家電
2021/4/2 18:45

ワクチン接種効率化のカギは“皮下脂肪”! タニタが皮下脂肪厚計を急きょ製品化したワケとは?

タニタは、皮下脂肪の厚さをわずか5秒で計測できる皮下脂肪厚計「SR-903」を発表しました。4月5日より予約受付を開始し、6月1日より同社のオンラインサイトにて発売します。価格は9900円。

↑皮下脂肪厚計「SR-903」

 

「SR-903」は、同社の体組成計にも用いられている技術を使い、手軽に皮ふと筋肉のあいだの皮下脂肪の厚さを計測できるというもの。背面の電極を水で濡らし、測定したい身体の部位に当てるだけで、約5秒で皮下脂肪の厚さを0.1cm単位で測定できます。

↑わずか5秒で皮下脂肪の厚さを0.1cm単位で測定可能

 

↑背面の電極を濡らして使用します

 

これは、体内に微弱な電流を流したとき、脂肪と筋肉ではインピーダンス(抵抗)の位相差があることを利用したもので、その差異を独自のアルゴリズムで解析して皮下脂肪の厚さを測定します。

 

今回、このSR-903が発売された背景には、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に同機器が役立つと示唆されたことがあります。ワクチンの摂取にあたり、一般の注射器ではなくインスリン用注射器を使うことでワクチンの摂取回数を増やせると医療機関が公表しましたが、インスリン用注射器の針はかなり短いため、皮下脂肪の厚さにより針が筋肉まで届かない場合があるとのこと。そのため、ワクチン接種の前に注射する部位の皮下脂肪の厚さを計測することで、インスリン用注射器が使えるかどうか判別することが必要となります。

↑ワクチンは筋肉注射のため、皮下脂肪が厚いと針が届かない場合があります

 

医療機関では超音波を使ったエコー測定が利用されますが、エコー測定には専用の装置が必要となるほか、測定結果が画像で表示されるため、判別にも専門の知識が必要となります。そのため、誰でも手軽に扱え、簡単に測定できる同社の機器に注目が集まっているとのこと。

↑精度の高い超音波検査は専用の装置が必要となるほか、専門の知識や技術も求められるそう

 

発表会には、同機の評価に協力した国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の宮地元彦氏がビデオでコメントを寄せ、同機の採用する生体電気インピーダンス(BI)法が、医療機関などで用いられている超音波を使ったエコー測定と比較しても、遜色ない精度で皮下脂肪の厚さが測定できることを確認したと説明しました。

↑国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の宮地元彦氏

 

発表会に登壇した同社の谷田千里 代表取締役社長は、「医療機関から多数の問い合わせがあり、急きょ製品化に踏み切った。社会的困難に弊社の製品を役立てることができれば幸い」と、開発の理由を述べました。

↑タニタの谷田千里 代表取締役社長

 

↑谷田社長自ら測定のデモンストレーションを行いました

 

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