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掃除機
2021/9/3 18:15

「軽くて本当に使いやすい掃除機」はどれ? 人気5モデルの「操作性・静音性」を一気にチェック!

近年のコードレススティック掃除機は「軽量タイプ」が人気。しかもただ軽いだけでなく、十分な吸引力(ゴミ取り能力)と高い機能性を兼ね備えた高級モデルに注目が集まっています。

今回はそんな「軽量・高機能」なコードレススティックの最新機種のなかから、人気の5ブランド(ダイソン、シャープ、パナソニック、日立、アイリスオーヤマ)の最新モデルを取り上げ、さまざまな角度から実力を検証。フローリングとカーペットでの吸引力をテストした前回に続き、今回は軽量モデル一番のメリットとなる「操作性(取り回しの良さ)」、さらに「静音性」をチェックしていきたいと思います。

 

【今回テストした5機種はコチラ】

エントリーその1

ダイソン史上最軽量ながら高いゴミ除去能力を実現

 

ダイソン

Dyson Micro 1.5kg

実売価格5万3900円(税込)

ダイソンのコードレススティック史上最軽量の1.5kgを誇るモデル。毎分最大10万5000回転するDyson Hyperdymiumモーターと独自のソフトローラークリーナーヘッド(Micro Fluffyクリーナーヘッド)により、大きなゴミから微粒子ゴミまでパワフルに取り除く。0.3μmの微粒子を99.99%キャッチし、部屋の空気よりきれいな空気を排出。最長運転時間は約20分(※)、強モードでは最長約5分の連続運転が可能だ。●サイズ/質量:W207×H1091×D222mm/1.5kg

※:モーター駆動でないツールをエコモードで使用した場合

 

エントリーその2

着脱式バッテリーを2個付属し最長約100分の連続掃除が可能!

シャープ

RACTIVE Air EC-AR5X

実売価格4万8000円(税込)

モーターとパイプの軽量化で重さ1.2kgを実現。小型軽量ながら高効率のモーターを開発し、メイン掃除機としても十分使えるパワーで掃除できる。バッテリー1個あたりの最長運転時間は約50分(すき間ノズル等の付属吸込口使用時)で、同梱の予備バッテリーを付け替えれば最長約100分の連続運転が可能。立ったまま吸込口を着脱してすき間掃除に移行できる「スグトルブラシ」など便利機能も多数。●サイズ/質量:W210×H985×D150mm/1.2kg

※画像は昨年モデル。8月26日より運転時間とパワーが進化した新製品が発売されている

 

エントリーその3

クリーンセンサーや壁際まで届くパワーノズルなどでゴミの取り逃がしを低減!

パナソニック

パワーコードレス MC-SB51J

実売価格3万9240円(税込)

小型ながら吸込仕事率100Wの吸引力と使いやすさを備えた機種。クリーンセンサーが約20μmの見えないゴミまで検知しランプを点灯、自動的に吸引力をアップする。独自形状のパワーノズルが壁際までしっかり届いて逃さずゴミ除去。毛先がY字のブラシと硬質ブラシの2種類のブラシ毛を採用し、フローリングから絨毯まで幅広い床質に対応。●サイズ/質量:W220×H1106×D182mm/1.6kg

 

エントリーその4

破格の軽さ1.1kgに加え、掃除の快適さを高める機能も満載!

日立

ラクかるスティック PV-BL2H

実売価格4万3300円(税込)

本体や延長パイプ、ヘッドの徹底的な軽量化で標準質量1.1kgを達成。新開発の「ハイパワー3D ファンモーター」で空気の流れを効率的に制御し、軽さと強力吸引を両立した。ノズルには拭き専用の毛「かるふきブラシ」を採用し、ゴミを吸引しながらフローリングに貼りついた菌も拭き取る。暗い場所でゴミを照らし出すLEDライトをヘッド前面に搭載するなど使い勝手への配慮も万全。●サイズ/質量:W205×H994×D230mm/1.1kg

 

エントリーその5

静電モップなど豊富なアタッチメントで家中の掃除をサポート!

