排気ガスは電気集塵機へ誘導され、有害物質を除去
ジェットファンはトンネル内の排気ガスの滞留を防ぐのが主目的ですが、ただ単純に吹き流していたのでは、先に述べたようにトンネル出口の環境汚染が進んでしまいます。そこで、出口付近ではジェットファンを逆に取り付けて風をトンネル内に戻す動きをします。戻した排気ガスは換気所に取り込み、電気集塵(じん)機で空気中の粉塵(じん)等有害物質を除去します。
電気集塵機は、巨大な空気清浄機のようなもので、換気所の地下に設置されています。コロナ放電によって粉塵をマイナス帯電させた後、プラス電極に吸着することで集塵する仕組み。なお、集塵ユニットは定期的に水洗浄して捕集した粉塵を洗い流します。清浄された空気はその後、排風機によって垂直方向に持ち上げられ、消音機へと送り込まれます。
消音機は金属の筒が横に並んだ形状で、筒の中には綿状の物質が詰め込まれており、この空洞を風が通過する際に音を吸収する仕組み。これによりトンネル内のジェットファン付近では100dB近かった騒音が、距離減衰も加わり、換気所の敷地境界では50dBまで下がるとのことです。
ジェットファンや電気集塵機をはじめ、トンネル内設備の重要性を再確認
なお、ジェットファンは通常運用時の排気ガス対策だけでなく、災害発生時の排煙コントロールの役目も担っています。火災が車列の先頭で発生した場合、進行方向へと風を流すことで煙を避難者から遠ざけます。火災が渋滞の中央で発生した場合は火災車両の両側でジェットファンを運転することで風速を減衰し、煙が広がらないようにします。
高速道路のトンネルを通行する時には必ず目に入っていたけど、まったく気にも留めていなかったジェットファン。今回の見学を通して、それが通行者たちの安全を守る極めて重要な設備であることを知ることができました。機能は単純ですがその役割は重要で、トンネルには必要不可欠な設備だったわけです。合わせて、ふだんは見ることができない電気集塵機、排風機、消音機といった存在も興味深く、とても有意義な見学会でした。
なお、パナソニックは国内で累計約2000台のジェットファンを納入しており、その実績は国内トップ。また、電気集塵機はパナソニックが国内で初めて開発し、国内シェア約60%でこちらもトップです。家庭用の扇風機や空気清浄機はもちろん知っていましたが、トンネル空調でも高いシェアを獲っているなんて知りませんでした。「パナソニックって、いろんなことやっているなあ」というのも率直な感想です(笑)
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