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炊飯器
2016/8/25 21:18

【レビュー】蒸気カットは高級炊飯器でオンリーワン! 日立「ふっくら御膳」はメンテ性も抜群で毎日が快適だった

最近は10万円前後の高級炊飯器が人気。ご飯は毎日の食卓に上がるものだけに「ここだけはお金をかけたい」という家庭も多いようです。高級炊飯器は、各メーカーともに内釜の素材や炊飯方法などに特徴があります。なかでも、日立アプライアンスの圧力スチーム炊き「ふっくら御膳 RZ-YW3000M」(実売価格8万2200円・以下RZ-YW3000M)は、圧力をかけた状態でスチームを発生させることで、ふっくらと甘みのあるご飯が炊けます。

 

↑本体は丸みがあり、懐かしの「ザ・炊飯器」というデザイン。このデザインは好き嫌いが分かれそうです。カラーは写真のメタリックレッドのほか、パールホワイトもあります
↑本体は丸みがあり、懐かしの「ザ・炊飯器」というデザインで、好みが分かれそうです。カラバリは写真のメタリックレッドのほか、パールホワイトもあります。一般的に上蓋部に配置されることの多い「ふた開ボタン」は本体前面に配置。スライド棚設置時に、ボタンを押してもズレにくいというメリットがあります

 

高温で甘みを引き出しながら焦げを防ぐ

日立の「ふっくら御膳」シリーズは、釜内に圧力をかけることで最高105℃という高温炊飯ができる炊飯器です。お米は長時間高い温度帯で加熱することで、でんぷんが「アルファ化」し、より甘みを引き出すことができます。とはいえ、高温で炊飯すると、釜内の水が蒸発してしまい、釜底のご飯が焦げ付いてしまうデメリットも……。そこで、RZ-YW3000Mは、炊飯の最終工程である「蒸らし」段階で高温のスチームを吹き付けて98℃以上の高温をキープ。高温で甘みを増すアルファ化を促進しつつ、なべ底は焦がさないという仕組みです。

 

スチームに使う水分を自給自足するため補充が不要

実は、炊飯にスチームを利用する炊飯器は他メーカーからも発売されていますが、RZ-YW3000Mはそのスチームの発生方法が特徴的です。内フタに「給水レス オートスチーマー」が搭載されており、沸騰したときに発生する蒸気を内フタ内に一度溜めます。そして、スチームが必要な蒸らしや保温時になると、溜めた水分を再利用して放出するのです。このため、スチーム炊飯器ながら、スチーム専用水タンクへの水の補充が必要なく、炊飯後に「水の補充を忘れた」という失敗がありません。

↑内ブタのなかに水分を溜め、蒸らし工程や保温時に七つある穴から蒸気を放出します。水を補充する必要がないのは便利
↑内フタのなかに水分を溜め、蒸らし工程や保温時に七つある穴から蒸気を放出します。水を補充する必要がないのは便利!

 

↑内ブタ内に水を溜める「オートスチーマープレート」
↑内フタ内に水を溜める「オートスチーマープレート」

 

蒸気レスだから置き場所を選ばない

また、RZ-YW3000Mで特に気に入ったのが、高級炊飯器としては唯一「蒸気カット」機能を搭載すること。普通の炊飯器は、炊飯加熱中に大量の蒸気が発生します。このため、棚の天井素材が熱や水で変性させないよう、天井までの高さをある程度確保する必要があります。このような理由で、最近の食器棚は「炊飯器置き場」が用意されているタイプがほとんど。これは、食器棚の天板に蒸気がかからないように、炊飯中は炊飯器ごとスライドして外に出せる仕組みになったものです。

 

とはいえ、狭い日本の台所において、忙しく動き回る調理場に「でっぱり」があるのは意外に邪魔なもの。一方、RZ-YW3000Mは、最大沸騰時でもうっすらと確認できる程度の蒸気しか発生しません。このため、フタが開く上部空間があれば、どこにでも設置可能です。ちなみに、蒸気が発生しないためか、炊飯中に独特のムワっとくる米ぬか臭がしないのも気に入りました。これなら米ぬか臭でつわりを起こしやすい、妊婦さんへのプレゼントとしてもよさそうです。

