ライフスタイル
2017/2/14 16:00

こんなところに温泉が!? 地元民しか知らない「ネパールのびっくり秘境温泉」3つ

「温泉があるのは日本だけ」と考えていませんか? 実は、日本のほかにも温泉が人気の国があることをご存じでしょうか。その国とは、ヒマラヤ山脈が連なるネパール。ヒマラヤの麓には多くの温泉が湧いており、古くから地元の人に親しまれてきました。

 

そんなネパールには、まだ外国人観光客にあまり知られていない温泉が数多く存在します。なかでも、温泉好きなら感動間違いなしの秘境温泉を紹介します。

 

【その1】湯治客で賑わうシンハ温泉

ネパールで温泉が有名なエリアは、首都カトマンズから200km離れたネパール第二の都市ポカラ周辺です。このエリアには、街からも見渡せる標高8000mを超えるアンナプルナ連峰を求めて世界中からトレッキング客が訪れます。

 

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↑フェワ湖とアンナプルナ連峰が見渡せるポカラの街。人口はおよそ26万人

 

しかしながら、その麓に点在する秘境温泉についてはまだあまり知られていません。アンナプルナ山麓で、とくに人気の温泉がシンハ温泉です。ここは日本以外で湯治の習慣が見られる珍しい場所で、全国各地から多くのネパール人が湯治に訪れます。

 

↑ポカラからバスで5時間の場所にあるシンハ温泉。温泉は川沿いにある1箇所のみ
↑ポカラからバスで5時間の場所にあるシンハ温泉。温泉は川沿いにある1箇所のみ

 

筆者が訪れた際には、この街に外国人らしき観光客はいませんでした。

 

↑入浴料は1日券が50ルピー(およそ50円)。3時間おきに男女が入れ替わるため1日2回しか入れません
↑入浴料は1日券が50ルピー(およそ50円)。3時間おきに男女が入れ替わるため1日2回しか入れません

 

ネパールには裸で入る習慣がないため、水着や短パンを履いて入ります。25mほどの大きな浴槽に他の客とぎゅうぎゅう詰めになって入るため、日本人の感覚からすると非常に窮屈さを感じます。

 

お湯の温度は長時間浸かる湯治客に合わせ、日本人からすると少しぬるめに調整されていますが、泉質は硫黄泉なので硫黄の匂いが強いです。

 

温泉客の中には自分の力で立てないほど重病の湯治客も見受けられ、じっと何かに祈るように入浴していました。地元の人に話を聞くと、先進医療が行き届いていないネパールでは重病になれば湯治に頼るほかないとのこと。

 

驚くことに、ここでは日本の湯治と同じように飲泉の習慣があります。日本と異なるのは、温泉に入ったまま湯治客同士が温泉を回し飲みすること。飲んでみた感想はイメージ通り、硫黄の匂いがするただのぬるま湯。しかし、湯治客は我先にと奪い合うようにして温泉を飲んでいました。

 

飲泉を飲みつつしばらく入っていると、体の芯からポカポカに。お湯から上がったあともしばらく体が温かく、温泉の効能としては日の打ち所のない温泉でした。

 

【その2】宿が2軒しかない秘境温泉ラトパニ

続いて紹介するのは、シンハ温泉からさらにジープで未舗装の山道を2時間進んだ村にあるラトパニ温泉です。

 

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ここは食堂が1軒と小さな宿が2軒しかない小さな集落。聞くと、ラトパニ温泉には外国人がくることはほとんどなく、ネパール人すらも立ち寄らないとのこと。まさに秘境と呼ぶにはふさわしい場所です。

 

↑入浴料は1回50ルピー(およそ50円)受付はありませんが、時折やってくる管理人にお金を払う仕組みでした
↑入浴料は1回50ルピー(およそ50円)受付はありませんが、時折やってくる管理人にお金を払う仕組みでした

 

温泉は村を流れる川の真横にあり、岩とコンクリートで無造作に囲まれた2つの浴槽と小さな脱衣スペース以外には何もありません。

 

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2つあるうち手前の浴槽は誰も入れないほど高温でしたが、奥の浴槽は日本の温泉と同じちょうどいい湯加減でした。

 

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泉質は硫黄泉で、もちろん100%源泉かけ流し。浴槽の底には砂や小石が溜まっていて、決してキレイとはいいがたい温泉ですが、まるで日本の露天風呂に入っているような湯加減と開放感が味わえます。

 

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興味深いのは、地元民が上半身にポリ袋や毛布をかぶっていること。これはサウナのように熱気を逃さないためらしく、村では健康維持の入浴法として実践されていました。温度、泉質、くつろげるなどあらゆる点において申し分のない温泉でした。

 

【その3】歩いて1泊2日かかる宿も車道もないダルミジャ温泉

最後に紹介するのは、宿もなく車道も通っていない山村にある秘境のダルミジャ温泉です。

 

↑数百メートルの崖に作られた険しい道を通らないといけない温泉
↑数百メートルの崖に作られた険しい道を通らないといけない温泉

 

村までは、バスが停まる村から山をひたすら登ること1泊2日。途中、足がすくむほどの断崖絶壁の道を歩く必要があり、さらに途中で地元民の家に泊めてもらう必要があります。

 

そのため、外国人だけでなくネパール人ですら来ることがない、秘境の中の秘境です。

 

↑天気が良ければ谷の奥には標高世界7位の山ダウラギリが望めます
↑天気が良ければ谷の奥には標高世界7位の山ダウラギリが望めます

 

車道も整備されていないため、非常に静かでのどかな風景が広がっています。温泉があるのはこの村からさらに1時間山を下った場所。ダルミジャ温泉は、谷を流れる川の脇に作られています。

 

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川のすぐ横に、浴槽というにはほど遠い岩で囲まれただけのスペースにお湯が溜まっていました。しかしお湯に浸かってみると若干ぬるいものの、ほのかな硫黄の香りに包まれて体が温まってきました。

 

村人によるとこの温泉は川の氾濫により頻繁に壊れるらしく、筆者が行った時も浴槽は半分壊れており底には小石が散乱。言い換えれば、まさに手付かずの温泉。秘境温泉が好きな人にとってはたまらない場所です。

 

さらに川の音以外に何も聞こえず誰もやってくることがないため、自分専用の温泉を見つけたような気分になります。日本では味わえないちょっと変わった温泉体験が味わるところが魅力です。

 

ネパールという、あまり馴染みのない国で見つけた秘境温泉。地元民と肩を寄せ合い、入ってみると、日本とは違った温泉文化が味わえます。しかし、国は違えど温泉は人の体と心を癒してくれるものだということに改めて気がつきました。

 

温泉好きであれば、ぜひ一度、異国の地で温泉に入ってみてはいかがでしょうか。