アイリスオーヤマ

充電式サイクロンスティッククリーナー マルチツールセット SCD-L1P-B

実売価格3万8700円(税込)

同社サイクロン史上最軽量の1.4kgながらパワフルな吸引力と豊富な便利機能も兼備。自走式パワーヘッドのパワーは落とさずヘッドの重さを約60%カットし、狭い場所も快適に掃除できる。人気の静電モップクリーンシステムやほこり感知センサーも搭載。付属ツールは5種類を備え、家中を快適に掃除できる。準HEPAフィルター搭載で0.3μm以上の微粒子を99.5%以上捕集。●サイズ/質量:W224×H1035×D235mm/1.4kg

 

【操作性・静音性テストの内容はコチラ】

コードレススティックの掃除機がけのしやすさは、標準質量(本体、延長パイプ、ヘッドの重さの合計)とヘッドの首振りのスムーズさ、人力での掃除機がけをアシストするヘッドブラシの回転力が重要です。今回はこの3項目に加え、ソファ下など高さのない場所や家具と壁のすき間などへのヘッドの進入しやすさ、掃除の快適さを高めるアシスト機能などを確認。さらに、前回の「吸引力」と内容が類似しますが、掃除機の取り回しと大きな関わりを持つ「壁際でのゴミの取れ具合」を検証(壁際に重曹をまいて吸引)します。このほか、広い住居スペースの掃除をする際に問題となる連続運転時間や、充電時間もスペック上でチェックしていきます。

 

各モデルの静音性についても検証。ここでは市販のデジタル騒音計を使い、騒音計から1.5m離れた場所で騒音レベルを測定しました。ただし、今回は生活空間での測定であり、あくまで参考値とお考えください。騒音の数値とは別に、実際に聴いた音の印象も解説します。

↑掃除機を稼働していない状態での騒音レベルが33.6dBA(※)前後の環境でテストしました ※dBA…音圧レベルを人間が感じ取れる周波数で補正したもの。より人間の聴感に近い騒音レベルを表します

【操作性テストの結果はコチラ】

エントリーその1ダイソン Dyson Micro 1.5kg

従来モデルのユーザーが驚く軽さ。ボタン式採用で負担も軽減

製品名にも入っているように標準質量は1.5kgで、ダイソンの掃除機とは思えぬ(失礼!)軽さ。ダイソンの従来モデルのユーザーがこれを使ったら、快適な操作感にショックを受けると思います。

↑Dyson Micro 1.5kgはダイソンのコードレススティックのなかでも群を抜く軽さ。片手でラクラク持ち上げられ、小柄な人や年配の人でも軽快に使いこなせます

 

ヘッドの操作性について詳しく見ていきましょう。ヘッドは自走する感覚はありませんが、前後の移動は十分にスムーズです。左右の首振りは5機種中で最も軽い印象。軽すぎて思った以上に首が振れてしまうこともしばしばでした。また、畳の上ではわずかに動きが重く感じることも。これは他のモデルにはあまり感じなかったことです。

↑ヘッドは左右90度ずつしっかりと首振りできました

 

また、テーブルの脚周りを掃除するときなどに、ヘッドを脚にくっつけたまま横向きにスライドさせたくなりますが、本機の場合この動きがやりにくかったです。ヘッドを一度戻して首振りしなおせば済むことですが、少し気になりました。

↑ヘッドをテーブルの脚に沿ってずらそうとしたのですが、回転するソフトローラークリーナーヘッドの影響なのか、ヘッドを横にスライドしようとすると抵抗がありました

 

ヘッドが従来よりスリムになったぶん、家具の下など高さのない場所での掃除はスムーズ。ただ、本体を横倒しにして床にベタづけはできないため、ヘッドがギリギリ入る高さだと、奥まで掃除するのは難しそうです。一方、低い場所を掃除しているときでもヘッドの首振りができたのはメリットでした。

 

運転オン/オフは従来のトリガー式でなく、ボタン式。掃除中ずっとトリガーを引き続ける必要がなく、腕への負担がかなり軽くなったと感じました。

↑本体上部の電源ボタンを押すと運転開始。その上の「MAX」ボタンを押すと吸引力がアップします

 

壁際のゴミを取るならMAXモードがおすすめ

【壁際の吸引テスト画像のギャラリー】※タップすると画像がポップアップします

壁際の掃除では、ローラーが届かない部分にゴミの取り逃がしがありました。ナイロンフェルト素材のローラーは床にピッタリ密着するため、ヘッドの内側の吸引には効果的ですが、ヘッドの外側には吸引力が及びません。そのため、壁際の掃除ではブラシ毛採用のヘッドより不利になります。ただし、MAXモードにすると取り残しが減ったので、壁際をしっかり掃除したいときはMAXモードで掃除するか、付属のすき間ノズルを使ったほうがいいでしょう。

 