↑最近の食器棚に多い、炊飯器用のスライド棚。調理中に引き出していると、ぶつかって邪魔なことが多いですが、RZ-YW3000Mなら収納状態で炊飯可能です
↑最近の食器棚に多い、炊飯器用のスライド棚。調理中に引き出していると、ぶつかって邪魔なことが多いですが、RZ-YW3000Mなら収納状態で炊飯可能です

 

↑グツグツと沸騰音がしているときに、黒い布をかぶせて蒸気を確認。ほとんど蒸気は視認できません。5cm程度までなら、手をかざしてもあまり熱くなかったので、いたずらをする子供がいる家庭にもよさそうです
↑グツグツと沸騰音がしているときに、黒い布をかぶせて蒸気を確認。ほとんど蒸気は視認できません

 

ご飯は一粒一粒が潰れずツヤツヤに炊き上がる

さて、ここからは実際に炊飯をしてみます。ちなみにRZ-YW3000Mの「極上 ふつう」で3合炊飯したところ、炊飯時間は約50分。この50分には米の浸水時間も含まれます。RZ-YW3000Mは、米を60℃という高温で浸水することで、通常は炊飯前に1時間必要な浸水時間を大幅に短縮できます。最近の高級炊飯器の多くは、浸水の時間も炊飯時間に含まれており、この浸水時間もご飯のおいしさを左右します。RZ-YW3000Mは、浸水時間を従来よりも長くとることで、ご飯の甘みがアップするそうです。

 

RZ-YW3000Mの炊き上がりで、まず驚くのは粒立ちの良さです。お米の一粒一粒がピンと立っており、ツヤツヤと輝いています。同量の米を廉価炊飯器でも炊飯してみましたが、あきらかに表面のツヤが違います。炊飯後に両炊飯器のご飯をかき混ぜましたが、廉価炊飯器の米はつぶれやすく、塊になりやすいのに対し、RZ-YW3000Mのご飯はかき混ぜても粒が独立してフワっと茶わんによそえます。

↑お米が一粒一粒確認できそうな炊き上がり、ツヤもあり、みるからにおいしそうです
↑お米が一粒一粒確認できそうな炊き上がり、ツヤもあり、みるからにおいしそうです

 

↑廉価炊飯器(左)とRZ-YW3000M(右)で炊いたご飯を比較。RZ-YW3000Mのほうがみずみずしく艶があるのがわかります。また、廉価炊飯器で炊いたご飯は、形が崩れていたり、ダマになったりしているのが確認できます
↑廉価炊飯器(左)とRZ-YW3000M(右)で炊いたご飯を比較。RZ-YW3000Mのほうがみずみずしく艶があるのがわかります。また、廉価炊飯器で炊いたご飯は、形が崩れていたり、ダマになったりしているのが確認できます

 

口の中でほぐれるような食感で冷めてもおいしい!

RZ-YW3000Mの食感は一瞬弾力を強めに感じますが、噛むと中心まで柔らかで、口のなかで粒がほぐれるような感覚。味は、甘みもありますが、どちらかというと噛めば噛むほど旨みが強くなるタイプ。お米自体の味が濃くでるため、あっさりしたおかずや、塩だけでも楽しめると感じました。

 

また、粒同士がグチャっとくっつかないため、おにぎりにしてもおいしいのもポイント。おいしいおにぎりのポイントは「空気をたっぷり含む」ことといわれています。RZ-YW3000Mと廉価炊飯器のごはんで、おにぎりを作ったところ、廉価炊飯器のおにぎりはべチャっとご飯同士がくっついているのに対し、RZ-YW3000Mは空気をたっぷり含み、口の中でホロっと崩れます。冷えてもおいしかったので、お弁当のご飯としても活躍しそうです。

↑廉価炊飯器(左)とRZ-YW3000M(右)で炊いたご飯をおにぎりにし、手で半分に割ったものを比較。RZ-YW3000Mの断面は、粒立ちがよく、より多くの空気を含んでいるのがわかる
↑廉価炊飯器(左)とRZ-YW3000M(右)で炊いたご飯をおにぎりにし、手で半分に割ったものを比較。RZ-YW3000Mの断面は、粒立ちがよく、より多くの空気を含んでいるのがわかります

