ライフスタイル
2019/2/25 17:00

「キッザニア」に47歳のオジサンが行ったら…社会の厳しさを体験した話

東京と甲子園で展開する、子ども向け職業体験型テーマパーク・キッザニア。

 

通常は、3~15歳の子どもを対象にし、社会の仕組みを実体験で学べる施設で、お子さんがいる家庭ではすでに定番のプレイスポットとなっています。

 

キッザニアは常時100種類以上の職業が体験できる仕組みになっていますが、これまでにとても多かったという「子どもの職業体験もいいけど、大人も体験してみたい」という声に呼応し、昨年12月(甲子園)と今年1月(東京)、「大人のキッザニア」を限定開催。チケットは即完売となり、多くの大人たちがキッザニアの職業体験を楽しんだようです。

 

かくいう筆者も、この「大人のキッザニア」を楽しみにしていた一人。現在47歳のオッサンですが、この日の様子をくまなくレポートしたいと思います。

 

 

キッザニアは3分の2の社会の縮図!?

「大人のキッザニア」が開催された1月16日。アーバンドック ららぽーと豊洲内の、キッザニアがあるフロアには、開場前からすでに大勢の「大人」たちでゴッタ返していました。圧倒的に多いのが20代と思わしき若い女性。次いで子育て世代と思わしき30代、40代の女性の姿も。

 

これは想像ですが、普段はお子さんと一緒に訪れているキッザニアに、今日は自分だけで訪れている様子。というのも、どうも皆さん勝手知ったる様子で、総じてテンション高め。皆さんにつられるように、筆者も気分が高揚してきました。

 

キッザニアのエントランスは、空港のチェックインを模した仕組みで、ここからキッザニアの施設内に入っていきます。

 

キッザニアの施設内は全て「街」として構成されており、警察、消防署、病院、銀行といった社会生活に欠かすことが出来ないものから、数多くの商業施設までが所狭しと軒を連ねています。

 

各施設では必ずなんらかの体験を出来るので、来場者の「大人」の皆さんは「どの施設に入ろうか」と考えを巡らせながら散策されているようでした。

 

↑キッザニアのエントランス。空港のチェックインを模したもので、まるで外国に行くかのようにテンションが上がってきます

 

↑キッザニアの施設内の様子。従来は子ども向けのテーマパークなので、施設も街も、すべて現物の3分の2で構成されています

 

↑キッザニアの施設内では、キッゾという通貨が発行されています。各施設で職業体験をすると、成果としてキッゾが支払われる仕組み。キッゾを取り扱う銀行も施設内にあります

 

↑やはり施設内にある商店では、貯めたキッゾを商品に替えてくれるサービスも。働いた成果が、ここで物品に替えられることを学べます

 

↑こちらは運転免許試験場。免許を獲得すると、キッザニア内で自動車を運転することができます

 

↑オートバックスでは本物の自動車のタイヤ交換などを体験できました。こういった機械に触れることが少なそうな人にとって、貴重な体験となったはず

 

↑森永乳業。様々な素材を使い、デコレーションスイーツ作りが体験できるもので、女性に大人気でした

 

↑モスバーガー。大人同士が皆で仲良くハンバーガーを制作。賑やかで和気あいあいのブースでした

 

↑施設内にはいくつかの乗り物が走っていますが、その一つがはとバス。バスガイドさんを体験できるもので、スーパーバイザー(パビリオンのスタッフ)の方から、皆さん熱心にレクチャーを受けていました

 

↑ヤクルトの科学研究所。様々な菌を観察、調べて、皆さんで報告し合っていました

 

↑各アクティビティの正面に、このカメラマークがあるところでは、有料にはなりますが、体験後の記念写真を撮ってくれるサービスも

 

 

ダントツ人気の職業体験は!?

