毎年話題になるAmazonの年末大セール「Amazonサイバーマンデー」。2019年は12月6日から9日までの4日間に開催されました。筆者も、自分が欲しい商品がセールの対象になっていないかと、血走った眼でパソコンの画面を眺めていたものです。そんな折、GetNavi web編集部から「サイバーマンデーで、有名ではないメーカーの安い白物家電を買ってレビューしてくれない?」とのおかしな依頼が舞い込んできました。こっちは自分の物欲を満たすので忙しいのよ! …と思いつつも、ちょっと面白そうなのでその企画に乗っかってみました。
Amazonサイバーマンデーで、聞き慣れない中国メーカーのロボット掃除機を購入
で、目についたのが、アイライフというメーカーのロボット掃除機「ILIFE V8e」。同社は中国広東省深圳市に本拠を置く、ロボット掃除機の研究開発・製造に特化したメーカー。2010年創業、2012年に初のオリジナルロボット掃除機を発売し、2017年にはアイライフジャパンを北海道札幌市に設立。日本にもカスタマーセンターを設置していると同社のホームページには書いてあります。
筆者は小さな事務所を構えていますが、毎週毎週掃除するが面倒で仕方ない。なのでロボット掃除機が欲しいと思っていたのですが、それほど広くない事務所に何万円もする掃除機はいかがなものか…(業績も芳しくないし…)と躊躇していたところです。で、目についたV8eは通常価格2万1900円(税込)のところ、サイバーマンデーでは1万5330円(税込)に値下がりしていました! これはお手ごろ! アマゾン評価も当時4.2と高め(しかも、サクラレビューを見抜くツール「サクラチェッカー」でも危険度は10%)だったので思い切ってポチってみました。
日本語の取説の付属、問い合わせ先の明記に安心感
以前のサイバーマンデー時には、物流が混乱して注文から配達までに2週間以上も要したことがありましたが、今回はそんなことはなく、金曜日に注文したら翌々日の日曜日には配達できるとのこと。月曜日に事務所着で指定をしたら、問題なく配達されました。
さて、到着したV8eを開梱してまず感心したのが、この価格で予備の回転サイドブラシ、予備フィルター、リモコンおよびバーチャルウォールの乾電池が同梱されていたこと。さらに、元は中国メーカーなのに日本語のみで書かれた24ページの取扱説明書が入っており、保証書も同封されていたことです。Amazonのサイトによると、保証期間は12か月とのこと。
海外製の電気製品の場合、数か国の言語がまとめて書かれた簡易的な取説が同梱されているか、ユーザーがホームページから取説をダウンロードするか、または、日本語になっていない不思議な日本語の簡易取説がついているか……そのいずれかのパターンなのですが、アイライフの場合、きちんとした日本語の取説の同梱だけでなく、製品本体の裏にも大きくカスタマーサービスの電話番号が貼り付けられており、安心感があります。
「経路計画モード」「スポットモード」など掃除モードは4つを用意
V8eの機能は至ってシンプルです。本体には衝突センサーと落下防止センサーのみを搭載し、自動マッピング生成機能はありません。当然、スマートフォンアプリもなく、稼働時間いっぱいまでランダムに掃除を続ける仕様。取説には清掃時間が80分とありますが、実際には60分前後でドッグに自動的に戻ります。
掃除モードは4つ。経路計画モードは「部屋をいくつかの小さいエリアに分け、1つずつ弓字型のルートを計画し、1回の清掃だけで部屋の隅々まで清掃する効率的で省エネなモード」とあります。クラシックモードも同様に清掃エリアを区分し、1つのエリアの掃除を完成してから壁に沿って次のエリアに移動します。クラシックモードはカーペットの掃除におすすめとのこと。
…と、取説には書いてありますが、正直、経路計画モードとクラシックモードのモードの違いはあまりよく分かりません。エリアを区分して集中して掃除して次に移るとのことですが、2つのモードともに勝手気ままに動き回ります。壁際や机・椅子の足まわり、障害物のある周りはこまめに回り込んで念入りに掃除しますが、広めのスペースはツーっと通過してしまいます。違いといえば、クラシックモードは部屋を斜めに突っ切る動きをしますが、経路計画モードは壁に対して垂直・平行的な動きをすることぐらい。
