするだけでロック解除が可能です

↑鍵のかたちをした赤いロックマークが点滅中に電源ボタンを長押しします

 

↑携帯用のポーチを同梱。ウレタン製で強い衝撃には弱いので、旅行バッグに入れる際は、クッションになる衣類やタオルを周りに咬ませておくなどする必要があります

 

【検証のまとめ】

ヘッドはある程度のコントロールが必要。運転音が静かなのはメリット

操作性に関しては、やや本体は重めですが十分スムーズにシェービング可能。ヘッドは前後左右上下に動きますが、やや動きが硬いです。外刃もフロート構造でないので、顔の起伏への追随性は十分高いとまでは言えず、ユーザーがヘッドの角度と肌への圧力のかかり方をしっかりコントロールする必要があります。ちなみに、本機は深剃り性能が高いわりには運転音が静か。うるさい電気シェーバーが苦手な人にはオススメできます。

 

こまめなヘッドの洗浄とオイルを塗布する必要あり

メンテナンス性については、充電台に乾燥機能は付いているものの、洗浄を自分でやる必要があるのは面倒といえば面倒です。剃り味維持のために、洗浄・乾燥後の内刃と外刃に必ずシェーバーオイルをつける必要があるのも大変。ただ、自動洗浄充電台付きのモデルを買っても、専用洗浄液をこまめに買うのが面倒で、結局使わなくなりそうな人は、本機を選ぶ意味はあると思います。特に温熱とLED光照射による除菌・防臭機能は他社製品にはないものです。付加機能に関しては、キワゾリ刃もロック機能も極めてオーソドックス。

ある程度慣れれば、自分に合ったシェービングが行える

肝心の深剃りについては、通常の持ち方をした「順剃り」だけではやや物足りなさを感じましたが、そこに本体を逆手に持った「逆剃り」を加えることで、十分な深剃りが可能であることがわかりました。順手・逆手での剃り味の違いがT字カミソリに似ているので、T字カミソリを使っていた人が電気シェーバーに乗り換える際にも選択肢の第一候補にしていいでしょう。筆者はヒゲが濃いほうではないので実証できませんでしたが、内刃を回転させる駆動ユニットの回転トルクが約300%にアップしているとのことで、ヒゲが濃い人にも対応できそうです。

ただ、そのぶん肌に負担がかかるのも事実で、4枚刃や5枚刃のシェーバーのように、肌を広い「面」で受け止めるのと違い、このモデルはロータリー刃が大型になったとはいえ、構造上、肌を「線」に近いかたちで受け止めることになるのは間違いありません。特に、より広い範囲をより深剃りしようとヘッドを肌に押し付けると、肌に当たっている外刃の真ん中の部分はより圧力が大きくなり、ひりつきも強くなってしまいます。

 

そこで筆者はできるだけ肌にヘッドを押し付けず、時間をかけてシェービングすることを心がけました。また、口元などヒゲの剃り残しを感じる部分は様々な角度から順手・逆手を使ってアプローチ。その結果、ひりつきのほとんどない快適なシェービングができ、神経質にならなければ剃り残しも気にならないレベルに深剃りできました。このあたりは個人の肌の強さや深剃りの好みもあるので、各ユーザーが調整すればいいでしょう。その意味で、このシェーバーは買ってすぐ満足な剃り味を得られるタイプではなく、自分に合った剃り味を実現するまでに、ある程度の慣れが必要だと感じました。それを理解したうえで、他社製品にない剃り味を試してみたい人なら十分な満足感があると思います。

 

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