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2019/8/7 17:30

「内炎式」と「外炎式」はどう違う? 実は奥深い「カセットコンロの微妙な差」をイワタニで聞いてきた

カセットコンロやカセットガスの代名詞が「イワタニ」のブランドで親しまれている岩谷産業。そんな岩谷産業が、関係者向けの内覧会を開催しました。会場にはさまざまなカセットガス製品がズラリ。とはいえ、カセットコンロとは結局「卓上で火を使って調理できる手軽なコンロ」のはず。なのになぜ、カセットコンロだけでこれだけ種類があるのでしょう?  それぞれの違いは何? せっかくなので、この機会に詳しく聞いてきました!

↑内覧会で展示されていた現行のカセットコンロ製品(一部発表前モデル)。「カセットコンロ」と関連製品だけでこれだけの種類があるのにはビックリです

 

内炎式と外炎式では、熱が逃げにくい内炎式が上位にあたる

ひとくちに「カセットコンロ」といっても、実は炎の出る機構などがちがいます。たとえば、イワタニの人気商品である通常サイズのカセットコンロ「カセットフー」シリーズ。

↑「カセットフー スーパー達人スリム」(写真左・実売価格2880円)と「カセットフー エコプレミアム」(写真右・実売価格5370円)

 

どちらも土鍋なら9号(エコプレミアムは約10号まで)利用できる標準サイズのカセットコンロですが、両者最大の違いはバーナーの仕組みです。スーパー達人スリムは、炎がバーナーの外側に広がる一般的な「外炎式」なのに対し、エコプレミアムは炎がバーナー内側に向かって燃える「内炎式」なのです。

↑スーパー達人スリムに使用されている外炎式バーナー。一般的なカセットコンロはこの方式を採用しています

 

↑エコプレミアムで使用されている内炎式バーナー。基本的に外炎式カセットコンロの上位機種であることが多いです

 

この2つのバーナー方式で、上位機種となるのはもちろん「内炎式」です。外炎式は、その炎の形状から熱が鍋底から逃げやすいのですが、内炎式は内向きの炎なので熱が逃げにくいというメリットが。たとえば、小さな鍋を加熱する場合も炎がはみ出さずに効率的に加熱可能なうえ、鍋底全体をまんべんなく均一に加熱するメリットがあり、トロ火加熱なども得意です。

 

プレートを利用した場合は外炎式が良い場合もある

ただし、一概にどんな場合でも「高級な内炎式」が良いかというとそうではありません。内炎式は構造上鍋の中心部を強く加熱するので、たこ焼きプレートなどを利用した場合に外側の温度が上がりにくいことがあります。このため、たこ焼きプレートや焼き肉プレートなど「焼き物系」にカセットコンロを多く使う場合は、比較的安価な外炎式を選んだほうが良いこともあります。ちなみに、イワタニの外炎式バーナーはほとんどは「タテ型炎口バーナー」を採用しています。これは、炎が出る「炎口」を、従来よりもタテに長い形にしたもの。これにより、ガスの炎が外に広がりにくくなり、より熱のロスが少ない調理ができるといいます。

たくさんの細かな穴を配置した「多孔式バーナー」は風に強い

また、一般的な外炎式、高級路線である内炎式のほかに、イワタニには「多孔式バーナー」を使用した製品もあります。こちらは、その名前の通りバーナーにたくさんの細かな穴を配置したもの。ひとつひとつの炎口を小さくすることで、屋外使用時に風の影響を受けにくくなります。

↑イワタニの「タフまる」やBBQグリルなど屋外向けのカセットコンロの多くに採用されている「多孔式バーナー」。屋外向けは、風を遮る防風ユニットを備えることも多いです

 

↑今年発売された屋外向けのカセットコンロ「カセットフー 風まるⅡ」。「外側風防」と「内側風防」の2段階のプロテクトで風を遮ります(多孔式バーナーではありません)。屋外と屋内両方で利用できる製品なので、いざというときの防災用品としても人気があります

 

