覗けば深い女のトンネルとは? 第41回「別れさせ工作の取材をしながら愛について考えてみた」
「別れさせ工作」って知っていますか？ 夫と不倫相手を別れさせたい、元カレ元カノと復活したい、といった要望に応えてくれるサービスです。昔、このサービスやってる業者に取材してたことがあります。
夫と不倫相手の女性を別れさせる場合、工作員が2人に新しい恋を持ちかけるのだそうです。まずは夫にすごく好みの異性と出会わせます。この女性は、工作員です。カフェや通勤中に偶然2人が出会うようセッティング。あらかじめ手に入れてある夫の情報を元に、趣味などの話で盛り上がらせます。工作員は売れないモデルなどの美人だそうで、カワユクて若い女性が自分に夢中になってるなんて、そもそも不倫の前科がある男性ならコロッと引っかかりますよね。
一方で不倫相手の女性にも新しい異性をあてがいます。そうして2人が新しい恋に夢中になって疎遠になったら、そっと工作員もいなくなるんですって。
とはいえ熟年不倫の場合、夫の不倫相手の女性は美人というわけではなく、どちらかというと地味で平凡な人が多いのだとか。こういう場合は、2人が心で結ばれているため工作員の入る余地がないので、別れさせるのに時間がかかるそうです。
で、不倫相手と別れ、工作員とも距離を置かれた失意の夫がなんとなく自宅に目を向けてみると、そこには知らないうちに女性らしく癒し上手になった妻が待っています。取材した業者曰く、「夫を振り向かせるのには、スカートを履いたりメイクをしっかりしたりするなど“女性らしさ”がけっこう大事」らしいとのこと。
これにはものすごくびっくりしました。
だって女は「自宅でも夫にはスーツを着て男らしくしていてほしい」とかほぼないんで。臭いのは困るけど、清潔感があれば自宅でどんな格好をしていようと別にどうでもいいです。だけど男性が妻に求めるのは、いつまで経ってもスカート履いてメイクした「女性らしさ」なのですね、超めんどくせえ！
メイクするのだって、顔に1枚皮貼り付けるようなもんだから、気持ちのいいものではないし、もちろんかくのは面倒くさいし、スカートだって足元が気になるしスースーするからパンツのほうが楽です。そんな気取った格好を自宅でもしろと？？
一方で女が不倫をする理由は、そりゃまあいろいろあると思いますが、夫に対する不満でいえば精神的な充足感が足りないことでしょうか。話を聞いてくれない、理解してくれない、共感してくれないと感じると、気持ちはよそへ向かうでしょう。どんなくだらないことだって、小さなことだって、共感してくれるだけで女は幸せです。
少女マンガに登場する男子キャラたちは、そりゃあもうよく女の話を聞いてくれるし、「わかるよ」なんて共感してくれます。決して「そんなくだらないことで悩んでるのかよ」とか「だからその話のオチはなに？」とか聞きません。まあホント辛抱強いなって思いますけどね、少女マンガのヒーローたちは。
というわけで、別れさせ工作の取材をしながら「愛ってなんだろう」なんて考えてました。趣味が同じとか、相手が自分に気がありそうとか、そういうことで胸が高鳴って夢中になって、コロッと気が変わる。男が女に求めるのは「女らしさ」で、女が男に求めるのは「共感」じゃあ、すれ違いっぱなしです。
ちなみに、別れさせ工作の事務をやっていた女性（超美人）は、「恋とか愛とか、もうお腹いっっっぱい」と言っていました。結婚願望とか全くないそうです。