高圧洗浄機の国内シェアNo.1を占めるケルヒャーから、駆動音を大幅に抑えた新モデルが発表されました。オンライン発表会で明かされた、静音化の秘密をレポートします。
「高圧洗浄機はうるさい」というイメージを払拭したい
ケルヒャー ジャパンのオンライン発表会では、9年ぶりにフルモデルチェンジした高圧洗浄機の静音モデル「水冷式サイレントシリーズ」3モデルがリリースされました。
グレードアップされたポイントは、ズバリ静音性。オンライン発表会で同社のマーケティング&プロダクト本部の本部長・朝喜譲二さんは、日本の消費者が高圧洗浄機に対して抱くイメージで、最も多いのが「高圧洗浄機はうるさい」ということだったと言います。
「2019年に行った調査によると、高圧洗浄機の購入時に気になることとして、日本独自の特徴が見られます。最も多くの声が上がったのが、音=騒音に対する懸念です。特に近隣住民への配慮という点が挙げられています」
日本の住環境を考えると、一般的には一軒一軒の距離が近く、高圧洗浄機の騒音がご近所迷惑にならないか、心配になるのも納得です。同様に購入時の気になる点として挙げられたのが、「重くて取り回しが悪そう」や「近隣へ水ハネで迷惑をかけてしまう」のほか、「使用後の収納スペース問題」だったといいます。
「こうした日本独特の問題を理解したうえで、当社は2008年から、日本の環境に合わせ、音の静音化に注力したモデルを開発してきました。そして今回の新製品は、その集大成なのです」(朝喜氏)
ダンパーや吸音材を配置して体感音を50%カット
3モデルの新製品は、いずれもパワーアップした「サイレントテクノロジー」が搭載されています。
最も特徴的なのが、従来から採用されている水冷式のインダクションモーターを採用している点です。モーターの駆動に伴う発熱を、吸水口から取り込んだ水を使って高効率で冷やします。モーター周囲をぐるりと巡った水は、高圧で吐出されます。
インダクションモーターは、回転体であるローターがブラシ等に接触しないうえ、水冷式によって安定したトルクを生み出して静音化に寄与しますが、この点は従来モデルと同様。今回の新モデルでは、従来機よりもさらに音圧レベルを10%(10dB)低減させ、体感音を50%カットしています。それを実現したのが、モーターの振動を抑えるゴム製ダンパーや本体内の吸音材、そして音を外に漏らさない本体カバーです。
強力に駆動させるほど、モーターは前後左右や上下に振動するもの。その際にモーター自体からノイズが発生したり、その振動が本体のボディに伝わったりすることで振動音が発生します。そのため、ゴム製のダンパーをモーター固定部にかませることで、振動と音を抑えます。
さらに本体の内側に張り巡らせた吸音材と、音を漏らさない本体カバーによって、従来機よりも体感音を50%カットすることに成功しました。
コンパクトな収納と使い勝手の良さを両立
高圧洗浄機の騒音以外の懸念点として挙げられた、「収納」と「使い勝手」の面はどうでしょうか?
3モデルともトリガーガン、ノズルなどのアクセサリーを本体背面に収納できます。また、高圧ホースや電源コードは、同じく本体背面に配置されたリールにくるくると巻き付けられます。スッキリと収納できるうえに、アクセサリー交換がスムーズに行えます。また3モデルともタイヤを備えているので、キャリーケースのようにコロコロと転がして、ラクに移動できます。
戸建てからマンションまで、それぞれ適した3モデルをラインナップ
「水冷式サイレントシリーズ」は、もっともパワフルな「K 5 プレミアム サイレント」から、「K 4 プレミアム サイレント」、「K 3 サイレント プラス」の3モデルをラインナップしています。
最大吐出水量が毎時430Lと、もっともパワフルなのが「K 5 プレミアム サイレント」。実売予想価格は7万9800円(税抜)。
「K 5 プレミアム サイレント」は、3モデル共通で付属する「トリガーガン」のほか、5つの洗浄モードを切り替えられる「5in1 マルチパワージェット ノズル」を付属。広いテラスもラクに掃除できる「テラスクリーナー T 7 Plus」も同梱します。
最大吐出水量が毎時400Lの中位モデル、「K 4 プレミアム サイレント」の実売予想価格は6万2800円(税抜)。
アクセサリーは、「トリガーガン」と「サイクロンジェットノズル」、「デッキクリーナーPS 30 Plus」を付属します。特に、ブラシとスクレーパーを備えた「デッキクリーナーPS 30 Plus」は、高圧洗浄とブラシで汚れを念入りに落とせるうえ、スクレーパーで仕上げに水切りできるのが便利です。
最大吐出水量が毎時400Lの「K 3 サイレント プラス」は、最もコンパクトかつリーズナブル。実売予想価格は3万3800円(税抜)。「トリガーガン」「バリオスプレーランス」「サイクロンジェットノズル」を付属します。
本機でユニークなのが「洗浄剤タンク」を同梱している点。これは、マンションなどの集合住宅のベランダ掃除を想定したもの。ベランダに水栓がなくても、このバケツに水を入れることで、本体に水を供給できるのです。
ケルヒャーが、日本人のニーズに合わせて開発した新たな「水冷式サイレントシリーズ」。より静かに、より気軽に使えるようになった高圧洗浄機なら、近隣に迷惑をかけることなく、自宅やクルマを気軽にキレイにできますね。
【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】