家電
2023/3/15 10:45

パナソニック「エネファーム」に新型機。エネルギー総合効率は98%を達成しながらも小型化

パナソニック エレクトリックワークス社は、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」の新製品2023年モデルを発表しました。エネファームは、家庭用のガスから取り出した水素と、空気中の酸素を反応させ、発電と同時に熱を取り出すシステム。

 

電気だけでなく熱まで利用できるので、エネルギー消費効率が高く、脱炭素社会に向けた家庭向けのソリューションとして、注目の存在です。

 

従来機より小型&高性能。エネルギー消費効率は98%

エネファームの最大の長所は、発電時の排熱までエネルギーとして利用できること。大規模発電所で作られた電気の利用に比べ、倍以上のエネルギー効率を誇ります。

 

また家庭でのエネルギーの消費割合を見ると、暖房や給湯をはじめとした熱関連のものがその多くを占めていることからも、発電時の排熱利用の価値が非常に高いことは明らかです。

↑大規模発電所とエネファームの、エネルギー効率の比較。大規模発電所の場合、熱利用ができないうえ、送電によるロスもあるので、効率が大きく下がってしまいます(同社発表のスライドより)

 

↑家庭でのエネルギー消費の内訳。暖房と給湯による熱利用だけで、50%以上を占めています(同社発表のスライドより)

 

パナソニックの新型エネファームの特徴のひとつは、この排熱利用の幅をさらに広げたこと。これまでの熱利用は、給湯・暖房でしたが、今回新たに、浴室暖房乾燥機にも使えるようになりました。同社がこの機能をつけた背景には、突然のゲリラ豪雨などによって部屋干し需要が増加していることなどがあるといいます。

↑エネファームによる、浴室乾燥の仕組み(同社発表のスライドより)

 

また新型機は、従来機と比べて小型化しているのもポイントです。特に奥行きの小ささにはこだわっており、住宅の外壁から隣地との境界まで、50cmの幅があれば設置できるようになりました。しかも、小型化と並行してエネルギー消費効率を高めることに成功。都市ガス機、LPガス機ともに、従来機比で効率がそれぞれ1%向上しています。

↑薄さを追求し、設置性が改善(同社発表のスライドより)

 

↑発電効率が高くなったことで、エネルギー消費の総合効率が向上(同社発表のスライドより/LPガス機の総合効率が100%を超えているのは、計算基準の都合のため)

 

ほかにも、災害時の備えとして、嬉しい機構も備えました。エネファームでは、水を温めて熱を貯蔵するため、その内部には貯湯タンクが設けられています。もしもの断水時にはこの貯湯タンクから、温水または水を直接取り出して使用できるのですが、新型機ではこの水の取り出し口を増設。これにより、より水が汲み出しやすくなっています。

↑従来機では、タンクの下部にしか取り出し口がなく、水の汲み出しが大変でした。が、新型機では上部にもこれを増設しています

 

電気代が高騰しているいま、その経済的価値が上昇しているエネファーム。小型化・高性能化を達成した本機の登場により、設置障壁はより下がったといえるでしょう。