連続運転時間は通常モード(エコモード)でモーター駆動のないツールを使った場合、最長約20分。Micro Fluffyクリーナーヘッドなどモーター駆動ツールを使った場合は約18分、強モードなら約5分の連続運転ができます。バッテリーの充電時間は約3.5時間。

 

運転音はモーター音が気にならず好印象

エコモード(標準モード)での騒音レベルは66.3dBA。実際に聴いた印象でも、モーター音はほとんど気にならず、風切り音も耳障りな印象は比較的少ないです。ブラシを回転させるモーター音がほとんど聞こえないのも好印象。一方、MAXモードにすると騒音レベルは73.3dBAとなり、さすがに風切り音がうるさく感じました。

↑エコモード(標準モード)での騒音レベルは66.3dBAでうるさいとは感じません

 

エントリーその2シャープ RACTIVE Air EC-AR5X

「スグトルブラシ」「ちょいかけフック」など使い勝手を高める機能が多数

標準質量は1.2kg。ヘッドブラシの自走性は比較的弱めですが、手に持った感覚は驚くほど軽いです。ヘッドの操作もストレスがなく、特に左右の首振りがスムーズでした。

↑本体からヘッドまで全部合わせて1.2kg。長さも985cmと5モデル中最も短く、小柄な人でも扱いやすいと思います

 

↑ヘッドは左右それぞれ90度に首振り可能。テーブルの脚周りの掃除でも、左右に非常に滑らかに動いてくれました

 

本体を床にペタッとつけてもヘッドが浮かないので、ソファやスチール棚の下など低い場所も奥のほうまで掃除可能。低い場所にヘッドを入れたままヘッドを首振りさせることも、まずまずスムーズにできました。また、本体が軽量なので高い場所もラクラク掃除できます。

↑本体が床にペッタリついてもヘッドは浮き上がらず、掃除を続けられます。低い場所の掃除に最適です

 

↑本体が軽いので、エアコンなど部屋の上部の掃除もさっさと済ませられます

 

EC-AR5Xで最も重宝するのが「スグトルブラシ」です。これはワンボタンでヘッドが外れ、狭い場所が掃除しやすい小型ブラシが露出する機能。いちいちアタッチメントを取りに行く手間がかからず、毎日の掃除が極めてスムーズになります。

↑床掃除の最中にすき間掃除をしたいとき、片足でヘッドを押さえながら本体下のレバーを引くと簡単にヘッドが外れ、スグトルブラシが露出。すき間掃除が終わったら、簡単に元に戻せます

 

またセンサー機能では、フローリングやカーペットなど床の状況を検知して吸引力を自動調整する、床面検知機能に注目。掃除モードを「自動」にするとこの機能が働くので、カーペット上でいちいち吸引力を上げる、という手間が減ります。また、本機は「グリップセンサー」も装備。これは掃除中にグリップから手を離すと運転を一時停止し、握りなおすと運転再開する機能です。掃除中に椅子を動かしたりする際に手動で電源オフにする必要がないのがとても便利です。さらに本体裏に「ちょいかけフック」がついていて、掃除中にテーブルやイスなどにサッと掛けられるのも重宝しました。

↑掃除中にグリップから手を離すと自動的に運転を停止。もう一度握ると再び運転を始めます

 

↑本体後ろにゴム製の「ちょいかけフック」を装備。ラウンド形状なので椅子の背などにかけても安定し、テーブルに立てかけても滑りにくいため、ちょっと掃除機をどけて他の作業をしたいときに便利です

 

壁際の掃除は優秀。バッテリー2個付属で運転時間は長い

【壁際の吸引テスト画像のギャラリー】※タップすると画像がポップアップします

壁際の掃除では自動モードを使用したところ、ほぼすべての重曹を取り切っていました。壁の下のすき間に入り込んだ重曹のみ薄っすら残る程度。自動モードでこの取れ具合は優秀です。

 

連続運転時間は弱モードでモーター駆動のヘッドを使わない場合、最長約50分。モーター駆動ヘッド使用時は弱モードで35分。自動モードなら約23分、強モードは約9分です。ただ、EC-AR5Xは着脱式バッテリーを採用し、バッテリーを2個付属。これを連続して使えば、掃除できる時間は2倍になり、弱モードなら最長100分の掃除が可能になります。充電時間もバッテリー1個につき約80分とスピーディです。

↑EC-AR5Xはバッテリー2個とバッテリー充電器を付属。バッテリーが切れたら別の充電済みバッテリーに交換し、その間に空のバッテリーを充電しておく、という使い方もできます。本体ごと充電する必要がないので場所を取らないのもメリット

