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2023/10/4 20:00

電気代7%削減はデカい! 三菱電機「霧ヶ峰」上位モデルが省エネ性能を強化

エアコンは高価な家電ですが、そのぶん高機能モデルには各メーカーが特徴的な機能を搭載しています。そして、三菱電機のエアコン「霧ヶ峰」の特徴的機能といえば、昨年モデルより登場した「エモコテック」。これは、エアコンが室内にいる人間の脈波を計測し、人間の「気持ち」に合わせてエアコンを制御するというSFのような機能です。

 

「人の気持ち」がわかると何が便利になる?

昨年まではプレミアムモデル「Zシリーズ」にのみ搭載されていたエモコテックですが、発表されたばかりの24年モデルではZシリーズのほか、次世代プレミアムモデルである「FZシリーズ」、暖房強化モデルの「ZDシリーズ」と「FDシリーズ」の全4モデルに搭載されます。そこで、ここではエモコテックにできることと、4モデルの違い、そしてエモコテック以外の新機能について解説します。

↑三菱電機が開催した関係者向け展示会「暮らしと設備の総合展」に展示されていた新モデル。左からFDシリーズ、FZシリーズ、ZDシリーズ、Zシリーズ

エモコテックとは霧ヶ峰のセンサー機能のひとつ。バイタルセンサーと呼ばれる「エモコアイ」が、微弱な電波を発することで血管の動きをとらえて室内にいる人の脈波を検知。この脈のゆらぎ方を解析することで人が感じる「快」や「不快」、そして脳の活動量まで推定します。エモコテック搭載モデルのエアコンは、このエモコアイと、室内の温度分布がわかる赤外線センサー「ムーブアイ」を併用することで、さまざまな動きを自動化できるのです。

↑エモコテック搭載のZシリーズ。写真右側に見えるセンサーは「ムーブアイ」。エモコアイは外からは見えない位置に内蔵されています

 

たとえば「A.I.自動(くつろぎ)」設定時は、エアコンの風が人に当たっている状態で「不快」と感じていたら、自動的に風を避ける制御が可能。また、勉強や仕事などの集中したいタイミングで利用する「フレッシュモード」では、エモコアイが脳の活動量をチェック。眠くなるなどで活動量が低下したら、わざと人に風を吹きつけて刺激をあたえてくれます。

↑エアコンの動きを可視化したエモコテック体験コーナー。集中して説明を聞いていると脳の「活動レベル」値がどんどん上がります

 

4モデルの違いは「風」と「暖房強化」

今回エモコテックは4モデルに搭載されましたが、それぞれの違いはなんでしょうか? まず、昨年から引き続きエモコテックを搭載している「Zシリーズ」は多機能なプレミアムモデル。エモコテックだけではなく、エアコンが住宅性能を学習したり、人の手先の温度変化などから「暑がり」「寒がり」までを見分ける「ムーブアイmirA.I.+」というセンシング機能などを搭載しています。

↑プレミアムモデルのZシリーズ

 

一方「ZDシリーズ」はこれらの機能に加えて暖房機能を強化した「ズバ暖」モデル。エアコンは外気温が寒すぎると暖房性能が発揮できないことがありますが、ズバ暖霧ヶ峰なら外気温が-20℃でも吹き出し口の温度を約55℃まで上げられます。

 

「FZシリーズ」もZシリーズと同じく「ムーブアイmirA.I.+」機能などを取り入れた多機能モデル。そして「FDシリーズ」はズバ暖を搭載した暖房強化モデルになります。

↑スタイリッシュな鋭角デザインを採用している次世代プレミアムモデルのFZシリーズ。FDシリーズも外観はほぼ同じです

 

FZシリーズとFDシリーズは、送風ファンに「プロペラファン」を採用しているのが最大の特徴です。一般的なエアコンは、長い筒を横にしたような形の「シロッコファン」で風を生み出しますが、FZ/FDシリーズは扇風機の羽根のようなプロペラファンを2つ内蔵しています。このため、FZシリーズはひとつのエアコンで強い風と弱い風を同時に生み出すことが可能。センサーのムーブアイと組み合わせることで「寒がりさんには弱い風を当て、暑がりさんには強い風を送る」といった送風が可能になるのです。

↑FZ/FDシリーズに内蔵されているプロペラファン。一般的なシロッコファンより省エネ効率も良いため、FZシリーズは省エネ性能の高さも特徴のひとつです

 

省エネが性能アップし、ズバ暖モデルも快適に進化

エモコテックのラインナップが増えた以外にも進化点があります。それが省エネ性能の強化です。霧ヶ峰のプレミアムモデルはそもそも省エネ性能が高いシリーズですが、新ZシリーズとFZシリーズは新「エコスタート」機能を搭載することでで省エネ性能がさらにアップしています。

 

「エアコンは立ち上げ時に一番電気を消費する」と言われていますが、これは起動時にフルパワーで室内温度を快適にしようとするため。なかでも問題になるのが、スタート時に勢いよく運転することで「設定温度に達したのに設定温度より部屋を冷やして(温めて)しまう」というオーバーシュート現象です。

 

そこで、エコスタートではエアコンが過去に使用したデータから家の断熱性能や気密性、広さなどを判断し、設定温度ピッタリになるようにエアコンを制御。これにより従来モデルより冷房なら約8%、暖房は約7%の省エネを実現できるそうです。

↑新旧制御の違いを表したグラフ。新制御で消費電力が抑えられています

 

さらに、従来までは暖房時に「室外機に霜が付いているかどうか」にかかわらず約90分ごとに3分前後の霜取り運転を行っていました。新モデルでは霜が付着しているかをモニタリングすることで、最大600分間霜取り運転なしで連続して暖房することが可能になりました(Z/FZシリーズ)。

 

また、暖房強化モデルであるFD/ZDシリーズは、従来から搭載している「デュアルオンデフロスト回路」を強化。一般的なエアコンは霜取り運転中は暖房が一時的に止まってしまいます。しかし「デュアルオンデフロスト回路」搭載のズバ暖モデルは、熱交換器の半分を霜取り運転し、残りを暖房に利用することで霜取り運転中も暖房を継続できるのです。

 

昨年モデルまではデュアルオンデフロスト回路使用時の霜取り運転中の吹き出し口温度は46℃でしたが、新モデルでは最高温度を50℃まで引き上げています。

↑霜取り運転中のエアコン。左がデュアルオンデフロスト回路非搭載のZシリーズ、右がデュアルオンデフロスト回路搭載のZDシリーズ。吹き出し口温度がかなり違うのがわかります

「ピンポイントで賢い吹き分け」は三菱ならでは

霧ヶ峰シリーズの高機能モデルは、そもそも機能性の高いエアコンです。高機能赤外線温度センサーで人の手先や足先の温度を見分けて「暑がり」や「寒がり」を見分けて吹き分けたり、室温に影響を与える窓に優先的に風を送ることで効率的に空調調整したりと、センサーを駆使した賢い運転にとくに定評があります。

 

一方で、ここ数年、国内エアコンは「センサーを駆使した吹き分け」をするタイプよりも「部屋全体を快適に空調する」タイプが増えています。

 

そんななかエモコテックやムーブアイmirA.I.+を搭載した霧ヶ峰シリーズは貴重な選択肢。必要な場所に必要な温度の風をピンポイントに送ることで、部屋全体を均一に空調するより高い省エネ性能が期待できるメリットもあります。電気代が高騰しているいま「快適性」と「省エネ」を両立できるのはうれしいポイントですね。