対応する鍋の大きさはしっかりチェック! 合わないと危険がある場合も

通常のこんろのほか、イワタニには「ジュニアこんろ」と呼ばれるコンパクトなカセットコンロのシリーズもあります。一般サイズのイワタニカセットコンロのサイズが約335(幅)×275(奥行)×84(高さ)mmなのに対し、ジュニアこんろのサイズは約279(幅)×185(奥行)×81(高さ)㎜とかなりコンパクト。このため、収納もしやすく人気のある製品です。

 

ただし、注意しなければならないのは、「収納に便利だから」とジュニアこんろを購入し、ファミリーサイズの大きな土鍋などで調理すること。実はカセットコンロは、製品によって「使用できる鍋のサイズ」が決まっていて、ジュニアこんろは大きな鍋には対応しません。正確には、鍋底が11cm以上で最大直径20cmまでの調理器具のみ利用可能です。ちなみにイワタニの一般的な大きさのカセットコンロは鍋底が16cm以上、土鍋ならだいたい9号までの大きさの鍋に対応しています。

 

調理する鍋の大きさが決まっている理由は、バーナーと鍋底の間に熱がたまるから。コンロに対してサイズの大きな鍋を使うと、ガス缶をセットしている部分まで熱くなる可能性があり、危険なのです。

↑イワタニのジュニアこんろシリーズの現行製品「カセットフー プチスリム・ドゥ」(実売価格2980円)。必要設置サイズは、前述したカセットフー スーパー達人スリムの約6割

 

カセットコンロの寿命は約10年

ところで、ここまでカセットコンロの種類について説明しましたが、カセットコンロの「買い換え時期」はどれくらいでしょうか?  今回イワタニに質問したところ、製品を問題なく使える場合、買い換え時期はだいたい10年だそう。カセットコンロにはガス漏れ防止用のゴムパッキンパーツが使用されており、経年劣化などの危険があるため10年経ったら壊れていなくても買い換えを検討してみても良いかもしれません。

 

ちなみに、イワタニのカセットガスにもガス漏れ防止用パーツが使われているため、ガス缶は約7年以内に使い切るのが良いそうです。

 

カセットコンロ専用のプレートも豊富にラインナップ

イワタニのカセットコンロは、豊富な「カセットこんろ用プレート」を後から追加購入できるのもうれしい点です。プレートには一般的な「フッ素加工 鉄板焼きプレート」(実売価格1640円)や「フッ素加工 たこ焼きプレート」(実売価格1230円)などのほか、肉などの脂を落としながら焼ける焼き肉プレート「鉄鋳物製 焼肉グリル」(実売価格1860円)や、「網焼きプレート」(実売価格2000円)など、他社にはあまりないバリエーションもそろえています。いずれもイワタニのカセットこんろ専用に作られており、底面がコンロの五徳(鍋をのせる台座部分)にはまる設計。このため、使用中にプレートがずれるなどの心配がありません。ほとんどのアクセサリーは実売価格が2000円ほどで、手軽に購入できる点も魅力的です。

↑直径約305mmの焼き肉プレート「フッ素加工 焼肉プレート (Y3・実売価格1060円)」。2重構造になっており、焼き面の下には肉などの脂を落とす水皿があります。直径25cmの「Y2」(実売価格814円)もあります

 

↑カセットコンロを七輪のように使えるようになる「網焼きプレート」。2重構造で下部の水皿に水をセット。遠赤輻射熱と水蒸気の力で食材をおいしく調理します

 

↑アクセサリープレート唯一の鋳物製品「鉄鋳物製 焼肉グリル」。約2.3kgと重量感のあるどっしりとした使い心地。鋳物製品ながら実売価格は実売価格1860円とリーズナブルなのも良いですね

 

こうして見ると、ひとくちにガスコンロといっても、炎の方向が違う内炎式と外炎式、風に強い多孔式バーナーや風防ありのモデル、コンパクトなモデルなど、さまざまなタイプがあることがわかりますね。プレートを使えば焼き肉用、たこ焼き用、網焼き用と、一気に用途が広がることも、実は知らなかった方が多いのでは? みなさんもぜひ、カセットコンロの違いや付属品に目を向けて、ぴったりのモデルを選んでみてください!