 

自動モードでも高域の風切り音がやや気になった

自動モードでの騒音レベルは66.3dBA。全体に「うるさい」という印象はないですが、やや風切り音のような高い音が気になりました。強モードにすると騒音レベルは72.1dBAに。風切り音がかなり大きくなり、またブラシが回転する低いモーター音も耳につくようになりました。

↑自動モードでの数値はダイソンとほぼ同じ

 

エントリーその3パナソニック パワーコードレス MC-SB51J

パワフルな自走式ヘッドやクリーンセンサーで快適に使える

標準質量は1.6kg。シャープや後述する日立のモデルを持ったときに比べるとわずかに重みを感じますが、比較しなければ十分軽快に使えます。特に優れているのはヘッドブラシの自走性の高さ。首振りがなめらかで、細かい取り回しがスムーズに行えます。

↑ヘッドブラシの回転力は本当にパワフル! 手に持っているだけでヘッドが勝手に前に進みます

 

↑左右それぞれ90度近くまで可動。本体のグリップ(持ち手)を軽くひねるだけでキビキビと首振りしてくれます

 

↑グリップの内側に適度な突起があり、細かく動かすときもしっかりホールドできます。グリップが大型なので、掃除する場所に応じて握る位置を変えることも可能

 

また、家具の下など、高さのないすき間の掃除も本体を倒しながら快適にできました。便利だったのが、本体を倒し、低い場所にヘッドを突っ込んだ状態でも首振りがスムーズにできたこと。他機種ではそもそもその状態で首振りできなかったり、一度首を振ると元に戻せなかったりすることが多く、ヘッドの方向を変えるには一度その場所からヘッドを引き出さなければならないことも。その点は丁寧に作られているなと感心しました。

 

さらに、MC-SB51Jにはゴミを見つけるとランプが赤く光り、自動で吸引力を上げる「クリーンセンサー」がついています。このセンサーは感知力が高く、少量のゴミにも反応するのが便利。逆に、ランプがつかなくなると「キレイになった」という実感がわきました。

↑ゴミが多いとクリーンセンサーが赤く点滅し、吸引力がアップ。センサーは約20μmの微粒子(ダニの死骸・フンなど)にまで反応。スギ花粉(約35μm)も逃さず除去できます

 

「壁ぎわ集じん」機能で壁際のゴミ取り力は文句なし

【壁際の吸引テスト画像のギャラリー】※タップすると画像がポップアップします

壁際のゴミ取り力は5機種中最も優秀でした。「AUTO」モードで検証したところ、重曹はほとんどを除去。「HIGH」モードにすると、壁の下のすき間にわずかに残っていた重曹もほぼ取り切りました。本機のヘッドは、壁際のゴミまでしっかり吸い込む「壁ぎわ集じん」機能を搭載。これも今回の優秀なテスト結果を生んだ要因のひとつと思われます。

↑ブラシの位置が前面にあり、かつヘッド前面カバーが薄いため、ブラシが壁際までしっかり届いてゴミを捕集できます

 

運転時間の目安は、「AUTO」モードでパワーヘッド使用時は約10~22分、すき間ノズルなど付属ノズル使用時だと約30分。「HIGH」モードだと約6分となります。充電時間は約3.5時間です。

 

落ち着いた運転音。「HIGH」モードでもそれほどうるさく感じない

オートモードでの測定値は63.4dBA。モーター音も風切り音もあまり気にならず、5モデルのなかでは最も落ち着いた運転音に感じられました。ただし、上記の測定値はゴミがないときの騒音レベル。同機はクリーンセンサーで自動的に吸引力がアップするため、掃除中に突然音量アップすることがあります。

 

「HIGH」モードでの測定値は68.5dBA。「AUTO」モードでセンサーが働いたときもこのくらいの騒音レベルでした。モーター音も風切り音も、他の機種ほど「うるさくなった」という印象はありませんでした。

↑「AUTO」モードの数値は優秀

 

エントリーその4日立 ラクかるスティック PV-BL2H

最軽量1.1kgと自走式ヘッドの推進力で操作のストレスはほぼナシ

標準質量は、5モデル中最も軽い1.1kg。さらにヘッドブラシの自走パワーが強力で、手は本当に「添えているだけ」という感覚で力を入れずに掃除機がけができます。ヘッドも左右にスルスル滑る感じで、家具の端や壁際などの細かい場所の掃除も極めてスムーズでした。

