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2021/9/17 18:15

ヒットの秘訣はデザイン先行!?「インスタでやたら見かける」家電シリーズ「STAN.」自動調理なべ説明会

インスタっ子の編集長・山田いわく、「最近、インスタで『STAN.』が投稿されているのをやたら見かけるんだよね~」とのこと。「STAN.」とは炊飯器でおなじみ、象印マホービンが2019年2月から発売している家電シリーズ。同シリーズではすでにIH炊飯ジャー、電動ポット、コーヒーメーカー、ホットプレートが発売済で、使いやすさを重視し、シンプルなデザインと1~3万円台のリーズナブルな価格が特徴となっています。

↑すでに発売されている「STAN.」の4製品

 

さて、この「STAN.」シリーズに10月21日、新たに自動調理なべ EL-KA23(実売予想価格・税込3万3000円)が加わります。今回、本機の説明会がオンラインで開催され、「STAN.」シリーズのブランドコンセプトと新製品の特徴が明らかにされました。

↑「STAN.」シリーズの自動調理なべ EL-KA23。カラーはブラックとホワイトの2色を用意

 

「30代前後の新しい家族」がターゲット

同社のデザイン室長・堀本光則氏によると、今後の「STAN.」は「単なるシリーズではなく、サブブランド的な位置づけで確立していきたい」とのこと。つまり、「STAN.」を特別なブランドに育てたいというわけで、その事実からも人気のほどがうかがえます。そして今回、自動調理なべの発売にあたり、外部デザインチームを含めて議論を深め、「STAN.」のブランドコンセプトの明確化を図ったそう。

 

その結果、「STAN.」のミッションは①30代前後の新しい家族に向けて②ジャンル横断でシリーズをつくるために③デザイン先行でプロジェクトを進める、という3つに明確化されたそうです。

↑「STAN.」のミッションについて語るデザイン室長の堀本光則氏(写真右下)

 

「①30代前後の新しい家族に向けて、という点に関して、30代前後のいわゆるミレニアル世代の方々は、アンケートでもネット重視の傾向は顕著に出ていた。そのような傾向を見越し、デビュー当時にコンセプトショップのイベントやRoomClip(インテリア実例共有サイト)との取り組みを実施。ネットとリアルを融合させた広告宣伝活動を展開しました」(堀本氏)

 

30代前後といえば、当たり前のようにネットで情報を集める世代。ターゲットを明確に絞ったことで、活用すべき広告メディアも自ずと見えてきたわけですね。

 

デザイン先行でプロジェクトを進める

興味深いのは、③デザイン先行でプロジェクトを進める、という点。いままでの象印にはまったくなかったイメージです。

 

「ジャンル横断でシリーズを作るという形を取っているため、デザイン上も明確なデザインコンセプトが必要でした。当初から『うつわ』というキーワードをもとに、うつわらしい逆台形のフォルムと底の部分をあえて色と質感を変え、ほかにはないアイコニックなデザインを採用。何よりも周辺環境との調和、暮らしになじむデザインを最優先に考えていった結果、デザイン性の高さでお客様に支持・共感を頂いています」(堀本氏)

これらを統合した結果、「STAN.」の中核となる価値観=コアバリューは、「暮らしになじむスタンダードな商品をお届けする」に集約されたそうです。

 

「ターゲットとする方のライフステージは、新生活を始めるファミリーの方々。そのような方が憧れる、ネット上でみんなに見てもらいたい、見習いたいと思わせるもの、出しておきたくなるデザイン。なおかつ必要最低限のシンプルなスペックと納得できる価格……ということで、このようなコアバリューを定めさせて頂きました」(堀本氏)

 

頑張って買うような高級機は不要。機能はシンプルで価格は安いほうがいい。でも、どうせならデザインがよくてSNS映えするものはないかな……?  そんな、合理的でSNS大好き世代にハマったのが「STAN.」だったわけですね。

 

コアバリューに基づき、直感的な操作性にこだわった

続いて、製品の特徴を見ていきましょう。機能面では、「カレー/シチュー」「スープ」「煮物」「米調理」は、材料を入れて作りたいレシピのコースを選ぶだけの自動調理が可能。また、最大12 時間前から予約・保温ができるので、朝出かける前に材料をセットし、出来上がり時間を予約すれば、帰宅後すぐに食べられます。

 

なお、先述のコアバリュー「暮らしになじむスタンダードな商品をお届けする」に基づき、利便性を重視したとのこと。そのため、手順が煩雑になりがちな圧力調理やメニュー番号を採用せず、直観的な操作にこだわったといいます。

↑製品の説明は第一事業部の三嶋一徳さんが担当(写真右下)。操作パネルを左から右に操作するスムーズな流れに

 

パック調理は袋の端を閉めなくてもOK

ジッパーつき食品保存袋を活用した「パック調理」も可能。ホーローなべに付属の「パックホルダー」に袋を入れ、水を入れて、調理時間を指定してスタートさせれば、同時に最大2 品まで簡単に調理できます。手が汚れず、洗い物も少ないので、後片付けもカンタン。ジッパーつき食料保存袋にあらかじめ食材を入れ、冷凍・冷蔵保存しておけば、忙しい時に重宝するはず。

↑付属のパックホルダーを使って調理

 

↑パック調理で作れる料理の例

 

「パック調理」で面白いのは、調理前に袋のジップを完全に閉じなくてもOKな点。袋を厳密に脱気する必要もなく、袋の端をパックホルダーカバーのツメに引っ掛けるだけなので気がラクです。

 

利便性を高めるため、薄型化したホーローなべを採用

煮込み料理に適した蓄熱性の高い「ホーローなべ」を採用しているのもポイント。テーブルに映えるデザインなので、そのまま食卓に置いて使えます。ただし、通常のホーローなべだと重くて利便性を損なうため、通常のホーローなべが厚さ3mmのところ、2mmと薄型化することで軽量化を果たしています。また、なべはガスコンロの直火に直接かけられるので、温め直しなどが手軽にできるのもうれしいところ。なべはふたつきなので、そのまま冷蔵庫に入れてもOKです。

↑ホーローなべは薄型化して軽量化し、使い勝手を高めました

 

↑ホーローなべは直火OK

 

↑後片付けは3つのパーツを洗うだけ

 

こうしてみると、やはり「STAN.」の人気が出るのもわかる気がします。「デザイン先行」というものづくりは独自性がありますし、これならシリーズで揃えたくなるのが人情というもの。メーカーとしては「機能盛り盛り」に走りがちなところ、これに逆行してシンプル化するために力を注いでいる点も極めて興味深いです。「使いやすくてデザインがいい」。単純なことですが、たしかにこれでいいよな……と思います。その意味で、今度の自動調理なべ EL-KA23も人気が出そうですね。