 

↑冷やご飯も美味しいですが、なんとスチーム低温保温モードならば40時間もの保温も可能です。写真は24時間保温後ですが、スチームのおかげかツヤは健在。少々ヌカ臭さはありますが、美味しく食べれる範囲の匂いです
↑冷やご飯もおいしいですが、なんと保温低モードならば40時間もの保温も可能です。写真は24時間保温後ですが、スチームのおかげかツヤは健在。少々ヌカ臭さはありますが、おいしく食べれる範囲の匂いです

 

内釜の軽さは驚異的! 片付けやすさにも注目

ところで、RZ-YW3000Mで特に気に入ったのが内釜の軽さ。実は、高級炊飯器の多くは、内釜の蓄熱性を重視するため、内釜が分厚く重いものが多く、なかには、内釜だけで1kg以上するものも。もちろん、実際に洗米をする場合は、ここに水と米の重さが加わります。一方、RZ-YW3000Mは本体の蓄熱性を高めており、内釜の重量は約720gとかなり軽量です。これなら、毎日の洗米や片付けも苦になりませんね。

↑女性でも軽く片手で持てる内釜の重さは、毎日使うものだけに嬉しいポイントです
↑女性でも軽く片手で持てる内釜の重さは、毎日使うものだけにうれしいポイントです

 

↑内釜に刻印されている「水位線」も、好みにあわせて「やわらかめ」「ふつう(中央の線)」「かため」で選べるようになっています
↑内釜に刻印されている「水位線」も、好みにあわせて「やわらかめ」「ふつう(中央の線)」「かため」で選べるようになっています

 

また、本体の片付けのしやすさもポイントです。炊飯後に片付けが必要なパーツは、内釜と内フタのみ!  内フタはシンクで3パーツに分解して洗う必要がありますが、炊飯器からシンクまでの移動時は2パーツだけなので移動時にバラけて落とすといった心配はありません。ただ、分解したパーツは意外に凹凸が多いので、少々洗いにくいのが惜しいです。

↑毎回洗う必要があるパーツは、内釜と内フタのみ。内フタを内釜にポイっと入れれば、片手で持ち歩くことも可能です
↑毎回洗う必要があるパーツは、内釜と内フタのみ。内フタを内釜にポイっと入れれば、片手で持ち歩くことも可能です

 

↑内フタは3つのパーツに分解して洗浄します。「蒸気口 上ケース」など、凹凸の多いパーツもあります
↑内フタは3つのパーツに分解して洗浄します。「蒸気口 上ケース」など、凹凸の多いパーツもあります

 

↑内ブタに装着する「蒸気口 上ケース」の突起状の蒸気口が本体外まで続いているため、本体のフタが蒸気で汚れないのも嬉しい点です
↑内フタに装着する「蒸気口 上ケース」の突起状の蒸気口が本体外まで続いているため、本体のフタが蒸気で汚れないのもうれしい点です

 

↑汚れがこびりつきやすい本体フチ部分はフラットな鏡面デザイン。凹凸がないのでサッと拭くだけでキレイになります
↑汚れがこびりつきやすい本体フチ部分はフラットな鏡面デザイン。凹凸がないのでサッと拭くだけでキレイになります

 

使いやすさに配慮があり毎日快適に使える!

炊飯器は毎日使うものだけに、内釜の軽さや洗いやすさなどが極めて重要。その点、RZ-YW3000Mは、おいしいだけでなく、使いやすさも非常によく考えられています。特に、現行の高級炊飯器のなかで、蒸気カットを採用しているのは本製品のみ。これは、高級炊飯器は欲しいけれど設置場所に悩んでいたという人にとっては、かなりうれしい仕様ではないでしょうか。

 

【SPEC】

炊飯容量:0.09~1.0L(0.5~5.5合)

消費電力:1400W(炊飯時)

サイズ/質量:W268×H237×D352mm/約6.6㎏