ヨシムラヒロムの一階通信 第二十階 株式会社DMM.com
連載『一階通信』ではエントランス部分から見える企業の顔を取り上げる。1階にエントランスがない企業も多々あるが、それはご愛嬌。受付や入口があるフロアを総じて『1階』と呼び、エントランスから企業を紐解く。今回は株式会社DMM.comを一階通信させていただく。
多彩な事業は貪欲な企業風土から
突然だが、コラムを書いてると時々飽きることがある。自分の文章から熱量が消え、マンネリがただよってしまうのだ。そんなときは「伝えたいんだ!」という気持ちが溢れ出る文章に触れるようにしている。そんなパッションが強い文章を読める日本有数のサイトがDMM.comだ。
DMM.comは、2017年3月に恵比寿ガーデンプレイスから六本木グランドタワーへオフィスを移転。エントランスは24階にある。僕を迎えてくれたのはiPadを持った受付嬢。驚いたことに、ジーンズ生地のシャツとジーパンというラフな出で立ちだ。この時点で、旧態依然とした日本的企業とは全く異なる法則でコトが運んでいるのだと悟る。
そこに「ゲットナビの方ですか?」と英会話事業部PR担当の平さん。最初に事業について説明をしていただいたが、一言で表すと「ビジネスになればなんでもやる!」といった企業風土のようだ。冒頭でふれた電子書籍や映像の配信のほか、おぎやはぎ・矢作のCMで話題となったオンライン英会話、そこから派生した留学事業、さらには家事代行サービスなど、実にさまざまな事業を行なっている。
「弊社の会長、亀山敬司に直接プレゼンできる『亀チョク』というサイトもあるくらいなんです」と平さん。社員限定のサービスかと思ったら、なんと「誰でもOK」とのこと。前述のDMM英会話もここから生まれたんだとか。
滝の奥は未知のデジタル空間
さて、いよいよエントランスへ。最初に目に入ったのは、スクリーンを流れる滝。もちろん本物ではないが、ただの映像でもない。触れればそこから水が割れ、流れが変わるのだ。その周りを囲む緑化植物はホンモノ。いってしまえば、最新デジタルと自然の美しさが融合した空間だ。
続いて、滝のなかに入り「会議室エリアです」と案内されたのは暗い空間。左右にはカラフルな動物達がスクリーンを歩く。荘厳な音楽が流れ、足元を見れば木々が生い茂る。チームラボが作り上げたという、今までに見たことがない世界観だ。オフィスとかエントランスとかそういった次元を軽く超えて、もはや美術館の「最新デジタルアート展」の目玉展示クラス。一階通信史上最高といっても過言ではない力の入りように圧倒されて、思わず「平さん、これは書けないし、描けないですわぁ」なんて言葉も漏れる。
この空間に会議室エリアが26室。部屋名はすべて動物名だ。Lionの部屋に行く場合は、入り口付近のスクリーンにライオンが登場。道先案内人ならぬ道先案内動物として、部屋まで導いてくれる仕組みだ。タッチすれば「ガァー」とほえるなど、細かい部分までこだわりを感じる。
フリースペースには面白写真が表示
圧倒されすぎて少し取り乱しつつ向かったのはフリースペース。一目見て「ここは大丈夫だ。知っている世界観だ」と落ち着きを取り戻す。豪華な雰囲気はありつつ、じっくり話ができそうな落ち着いた空間だ。フリースペースのモニターには、エントランスにあるDMMカメラで平さんと撮った面白写真が表示されていた。
DMMをあとにし、六本木のスタバで原稿を書いていると、平さんからFBメッセージが届く。送られてきたのは、先ほどDMMカメラで撮った写真。会長の亀山敬司氏の顔面イラストに囲まれた自身をまじまじと見て、ひらめいた。
先ほどまでDMMのエントランスをどう表現したものかと悩んでいたが、晴れた。あそこは現代の城なのだ。そう考えると腑に落ちる。「ビジネスになればなんでもやる」とそんな旗を振って、大名となった亀山敬司氏、つまりは亀山城。自社製品は一切展示されない代わりに、その思想を現代の絵師「チームラボ」がビジュアル化している――。そう感じた一階通信だった。
【株式会社DMM.comの一階通信見どころまとめ】
1.スクリーンを流れる滝
2.会議室エリアの独特な世界観
3.お土産にグッドなDMMカメラ