暖房器具としていまも利用者が多い石油ファンヒーターを、家電コーディネーター戸井田園子さんが徹底的に格付け。
石油ファンヒーターで面倒なのが給油の作業で、そのストレスを軽減するモデルはポイントが高いといえます。今回は石油の残量表示を搭載し、タンク容量を増やして給油の頻度自体を減らした“給油コンシャス”なモデルに評価が集まりました。
立ち上がりのスピードとタンクの容量で他を圧倒!
ダイニチ
FW-3715SDR
実売価格3万5420円
灯油をヒーターで熱し、空気との混合ガスを燃やすことで、素早い着火を実現したモデル。運転開始時に自動で最大火力を5〜10%上げ、部屋をより早く暖める機能を持つほか、室温に応じて消火と点火を繰り返すエコモードを搭載。タンクは9Lの大容量で、給油回数が少なくて済みます。
暖房の立ち上がりの早さと省エネ性を兼備!
着火までの時間が約40秒と圧倒的に早いのが魅力。「冬の朝や帰宅後の冷えた部屋を素早く暖められるのは大きいです。最小火力固定モードもあるうえ人の不在を検知して省エネ運転/停止し、季節で燃焼量を自動制御するなど、細かい点も優秀」(戸井田さん)
灯油の残量表示で突然の燃料切れが防げる
本記事で紹介する3機種中で唯一灯油の残量を表示可能な機種。「燃料の残量がはっきりわかるため、突然の灯油切れにおびえることなく、計画的に給油できます。液晶パネルが前面にあって遠くから表示が見やすいのも◎。ボタンは前面にあり、やや押しにくいです」(戸井田さん)
大容量タンクと手が汚れにくいキャップが◎
灯油タンク容量は3機種中で最も大きく、キャップは側面の突起を押すだけで片手で外せます。「タンクはこのクラスでは異例の9Lの大容量。給油の頻度自体を減らせるのがありがたいです。タンクの上下 に取っ手があり、両手で持てるのも便利」(戸井田さん)
SPEC
●暖房出力(最大〜最小):3.70~0.74kW
●燃焼継続時間(大〜小火力):25~125時間
●油量モニター表示:8段階
●サイズ/質量:W438×H445×D349mm/12.0kg
温風と遠赤の2つの方式で高速かつ快適な暖房を実現
アラジン
AJ-F38D
実売価格4万8380円
温風暖房と遠赤輻射暖房の2つの方式を採用する機種。吹き出し口全面からの温風で素早く室内を暖めたのち、自動で遠赤外線暖房に切り替えて、身体を芯から暖めます。タンクにハンドル付きのキャップを装備し、給油時に手が汚れず持ち運びもラク。
温風が嫌いな人が快適な遠赤暖房も可能
着火までの時間は約2分とやや遅いですが、温風モードと赤外線モードを搭載しています。「温風が苦手な人でも快適に使えます。灯油の消費を約10%減らすエコ機能も搭載」(戸井田さん)
遠くからパネルが見えないのが惜しい
パネルが大きく、天面にあるため操作時の視認性は高くなっています。「大型白文字のバックライト液晶でとても見やすいです。ただ、遠くからはパネルが見えない点が惜しい」(戸井田さん)
タンクがリバーシブルに設置でき便利
タンク容量は7.0Lと小さめですが、左右リバーシブルに挿入でき扱いやすくなっています。「タンクのキャップは取っ手付きで手が汚れず便利ですが、外すのにやや手間が必要」(戸井田さん)
SPEC
●暖房出力(最大〜最小):3.76〜0.81kW(温風)
●燃焼継続時間(大〜小火力):19.2〜88.6時間
●サイズ/質量:W420×H455×D329mm/12.5kg
火力に応じた気流制御で暖房時の温度ムラを低減!
コロナ
FH-WZ3615BY
実売価格3万9360円
火力に応じて気流の角度を5段階に調整し、室内をムラなく暖房。弱運転時は温風を床に向けて足もと暖房を行い、点火直前と運転停止後はルーバーを閉じて灯油のニオイを抑制します。タイマーのセットにより着火を早める「秒速タイマー」を搭載。
立ち上がりの遅さをタイマーでカバー
立ち上がり時間は約2分40秒。吹き出す温風は3機種で最も熱くなりました。「『秒速タイマー』を使うと7秒で着火しますが、時刻をあらかじめセットする手間が必要です」(戸井田さん)
パネルはやや見づらいがリモコンが便利
ボタンが天面に配置されている一方、表示部は前面にあり、遠くからも見やすいです。「ボタン操作中は表示部が見づらいのが惜しい。付属するリモコンでの操作は快適です」(戸井田さん)
キャップがレバー開閉式で手が汚れない
タンクのキャップは、レバーを引くだけでワンタッチで開閉できる。「手が汚れず、キャップを下に置く必要もないのが◎。タンク容量は7.2Lで、もう少しあれば安心でした」(戸井田さん)
SPEC
●暖房出力(最大~最小):3.60〜0.59kW
●燃焼継続時間(大~小火~力):約20.6~126.3時間
●サイズ/質量:W458×H466×D338mm/12.4kg
着火スピードの早さと給油の手間の軽減に注目!
石油ファンヒーターはコストが低く、いまも根強い人気。選ぶ基準は、まず速暖性だと家電のプロ、戸井田園子さんは語ります。
「冷えた身体をいち早く温めたい冬は、着火の速度で満足度が大きく違ってきます。その点、FW-3715SDRは、着火スピードが約40秒と圧倒的に早く、他機種を一歩リードしていますね」
また、最新モデルでは、快適な給油の追求もトレンドのひとつ。
「金具をひねって外すAJ-F38Dや、ワンタッチでフタが開くFH-WZ3615BYなど、各社とも手を汚さずにフタを開閉できる工夫を施しています。また、FW-3715SDRは片手で開閉できるキャップのほか、給油の回数自体を減らす大型タンクやエコモードを搭載。パネルには灯油の残量を8段階で表示するため、給油のタイミングの見当がつきます。給油のストレスを減らす機能を満載したモデルですね」 (戸井田さん)