みなさん、「ていねいな暮らし」への憧れってありませんか? 筆者は猛烈に憧れているのですが、「ていねい」とはほど遠い暮らし方をしていて、常に何とかしたいと願っています。日々の食事でいえば、パックのごはんではなく、炊きたてを食べたいところ。
おひつ風炊飯器は「ていねいなごはん問題」を解決するか?
土鍋で炊くのが一番おいしいだろうな、と思いつつも、つきっきりで火の番をする気にもなれないので、炊飯器のスイッチを入れ、炊きあがるまでにおかずを用意するスタイルが私には合っています。となると、いい炊飯器が欲しいのですが、ひとり暮らしでそこまで奮発するのもな……というのが本音です。
そんな「ていねいなごはん問題」に直面し続けている筆者がいま気になっているのが、シャープの「KS-WM10B」(実売価格3万3330円)という炊飯器。この炊飯器、3万円台と手ごろな価格のうえ、見た目も「おひつ」みたいでキュンとするんです。デザインが「ザ・家電」ではないところに、「ていねい」のニオイがぷんぷんする……とはいえ炊飯器ならごはんの仕上がりも重要。果たして、筆者のごはん問題は解決するのか? 実際に使ってチェックしてみました!
デザインはシンプルで「調理道具」のような印象
KS-WM10Bは、黒くてころんとしたおひつのような5.5合炊きの炊飯器です。一般的な炊飯器にありがちなごちゃごちゃしたボタンがなく、シンプルなデザインを好む人なら好感を持つはず。
本体の質感は滑らかな手触りで、木のようなぬくもりを感じます。家電というよりは、「調理道具」のような印象です。そんなKS-WM10Bが一般的な炊飯器と異なるのが、ふたが完全に分離するスタイルである点です。外ぶたを外すと内ぶたが現れ、この内ぶたがうまみをしっかり閉じ込めてくれます。
二重ぶた構造はかまどにならって考えられており、実際のかまどの木ぶたは厚みと重みがあることから、KS-WM10Bの内ぶたも適度な重みのものを使用しているそうです。
リングキーをなぞって操作する独自スタイル
最近の炊飯器は多機能なものが増えていますが、KS-WM10Bの炊飯コースは「白米」「おいそぎ」の2種類のみ。予約炊飯はできますが、「おかゆ」や「玄米」などのコースはありません。
今回は実際にお米を3合炊いてみました。普段どおりお米を洗って浸水させ、分量の水を入れたらあとは炊飯をスタートするだけです。
炊飯時の操作でユニークなのが、リングキーをなぞって炊飯コースを選ぶところです。初めて使う際は少し戸惑うかもしれませんが、この操作方法を採用することで無駄なボタンを排除しているのでしょう。
ちょっと不便な「おひつスタイル」に「ていねいな暮らし」を実感
「ピーピーピーピー」とお知らせ音が鳴ると炊き上がりです。炊きたてのごはんは、普段使っている炊飯器で炊いたときよりツヤが出ている印象。
食べてみると、「たしかにおいしいかな」という気はします。筆者のように古い炊飯器を使っている者からすれば、確実にごはんの甘みや旨みが感じられました。とはいえ、10万円クラスの高級炊飯器で炊いたごはんには劣るのも事実。KS-WM10Bの実売価格は3万円台なので、価格に応じた味といえるでしょう。
それよりも大きな魅力は、なんといっても食卓に運んでその場でごはんをよそう「おひつスタイル」です。家電らしくないかわいらしいデザインが、食卓に落ち着きと和やかさを与えてくれます。また、保温機能がなく、炊きたてしか食べられないところ、食卓にわざわざ運ぶというちょっと不便なところが、「ああ、『ていねいな暮らし』をしているな」と実感できるというか。
ただし、先述しましたが、本機には「保温機能がない」ことに注意。炊きたてのごはんをおいしく味わうために特化した炊飯器なので、保温機能は付いていないのだとか。その点、筆者も普段は炊きたてのごはんをすぐに冷凍保存するので、保温機能は不要になりつつあります。また、家族が揃って食事できるのであれば、保温機能はなくてもいいでしょう。ただし、家族の食事の時間がバラバラな家庭、ごはんは冷凍保存しないという家庭は、保温機能のあるモデルを選んだほうが良いですね。
保温機能がない点を除けば、無駄のないシンプルなデザイン、オリジナリティあふれる二重ぶた構造など、魅力が満載のKS-WM10B。日本古来のおひつスタイルが楽しめるのもたまりません。ぜひ実物に触れて、その魅力を実感してみてくださいね。
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