約100種類以上もあるという、数多くのアクティビティはどこも魅力的でしたが、一際行列が出来ていたのが、全日空のキャビンアテンダント、パイロット体験のブース。

 

聞けば、通常の子ども向け体験でも、ここは予約が埋まるのが早い傾向にあるとのこと。やはり空の旅に関わる仕事は、老若男女いつの時代も筆頭の憧れの職業のようでした。

 

↑全日空のキャビンアテンダント職業体験。制服を着ると、皆さん自ずと引き締まった表情になっていました

 

↑同じく全日空のパイロット職業体験。コックピットを模したスペースで、モニタを見ながら飛行体験ができました

 

 

娘の世代の教官から、厳しい指導を受ける47歳

一通り巡って、筆者も何かを体験したくなりました。40も後半になった今、社会に最も役に立つようなこと、災害を救うような職業を体験したいと思い、消防隊員を体験することに。……しかし、これが想像以上にハードでした。

 

まず、“先輩消防隊員”のトッキーさん(明らかに筆者の娘の世代の女性)の指導が厳しく、声が小さいと「はい、小さいです! もう一回!」と、徹底して消防士としての規律を守らせます。そして、実際に火事の現場に出向くと、中腰の厳しい体制での消火活動。ここでも号令は厳守で、また大きな声で発生したり、整列したりしないといけませんでした。

 

でも、これは当然。厳しい災害の現場でニヤニヤしながらボーっと突っ立っているんじゃ、仕事になりません。キッザニアではこういった面も徹底していて、単なる遊びの施設ではない、真剣な職業体験の場であることを思い知らされる筆者でした。

↑昨日はキッザニアでは5件の出火が発生していました

 

↑この事態を受け、トッキーさんからいきなり参加者に厳しい指令がなされます

 

↑筆者にあてがわれた隊員番号は「4」。トッキーさん、そして他の隊員に対し、英語で「フォー!」と大きな声で伝えます

 

 

↑消防車に乗って現場に急行だ!

 

↑火災が起きている建物の消火活動を行い、無事鎮火。最後にはトッキーさんから褒めてもらえるという隊員たちなのでした

 

↑厳しい消火活動を終えて。職業体験を終えて話をすると、普通の女の子のトッキーさんでした(ありがとうございました!)

 

 

「大人のキッザニア」定例化は前向きに検討!?

厳しい消防隊員の職業体験を終え、キッザニアの本気度を感じましたが、今回の「大人のキッザニア」はあくまでも単発での開催。普段はあくまでも子ども向けの職業体験テーマパークです。

 

でも、これだけの人気ぶり。今後、定例として「大人のキッザニア」は開催されないのでしょうか。キッザニア東京の運営部の部長、佐藤徹太郎さんに話を聞きました。

 

――今回の「大人のキッザニア」ですが、東京と甲子園とで、どれだけの来場者がいたんでしょうか。

 

佐藤徹太郎さん(以下、佐藤) 甲子園が650名くらいで、今回の東京が800名ほどのご来場がありました。大人の方もかなり多く来ていただいたことになります。いつもは、お子さま向けのキッザニアですが、保護者の方がお子さまの職業体験の様子を見られて「私もやってみたい」「大人はできないんでしょうか」という声がすごく多かったんです。

 

そこで今回「大人のキッザニア」として特別に開催することにしました。施設は従来のままに、体格の良い中学生向けに普段から用意している大きなサイズのユニフォームを多めに用意したり、調整を加えながら、無事今回の開催に至ることができました。

 

――大人にとっても貴重な体験ができますし、実際これだけの人気となっているわけですから、定期的にやられたら良いんじゃないかと勝手ながら思うのですが。

 

佐藤 「大人のキッザニア」の定例化は、我々としても、前向きに考えていることではあります。ただ、元々がお子さま用の施設としてスタートしていますから、まだまだ調整はしていかないといけません。ですので、現時点ではまだ確実なお約束ができないのが正直なところです。

 

しかし、今回はご来場してくださった方以外からの要望も多く寄せられましたし、今後もなんらかの特別企画として開催する可能性はあると思います。ご興味いただけそうな方は、是非今後のキッザニアの情報にご注目いただければ……と思っています。

 

↑「『大人のキッザニア』定例化は前向きに考えている」と語ってくださった、キッザニアの佐藤徹太郎さん

 

何しろ100種類ものアクティビティがあるキッザニア。お子さまはもちろん、大人も一緒に通い詰めて、多くの職業体験ができる日が来ることを望むばかりです。「大人のキッザニア」の定例化は、「前向きに」という言葉もあったので、是非今後の情報にご注目ください!

http://www.kidzania.jp/