↑重さ1.1kgは実際に持ってみるとまさに「掃除機とは思えない」軽さ。これでパワフルな吸引力やモーター駆動のブラシヘッドを搭載しているのはスゴいです

 

↑延長パイプには、自動車の部品の軽量化にも活用されている「トポロジー最適化」という技術を採用。強度的に厚みが必要な部分と必要でない部分をコンピュータで解析し、写真の凹凸形状と組み合わせながらパイプを部分的に薄肉化し、強度保持と軽量化を両立したそう

 

↑軽量なのにヘッドの自走性が高いのが驚き。ヘッドがどんどん前に行こうとするのを、手首で制御しながら掃除している感じです。長さもシャープとほとんど同じコンパクトさで、背が低い人もラクに使いこなせます

 

高さのない場所でも、本体をペッタリ床につけてヘッドを突っ込み、ラクラク掃除できました。ヘッドの前後幅が小さく、壁と家具のすき間などにも横向きにして入れることができるので、サクサク掃除できます。

↑本体を床につけてもヘッドが浮き上がらないので、家具下などの掃除にも便利

 

ヘッド中央前面にLEDライトを搭載。廊下や納戸、ベッドの下など薄暗い場所ではこのLEDライトでゴミの有無がわかるので、とても掃除しやすかったです。

↑ヘッドにLEDライトを搭載

 

↑LEDの光でゴミが取れているのか確認できるのが便利です

 

標準モードでの壁際の取り残しも、強モードなら解消できる

【壁際の吸引テスト画像のギャラリー】※タップすると画像がポップアップします

壁際の掃除は、標準モードだと床と壁の間に重曹が少し残ってしまいました。シャープやパナソニックに比べると、取り残しがやや多かった印象です。強モードだと、壁の下のすき間に入り込んだ重曹のみうっすら残ったものの、ほぼ吸引・除去できていました。壁際のゴミ取り能力はまずまずといえるでしょう。

 

連続使用時間はパワーヘッドを使わない標準モードで最大約45分、パワーヘッド使用時は約30分。強モードでは約8分稼働します。ホコリなど通常のゴミなら標準モードでも十分除去できるので、掃除は通常モードで行うと良いでしょう。充電時間は約3.5時間です。

 

高い音は控えめ。ブラシが回転する低音がやや気になる

標準モードでの騒音レベルは64.5dBA。風切り音のような高い音がそれほどうるさく感じられず、耳ざわりは柔らかでした。ただし、ヘッドブラシが回転する低い音はやや気になります。一方、強モードでの騒音レベルは71.0dBA。このモードになると風切り音がかなりうるさく感じられます。そのぶん低音があまり気にならなくなりました。

↑標準モードでの騒音レベル

 

【エントリーその5】アイリスオーヤマ 充電式サイクロンスティッククリーナー マルチツールセット SCD-L1P-B

操作性は良好で、ゴミの量に合わせて吸引力も自動調整

標準質量は1.4kgで、ヘッドブラシは自走性が高く、シャープや日立並み…とまではいかないものの操作感は軽快です。ただ、他の4機種と比べると、ヘッドの左右の首振りの際にわずかなぎこちなさを感じました。本体が床にペタッとつくので、家具下など高さのないスペースの掃除もスムーズです。ベッド下などでの首振りは、本体位置を下げながら徐々に左右に振ればOK。方向を変えるときは一度ヘッドを外に出すことで問題なく行えました。

↑自走式パワーヘッド採用。なおかつヘッド自体の重さも従来モデルより約60%カットしていて、軽快に操作できます

 

本機はパナソニックの製品同様、ゴミセンサー(ほこり感知センサー)が搭載されています。センサー感度は高く、わずかなゴミにも反応してランプが赤く光ります。また、自動モード、セーブモード時にはゴミの量に合わせて吸引力も自動調整します。ランプが大型で視認性が高いのもメリットです。

↑ゴミが少ないとダストカップ部分が緑に点灯します

 

↑ゴミが多いと赤に点灯

 

そのほか印象的だったのは、カーペットを掃除する際に、ヘッドがカーペットに吸い付く力が他の機種に比べて弱めだったことです。本機には「標準/セーブ/自動/ターボ」と4種の吸引モードがあり、「標準」だとそれほどくっつかず、自動だとちょっとくっつきが強くなる程度でした。

 

