増税後はより堅実でスマートな消費生活を
消費税が上がっても、私たちの生活は続きます。家計の悩みが増えてしまいますが、見方によっては増税は「より賢い消費者」になるためのきっかけとも言えるかもしれません。
――やはり消費税増税後は倹約したほうがよいですよね?
木下 そうですね。ただし、消費者が消費を控えると、企業側は儲からないわけです。企業が儲からなかったら、社員の給料が減る。給料が減っただけでなく、会社自体が倒産するかもしれない。これは負のスパイラルです。そうならないように、政府や官僚も増税に伴う買い控えの緩和策をいろいろ考えていると思います。お店などでキャッシュレス決済した消費者には購入額の2%分をポイント還元するとか、年収775万円以下の住宅購入者に支給する「すまい給付金」の上限額を50万円に引き上げるとか、自動車購入者に対する税金の軽減とか。
自動車に関しては、消費税増税の時期と合わせて環境性能割(燃費課税)というものが始まります。燃費性能のよいクルマは税負担が軽く、燃費性能の悪いものは税負担が重くなるというもの。その税率幅は0~3%と言われています。車種やグレードによって税率が異なるわけですが、増税後にクルマを買う予定がある人はこういったことはよく調べて把握しておいたほうがよいでしょうね。
それでも、やはり景気は厳しくなるでしょうね。消費税を5%から8%に増税した2014年には5兆5000億円の景気対策が講じられましたが、それでも個人消費や住宅投資、設備投資は大きく減少。家計の購買力も低迷状態が続いたままです。
過去の増税と比べると、今回の影響度は小さいという試算もありますが、一般的な消費者にとっては打撃が大きいはず。こういう厳しい時代を迎えるからこそ、住宅やクルマに関して述べたように、情報をうまく仕入れて分析し、より慎重に消費活動をすることが賢明なのではないかと思います。