ちょうど1年前、三菱電機は8年ぶりに冷蔵庫のフルモデルチェンジを行いました。外形寸法はそのままに庫内の容量をアップしたモデルを発売、コロナ禍のまとめ買い・お取り寄せブームによる「冷蔵庫容量が足りない問題」解決の糸口として注目されましたが、当時発売されたのは600Lクラスと540Lクラス。いやそんなに大きなものは入らないよ、という設置に困ったユーザー層のニーズには応えられていませんでした。
そこで今回、4人家族の標準サイズである490Lクラスもフルモデルチェンジし、新たに「中だけひろびろ大容量」シリーズとして450Lクラスをラインアップに加えることとしました。
発表したのは、1月27日発売のMZ49J(485L)と3月10日発売のWZ50J(495L)の2機種。MZ49Jは野菜室が真ん中、WZ50Jは冷凍室が真ん中と、レイアウトが異なるだけで機能はほぼ同じです。
システムキッチンの横に並べても飛び出ないサイズで容量アップ
新製品はどのくらい内容量アップしているかというと、MZ49Jは前モデルに比べて30L、WZ50Jは25Lもアップしています。スーパーマーケットのレジカゴがだいたい33Lなので、結構増えていることがイメージできるでしょう。
外形寸法はほとんど変わっていません。2機種ともに幅650mm、奥行き650mmで前モデルと全く同じ、高さだけMZ49Jが前モデルより7mmアップ、WX50Jは12mmアップしただけ。
コロナ禍で人気となった500L超モデルは奥行きが700mm前後となりますが、システムキッチンの奥行きは約650mmが一般的なので、冷蔵庫がシステムキッチンから飛び出てしまいます。キッチンの中にスッキリ収めたいニーズに応えるべく、今回三菱冷蔵庫は奥行き650mmの450Lクラスで容量アップを図ったのです。
サイズそのままなのに容量アップ、その秘密とは
なぜサイズそのままに容量アップが実現できたのかというと、1つは新開発した断熱材を導入したこと。新ウレタン原液の採用により、断熱性能はそのままに、側面や背面、庫内の間仕切りの断熱材の厚さを16mm薄くしました。さらに、従来は冷蔵室内の「氷点下ストッカールーム」の横にあった製氷用の給水タンクを冷蔵室と製氷室の間仕切りに埋め込むことで「氷点下ストッカールーム」を冷蔵室の横幅いっぱいに拡張することに成功。加えて、冷蔵室内天井の傾斜部分をなくしてデッドスペースを排除するといった、細やかな工夫によって容量アップが実現しています。
左右段違い棚の導入も改良点の1つ。冷蔵室の中段が2分割され、それぞれ2段階の高さに調整できます。大きな鍋など食品のサイズに合わせて高さを変えられるとともに、棚のデッドスペースを減らしてたっぷり収納できます。
なお、冷凍なのにひき肉が切れたり切り身の鮭が簡単に1枚1枚剥がせる「切れちゃう瞬冷凍A.I.」、氷点下で凍らずに保存することで肉・野菜の鮮度を保ちながら長く保存できる「氷点下ストッカーD A.I.」、3色LEDで野菜のビタミンCと糖量がアップし緑化も促進する「朝どれ野菜室」、AIが生活パターンを学習して部屋ごとにエコ運転する「全室独立おまかせA.I.」といった三菱冷蔵庫の特徴的な機能は引き続き搭載しています。
冷蔵庫の中身を整理整頓する時期をお知らせ
また、これまでネット機能は500Lを超える大容量モデルにのみ搭載してきましたが、今回、450Lクラスにも初めてアプリ機能が搭載されました。スマートフォンで冷蔵庫の設定の確認・変更ができたり、給水タンクの水切れの通知、エコレベル・扉開閉回数の確認ほか、切れちゃう瞬冷凍で保存した食材を使ったレシピも提供します。
さらに、新機能として、時短・節電・食品ロス削減を実現するために「A.I.予報」を搭載しました。これは、冷蔵庫の扉を開けている時間から庫内の状況を予測し、ユーザーに対して「そろそろ冷蔵庫の中を整理整頓したほうがよいですよ」と通知する機能です。
具体的には、冷蔵室・野菜室・冷凍室に搭載されたセンサーが各扉の開閉時間と回数を計測、一定期間データを蓄積し、どのようなタイミングで扉の開閉時間が長くなるかを分析。その分析結果を元にAIが扉の開閉時間が長くなるタイミングを予測し、長くなる前に冷蔵庫扉の操作パネルにハートマーク、またはスマホのアプリでお知らせするものです。
なお、三菱冷蔵庫ではスマホアプリで整理整頓のコツやお手入れ方法を解説した動画を用意しています。冷蔵庫の効率的な収納の仕方が分からないというユーザーには便利なサービスです。
このほか、冷蔵庫が故障した際に、自動的にエラーコードがクラウドに送信され、訪問修理が必要な場合には修理を依頼するウェブページをアプリ上に案内する「遠隔保守機能」を新搭載。また、月額1080円(税込)の有料となるが、冷蔵庫の扉の開閉によって離れた家族の生活状況を確認する「MeAMORアプリ」も利用できるようなりました。前週との使用状況を比較したレポートも作成するので、離れた家族の生活変化にも気づきやすくなります。
食材をすぐに見つけて省エネ
週末にまとめ買いをした場合、最初はどこに何をしまったか覚えているけど、数日すると食材をあちらこちらと移動して庫内が乱雑になります。目当ての食材がすぐに探し出せなくてついつい長めに扉を開けがち。三菱冷電機によると、庫内の整理により扉の開放時間が1回あたり最大約50%も減少、消費電力も最大約7%削減されるとしています。また、庫内を整理整頓することで食材が見つけやすくなり、食品ロスも減ります。
ひろびろとした庫内で見渡しやすくなり、省エネ・食品ロス減が期待できることに加え、AIが庫内の散らかる時期を予想してさらに省エネを促す。冷蔵庫の省エネ性能の進化は行き着くところまで来ており、基本性能で消費電力を大きく減らすことはなかなか難しい局面にありますが、ユーザーの使い方を改善することで省エネ、電気代の削減がまだ可能であることを三菱冷蔵庫は提案します。