壁際は自動だとやや惜しい。バッテリー追加購入で長時間の掃除にも対応

【壁際の吸引テスト画像のギャラリー】※タップすると画像がポップアップします

壁際の掃除は、自動モードだと床と壁の間にやや多めに重曹が残ってしまいました。一方、ターボモードではわずかに取り残しがあったものの、壁と床のすき間に入り込んだ重曹もほとんど取り切っていました。

 

連続使用時間は標準モードで約15分、セーブモードで約40分、自動モードで約22分。ターボモードでは約8分となります。ちなみに本機は着脱式バッテリーを採用しており、バッテリーを追加購入して交換すれば、稼働時間を倍増させることも可能。充電時間は約4時間です。

↑バッテリーは本体底部後方に収納。ふたをスライドするだけで簡単に取り外せます

 

吸引力アップにつれて音量は上がるが、高音域が耳につかない

自動モードでゴミがない場所での騒音レベルは65.0dBA。ヘッドブラシが回転するモーター音が耳につく一方、風切り音はそれほどうるさくありませんでした。自動モードでほこり感知センサーによってゴミを感知した場合は66.6dBAにアップ。パナソニックと比べると、吸引力アップ時の音量変化はより少なく感じました。

 

ターボモードでの騒音レベルは69.6dBA。標準モードやターボモードにすると風切り音は大きくなりますが、他のモデルほど高音域が耳につかないのが印象的でした。ちなみにセーブモードではブラシの過回転が止まるため、測定値は56.2dBAとさらに静かになりました。

↑自動モードでゴミがない場所での騒音レベル

【テストのまとめ】操作性はどれも文句なし。快適さをアップする工夫に注目

国内メーカーは使い勝手を高める付加機能が光る

今回は全モデルが軽量だったこともあり、基本的な操作性は文句なし。特に日立のPV-BL2Hは、1.1kgという軽さに加えてヘッドの自走性も高く、驚くほど軽快に掃除機がけができました。また、日立に次ぐ軽量1.2kgのシャープ EC-AR5Xも操作は超スムーズ。さらにスグトルブラシの採用など、掃除の快適さをアップさせる工夫が満載で、家具の隙間なども手軽に掃除したい人にオススメです。

 

Dyson Micro 1.5kgは、ダイソンの歴代製品のなかでトップクラスの軽さ、操作のしやすさが光ります。独自のソフトローラークリーナーヘッドは横にスライドする動きに惜しい部分もありますが、そこは同ヘッドのゴミ捕集性能の高さとトレードオフの関係にあるといえそうです。

 

ゴミセンサーは「掃除した感」がほしい人にオススメの機能。この機能を搭載したパナソニックのMC-SB51Jは、今回のモデルのなかではやや重めながらヘッドの自走性が高く、家具下など低い場所の掃除も快適でした。また、同じくゴミセンサー機能搭載のアイリスオーヤマ SCD-L1Pも自走式軽量ヘッド、着脱式バッテリーの採用など、独自の視点で掃除のしやすさを高めていると感じました。

 

壁際の掃除では独自の工夫をした2メーカーが有利に

壁際の掃除ではシャープとパナソニックが優秀。シャープはヘッド前面のバンパーの形状をくし歯状に変え、パナソニックはヘッドの前面カバーを薄型にするなど、壁際のゴミを吸引しやすくする工夫を施した結果が表れた形です。一方、ダイソン、日立、アイリスオーヤマは標準モード/自動モードでは壁際掃除がやや苦手な印象。ただし、テストに使った重曹はかなり比重が重い粒子なので、比重が軽い綿ゴミやホコリなら取り残しは少ないと予想できます。

 

連続使用時間を最も使用頻度が高いであろう自動モードや標準モードで比較すると、日立が約30分と長い点に注目。また、シャープは付属のバッテリーを2個使えば46分の掃除が可能なので、より広いフロアを掃除したい人にオススメです。

 

どのモデルも耳障りな風切り音を低減

静音性では、全モデルとも耳障りに感じる音の要素を低減する工夫がなされていると感じました。特に高音域の風切り音は、自動モード/標準モードならどれもほぼ気にならないレベル。深夜でなければ、ご近所に気を遣わず掃除できると思います。特にパナソニックは自動モード・強モードともに5モデルのなかでも静か。ただし、クリーンセンサーが働くと急に音量が上がるので、掃除中の運転音が気になる人はクリーンセンサーの感度設定を変更すると良いでしょう。

 

次回は5モデルの「ゴミ捨て」と「お手入れのしやすさ」を検証したいと思います。