ごみセンサーが搭載されていないので、ゴミを発見したら集中的に掃除するのではなく、ランダムに動き回って徐々にゴミを取り除いていきます。「そこ、もっと進んでよ」「眼の前にゴミがいっぱいあるのになんで方向転換しちゃうの」というのシーンが両モードともによくあるのはご愛嬌。
一方、スポットモードは、ゴミが多い箇所をスポット的に掃除することを目的としています。渦巻状に動き、直径1mほどを反転を繰り返し、大きく2回まわったら終了します。エッジモードはロボットが壁沿いを掃除するものですが、1周したら終わりではなく、バッテリーが尽きるまで部屋の外縁部をひたすらに周り続けます。
「ちゃんと掃除している」という実感があるが、ときにはケーブルで停止することも
運動性能ですが、きちんと壁に沿って動いたり、家具の周りを念入りに動いたりと「ちゃんと掃除している」という実感があります。ただし、床の配線モールや電源ケーブルくらいなら乗り越えていきますが、たまにケーブルが複数絡み合った場所や、椅子のキャスターに乗り上げて運転を停止することもありました。衝突防止センサーが効いて家具に当たらずに方向を変えることもありますが、テーブルの足など細いものにはぶつかります。しかし、バンパーの当たり方はそれほど強くないので、家具を傷める心配はあまりないと思います。
充電ドッグに帰るとき、家具が邪魔して迷子になってしまうこともあり、いつまでもウロウロしてバッテリー切れ…なんてこともありました。でも、そんな動きがどこか微笑ましく、可愛かったりします。
【動画】
事務所の中を経路計画モードで運転し、上から撮影した映像を早送りしたもの。10畳くらいのスペースを1時間みっちり掃除したあと、バッテリーが切れる前に充電ドックに自動的に戻ります。
カーペットの毛に入り込んだゴミは苦手だが、満足度は高い
肝心の掃除機としての性能ですが、フローリングであれば砂粒・小石レベルのゴミも吸い込み、ほぼ問題なし。しかし、カーペット上では砂粒・小石ともに吸い残しが見受けられました。一般的な掃除機のように硬いブラシがついたローラーヘッドでカーペットのゴミを掻き出すのではなく、サイドブラシで吸込口に集めて吸い込む方式なので、どうしてもカーペットの毛に入り込んだゴミまでは取り切れません。
しかし、フローリングやカーペットの表面に浮いたホコリやゴミはある程度取れるので、満足度は高いと思います。先述の通り、壁沿いや家具周りの丹念な動きも好感が持てますし、実際にダストボックスを開けたときのゴミの量の多さにも驚くくらいです。
初心者用や2台目用として検討する価値あり
V8eはメインの掃除機として使うのではなく、昼間、家に誰もいないときに稼働させて目につくゴミを掃除させるのがいいでしょう。毎日ロボット掃除機を稼働しておけば、リビングや廊下などのフローリングスペースに関しては目立った毛やホコリ、ゴミが取れるので、仕事から帰ってきたときにスッキリ気持ちよくなれそう。特に、ペットの抜け毛は1週間も掃除しないとかなりの量になりますので、ペットのいる家庭で日常的に稼働させるには最適ではないでしょうか。一方、本機で取り切れなかった部屋のコーナーやカーペットのゴミは、週末など時間のあるときにメインの掃除機で掃除する、という形で使い分ければ、効率よく部屋をキレイにできますね。
なお、本機は通常価格2万1900円ながら、仮想壁を設定するツールが付属し、掃除してほしくない場所入れない設定にできますし、別売の水タンクとモップを購入すれば水拭きも可能と、その点でもコストパフォーマンスの高さを感じます。「初めてのロボット掃除機が欲しいけれど、我が家に合うのかわからない」「あくまで掃除のメインは人間で、日常的なゴミは気にならない程度に取れればいい」「2階用として2台目が欲しい」といった場合に、V8eは十分に検討する価値があると思います。
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