パナソニックが「365日 災害カレンダー」と呼ばれる、ちょっと面白いカレンダーを作ったことを知っているでしょうか? このカレンダーは、2011年3月11日にあった「東日本大震災」など、過去に起こった大きな災害を各日付に記入したもの。しかも、カレンダーをチェックすると、日本は365日すべての日になんらかの災害があったことがわかります。
そんな「災害の国」で、われわれに必要なアクションとはなにか? パナソニック ライフソリューションズ社が、防災政策や防災学を専門とする静岡大学 防災総合センターの岩田孝仁特任教授とともに「備える」をテーマとしたセミナーを開催しました。
災害大国なのに国民の半分以上が災害の備えに「取り組んでいない」
岩田教授によるトークセッションでは、気になる災害の状況や日本の防災対策の現状について語られました。なかでも驚くのが、内閣府が2016年に行った「日常において、災害への備えは、どれくらい重要なことですか?」という質問に対する回答。なんと、62.2%もの回答者が災害への備えに「取り組んでいない」、あるいは「ほとんど取り組んでいない」ということがわかったといいます。
「防災への備え」を普段の生活に取り入れることを提唱
「365日 災害カレンダー」を見た通り、ここまで災害が多いにもかかわらず、家庭や個人における防災対策意識が低いのはなぜなのか? 岩田教授はその原因のひとつとして、個人や家庭における「災害への想像力の欠如」を挙げています。
たとえば戦前は地盤が軟弱な地域を住宅地にすることは避ける傾向がありましたが、戦後日本の高度成長期を境にこういったエリアも開発されていきます。これは下水道や河川の放水路などの整備が進み、水害に対して一定の安全性を確保できたからです。ただし、皮肉なことに防災技術が進むとともに、人は「もし災害が起こったら?」という想像が働きにくくなります。このため、防災対策の想定を超える規模の災害が起きると、対応できずに被害が拡大する可能性があるのです。
岩田教授はこの問題の解決法として、防災への備えを普段の生活に取り入れることを提唱しています。たとえば、調理をしなくても食べられる缶詰やレトルト食品、あるいは水などをちょっと多めにストックする、普段も使えて災害の備えにもなる設備や家電を選ぶ、といった具合です。