この夏、電気代の高さにびっくりした人も多いのではないでしょうか? もしかしたら、エアコンの使い方を間違えて、電気代をムダに使った可能性があるかもしれません。さらに、今年は気象庁の予報によると、秋は暖かい空気に覆われやすく、9月は残暑が厳しいとのこと。今後もまだまだエアコンのお世話になる機会は多いようです。そこで今回は、Q&A形式でエアコンを使う際に役立つ基礎知識をあらためておさらい。「エアコンは、つけっぱなしがおトクって本当?」「除湿と冷房、電気代はどっちがかかる?」など、誰もが気になってはいるけれど、誰も答えられない……そんな疑問をピックアップし、家電のスペシャリスト、戸井田園子さんに答えていただきました!
【今回のガイド】
家電コーディネーター
戸井田園子さん
雑誌やテレビなど、数多くのメディアにひっぱりだこの家電専門家。ユーザー目線に立ったわかりやすい解説で、読者の厚い信頼を受けています。エアコンにも精通しています。
その1
Q.エアコンを久々に使うときに注意したほうがいいことは?
A.室内機内部のホコリやカビに注意しましょう!
久々にエアコンを使う場合は、窓を開けて換気をしながら、送風運転をするのがおすすめ。室内機の内部にホコリやカビが溜まっている可能性があるので、それらを一掃するためにも室内機の内部に空気を循環させておきましょう。また、本格的な夏・冬に入ってから故障が発覚したら困りますので、事前に冷房・暖房がちゃんと稼働するかも確認しておきたいところですね。
その2
Q.エアコンのスペックの8~10畳用ってどういう意味?
A.木造8畳まで、鉄筋コンクリート造10畳までの意味
エアコンのスペックに書かれている「畳数の目安」ですが、「8~10畳」とある場合、「だいたい8~10畳の部屋に向いている」という意味ではありません。実は、「木造なら8畳・鉄筋なら10畳」という意味になります。これは、鉄筋コンクリートのほうが木造より断熱性に優れているため。ですから、木造で10畳の部屋の場合は「8~10畳」タイプだとエアコンの効きが弱い可能性があるのでご注意を!
その3
Q.エアコンは「つけっぱなし」と「こまめに切る」どちちがお得?
A.日中なら「つけっぱなし」がお得!
エアコンメーカーのダイキンが、8月の猛暑日に計測した実測データを発表しています。それによると、日中9~18時までは「つけっぱなし」のほうが消費電力が小さくお得。ただし、夜の18~23時はこまめに切ったほうがお得で、1日中ならば「こまめにオンオフ」のほうがお得となっています。
私が以前、机上で行った試算でも似たような結果になりました。なぜこうなるのかというと、「エアコンは起動時に一番電力を使う」という事実と、「部屋の温度が高いほど下げるのに時間がかかる」という事実から、暑い日中にオン/オフするほうが消費電力量がかかるというわけです。特に暑いときほど、こまめなオン/オフは逆効果だと肝に銘じておきましょう!
その4
Q.エアコンは除湿と冷房、どちらがおトク?
A.再熱除湿>冷房>弱冷房除湿の順に消費電力が大きい
実は除湿には、「再熱除湿」と「弱冷房除湿」があり、この除湿の方式により消費電力も異なります。「再熱除湿」は温度を下げず湿度だけを下げる方式。一方、「弱冷房除湿」は、除湿のために冷やした空気をそのまま部屋に戻す方式です。一般的には、そのエアコンが弱冷房除湿タイプなら「除湿」の方が「冷房」よりもお得。逆に再熱タイプなら「冷房」の方がお得です。ただ、最近の再熱除湿は昔ほど電力を消費しない工夫がされているので、そこまで大きな差はありません。まとめますと、もし同じエアコンに3モードが搭載されていた場合は、1位「弱冷房除湿」、2位「冷房」、3位「再熱除湿」の順にお得です。
なお、自分のエアコンの除湿タイプが「弱冷房除湿」か「再熱除湿」かを知るには、説明書やカタログで確認を。ただ、「再熱除湿」はメーカーによって「さらら除湿」「カラッと除湿」など、特別な呼び方をしていることが多く、リモコン表示が単に「除湿」しかない場合は、「弱冷房除湿」である可能性が高いです。
「室温と設定温度の差が大きいとき、こまめな入り切りは逆効果」「冷房より『弱冷房除湿がおトク』」などの知識は、今後も使える知識です。ぜひ周りの人にも教えてあげてください!