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調理家電
2022/4/8 19:30

フードテックの今後を占う!? 話題の「ヘスタンキュー」を使ってみてわかったメリットデメリット

最近、「フードテック」という言葉を耳にしたことはありませんか? 「フード(Food)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語で、最新技術を使って新たな食品を開発したり、調理法を発見したりといった産業分野のことを指します。

 

これだけ聞くと難しそうですが、実はいま、私たちの生活にとって身近な存在になりつつあるのです。一例として、アメリカから上陸した「Hestan Cue(ヘスタンキュー)」という調理家電はまさにフードテックによって誕生したアイテムで、“未来の家電”とも言われています。

 

今回は数々の調理家電のレビューを手掛け“おいしいものナビゲーター”として活動する今西絢美さんに、ヘスタンキューやこれからの調理家電について聞きました。

 

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スマホと家電がつながるのは、いまや当たり前のこと

テレビやエアコン、冷蔵庫など、私たちが普段使う家電のなかには、インターネットにつながるものが続々と増えています。そういった家電を「IoT(アイ・オー・ティー)家電」もしくは「スマート家電」と呼び、家電がインターネットにつながるだけで便利なことがたくさんあるそう。

 

「たとえば、外出先からエアコンの電源をオンオフしたり、冷蔵庫内に設置されたカメラで買い忘れがないかをスマホで確認できたりと、家にいなくても家電を操作できるのはスマート家電ならでは。また、インターネットを介して機能をアップデートできるので、購入後の家電を進化させることも可能です」(おいしいものナビゲーター・今西絢美さん、以下同)

 

今西さんが最近気になっている家電として名前が上がったのが、2022年1月に日本での発売が開始したスマートキッチン家電の「ヘスタンキュー」。スマートIHヒーター、スマートフライパン、スマートソースパンの3アイテムがラインナップされており、これを使えば失敗することなくレシピを完璧に再現できるのだとか。

 

「ヘスタンキューは、調理器具とIHヒーターがインターネットにつながります。スマホの専用アプリにレシピが出ており、スマホとヘスタンキューを接続することで、レシピに沿った温度に自動で設定してくれるんです。料理は温度や加熱時間で仕上がりにばらつきが生じるものですが、ヘスタンキュー側が制御してくれるので、作り手の経験や技術に左右されることがありません」

 

日本のユーザーに向けた和食レシピも充実

専用アプリは無料で配信されています。

 

家電をインターネットに接続するのは難しいのでは? と不安に思うかもしれません。ところが、実際はアプリの操作手順に沿って操作するだけなので、そのハードルはかなり低くなっています。これまでさまざまなスマート家電を使ってきた今西さんも、操作のしやすさに驚いたそうです。

 

「IoT家電の多くはスマホのアプリを使ってインターネットに接続しますが、少し手順が複雑な場合もあります。ヘスタンキューの場合は、調理器具に内蔵されたセンサーを自動で認識してくれるので、アプリ上で接続したい調理器具を選択するだけ。この手軽さは始めてスマート家電を使う人でも安心して導入できるでしょう」

 

接続したい調理器具を選択すると自動でつながります。

 

導入しやすいことはわかりましたが、実際の使い心地が気になるところです。今西さんはいくつかの料理を作り、IoT家電ならではの魅力を感じたのだとか。

 

「アメリカからやってきた調理家電だと聞いていたので、最初にチェックしたのはアプリに出ているレシピです。レシピありきで使う調理家電はユーザーが作りたくなるレシピがどれだけ搭載されているかが肝心です。やはり、ステーキやタコスといったアメリカっぽい料理はたくさん出ているのですが、日本料理もしっかりカバーしているのが好印象ですね」

 

実際に作ったのは?

 

「豚バラ大根を作ってみたところ、アプリに沿って調理するだけで、家族にも好評な一品が完成しました。また、ソースパンで白ごはんも炊きましたが、こちらもしゃっきりした仕上がりでおいしかったです」

 

・豚バラ大根

豚バラ大根は準備20分、調理30分で完成。

 

・ごはん

ごはんは低温から徐々に温度を上げて沸騰させるというのが、日本の米の炊き方と違ったものの、炊き上がったごはんは炊飯器とほぼ遜色ない仕上がりに。

 

「レシピは文章だけでなく動画も見られるというのが今っぽいですね。アプリを見て次のステップに進んでいくだけで、IHヒーターの温度を自動でコントロールしてくれるので、料理の先生がいてくれるような安心感があります。
また、アプリ上で温度や時間を確認できるのもスマート家電ならでは。料理本やレシピサイトではわかりにくい火加減を、数値化して制御するのは面白いなと感じました」

 

「次の手順へ」をタップすると調理工程が進みます。加熱中は温度や時間が表示されるので失敗しにくくなっています。

 

「温度管理をしてくれることで、普段よりもおいしく作れたのがステーキですね。肉の厚みをアプリに入力すると、それに合わせた加熱時間に調整してくれるんです。自分ではそこまでのことはできないので、IoTが身近になることでよりおいしい料理が作れるんだなと実感した瞬間でした」

 

・ステーキ

肉を裏返すタイミングなどもすべてアプリを見て行います。

 

肉の焼き加減もアプリ上で設定できます。美しいミディアムレアに焼き上がりました。

 

日常に加わることで豊かな体験につながる

ヘスタンキューを使ってみて、その魅力に大満足だと話す今西さんですが、まだまだ課題も残されていると感じたそうです。一体何が気になったのでしょうか?

 

「機能面では当然満足できたのですが、掲載されているレシピ数が日常生活で使うにはまだまだ少ないというのは、今後の課題でしょう。この家電はレシピに沿った調理をすることで本領を発揮するので、自分なりのレシピで作るというのには向いていません。多少料理に慣れた人はつい自分の感覚に頼りがちなので、レシピどおりに作ることを意識する必要がありそうです」

 

・ホットケーキ

レシピどおりにパンケーキを焼いてみると、表面が少し焦げてしまったそう。レシピは自分で粉を配分していたので、ホットケーキミックスで済ませたのも原因かもしれない、とのこと。

 

表面はカリッと、中はふかふかのパンケーキが完成しました。

 

正直なところ、スマート家電はまだまだ高価格帯のアイテムが多いのが現状です。しかし、生活のなかに取り入れると、これまで何も感じていなかった家事が少し面倒なものだったということに気付かされるはず。家事の手間を減らせるだけでなく、気持ちの面での負担も減らしてくれるのが、ヘスタンキューをはじめとするスマート家電のいいところかもしれません。

 

【商品情報】

Felicidad
「Hestan Cue スマートIHヒーター」5万円+税
「Hestan Cue スマートフライパン」3万円+税
「Hestan Cue スマートソースパン」3万円+税

 

世界20か国以上で展開し、IHヒーターと調理器具、専用アプリがBluetoothで連動するスマート調理家電。メイン食材とソースを選択するだけの「Mix&Match」機能を搭載するほか、手動で温度と時間管理を行うマニュアル機能も選択可能。フライパンとソースパンは、直火にも対応する。

 

【プロフィール】

おいしいものナビゲーター / 今西絢美

2008年よりライター/エディターとしてのキャリアをスタート。2022年よりフリーランスとして活動中。得意とするジャンルは、グルメ、お酒、調理家電、ITなど。フードツーリズムマイスター、利酒師の資格も持つ。