連載「モテない美学」第5回
二次会前の調子こきまくり集団、急増!
実際には春と秋が繁忙期なのでしょうが、「6月は結婚式のシーズン」という印象が根強いですね。
土日にもなると、式帰りで二次会へ向かっているような人達が道に溢れている場面に出くわします。私は、そういった「二次会へ行く人〜?」な集団、いうなれば「調子こきまくり集団」が苦手です。
構成作家という職業柄、あっちの街で会議に出て、また別の街で台本を書いて……と基本1人で都内をふらふらと巡っているものですから、そういう集団と出くわすときも当然1人。
多勢に無勢であることによる気後れかもしれませんが、1人で歩く私の目には、「二次会どうする~?」といってたむろする人たちが、“調子をこいている”ように映ってなりません。
なぜ調子を“おこきになられている”のかを私なりに考えてみたところ…
- お酒を召し上がった状態
- 久しぶりに旧友たちと再会
- 新たな(男女の)出会い
と、テンションが上がる様々な要因が考えられます。
しかし、私には「人が調子をこく最大の要因はコレだ!」と思い当たるフシがあります。
それを説明するには、30年前の話をしなくてはなりません……。
人が“調子をこく”本当の理由は……
私が中学1年生だった秋のこと。
文化祭の合唱大会で優勝した私のクラスは、学校の代表として市内の合唱コンクールに参加することになりました。
私たちの出番は、真ん中辺り。
「このあと、コンクールの舞台で歌う」という非日常感で、緊張もひとしお。その上、その緊張を増すことになる事実を目の当たりにしました。
他校の代表は、ほとんどが合唱部だったのです!
この日のために1年間、猛特訓をしてきたであろう他校の「精鋭部隊」。
それに比べて私たちは、文化祭で優勝した程度の「民間兵」。
バッチリと訓練された歌声を前に、烏合の衆である私たちはひるみまくります。
そんな気持ちで迎えた、私たちの出番。どうにかこうにか、大地を讃えて、出番を乗り越えました。ですが、問題はそのあと。
舞台から降りて、客席に戻った我がクラスの面々は、皆、極度の緊張から解き放たれた気持ちよさから、ヒソヒソと私語を交わしたり、脚を開き大きく前に投げ出したりしはじめました。そう、調子をこき始めたのです。
その時、私は気付きました。
「人は緊張から解き放たれると、調子をこくんだな…」と。
自分達の出番前までは、不良然とした同級生までもが硬く、思い詰めた表情をしていたのに、出番が終わると、普段はおとなしい人達までもがヘラリヘラリとお互いを小突き合ったりしていたのです。
そして、これと同じことが「二次会どうする〜?」「通る人の邪魔だから、みんな端っこに寄って〜!」の人達にも起きているんじゃないでしょうか? つまり…
- フォーマルな服を着る
- 明るく清潔な異空間で行われる式に参加
- 慣れない食事
これらの非日常感は、人を緊張させるには十分すぎるほど整った条件。そこから解放されたのだから、調子をこくのは自然の摂理です。私は、集団が調子をこけばこくほど、「あ、その前によほど緊張してたんだな…」と思うようにしています。
で、「緊張」と「調子こき」、どちらの状態がモテるのか!?ですが…
緊張した状態を見せてモテるのは高校球児ぐらいのもの。一般的には「調子こき」がモテます。やはり、自信に溢れている人のほうがキラキラとした生命力を感じさせて目立つので、それは当然です。
裏を返せば、調子をこかないようにしておけばモテないで済むのです。
では、どうすれば調子をこかずにいられるのでしょうか…!?
モテない毎日を刺激的にする、緊張との付き合い方
それは簡単。
日頃から、「緊張」が途切れないように心がけていればいいのです。
その点、私は、ちょっとしたことで緊張できるように、常日頃から心身を整えています。
例えば、モテなくてもお腹は減りますから、料理店などに入ります。
まず、「店員さんが私に気付いてくれるか!?」。これが最初の緊張です。
実際、入店したものの、店員さんに気付かれず、数分棒立ちになったあと、お店を出たこともあります。
無事に気付いてもらえて、席に案内されても、まだ「注文を聞きに来てくれるか!?」「“すみませ〜ん!”と声をかけたら気付いてくれるか!?」で緊張。
たとえ、注文を無事に終えても緊張は続きます。
「注文したものを持って来てくれるか!?」
私は、ファーストフード店で注文した物が1時間以上届かず、思わぬスローフードな昼食になったことも多々あります。
さらに、これは極たまになのですが、私のあとに目立つ風体のお客さんが入って来て、私と同じ物を注文する……というパターンの緊張もあります。
その場合、「店員さんは、ちゃんと私の注文を先に持って来てくれるのか!?」という緊張ももちろんありますが、目立つ方のお客さんに私より先に料理が出るのはまだ良くて、本当にドキドキしてしまうのは……。
「私の方だけ料理が出て、あちらのお客様になかなか配膳されず、それであのお客様が声のひとつでも荒げたりしたら、どうしよう…」という緊張です。
そんな時は「店員さん、私とあの人の分2つ、ちゃんと厨房にオーダーを通してくれよ!」と切に願う私がいます。刺激的な毎日です。
モテるモテないの世界から早く抜け出したい皆さんは、日頃からこうした緊張を心がけて過ごして下さい。世間の皆様が嬉々として「ビッチ」とお呼びになられているような女性に「考えすぎだよ〜!」と鼻で笑われるぐらいがちょうど良いでしょう。
連載「モテない美学」 バックナンバー
第1回「モテなかったらなにが悪い!」
第2回「モテないアナタは気遣いの達人なのかもしれない!」
第3回「モテない道とは、我を殺すことと見つけたり。」
第4回「ゴールデンウィークは、”モテない勢”のためにある!」