高級マンションなどにある、住民専用のジム。あるいはマンションの中にスーパーやコンビニが入っている物件もあります。こういった物件は一見魅力的に見えますが、不動産のプロ・渕ノ上弘和さんによればそうでもない場合があるそう。詳しく聞いてきました。
教えてくれた人
渕ノ上弘和さん
「資産価値」を重視した中古マンション選びをサポートする不動産エージェント、コンドミニアム・アセットマネジメント株式会社の代表。中学生の頃から不動産に興味を持ったという不動産オタクで、宅地建物取引主任者資格の講師や、大手マンション管理会社2社への勤務などを経て現職へ至る。
コストさえ妥当なら、利便性は非常に高い
渕ノ上さんによれば、そもそもマンション内にコンビニやスーパーなどの施設が併設されていることは、かなり大きなメリットがあるとのことです。
「コンビニ・スーパーは単純に事業者にそのスペースを貸しているケースが多いので、デメリットは正直ありません。稀に管理組合で補助をしてコンビニを誘致するケースもありますがそこまで負担が多いかというと、そうではないですね」(渕ノ上さん)
しかし、ジムについては検討の余地があるそう。
「全てのマンション住民専用ジムが無駄というわけではありません。妥当なランニングコストの範囲内であればそこまで大きな負担にはならず、居住満足度をより高めるものとなるないのも事実です。マンションご購入者に実際にインタビューをしても、その利便性の評価はとても高いケースが多いです。
ただし、ランニングコストが大きくかかるケースでは議論が生ずるケースはあり、それは全体戸数のバランスによる部分が大きいのが実際です。戸数が多いマンションであればあるほど、1戸あたりの負担は小さくなります。また、そもそもジムのような施設をマンションに求めていない方からは、やはりネガティブな意見があります。やはり、居住されている住民のニーズによるところが大きいですね」(渕ノ上さん)
コストを考えた堅実な選択を
渕ノ上さんが考える、ジム付き物件のメリットは、「ジムへの移動コストが限りなくゼロに近づくこと」、そして「ジムに通ったら本来発生する会費等」が不要になることです。
ただマンション付帯設備のジムについては、「通常のジムほどの設備がないケース」や「いつもご近所の方と会うため何となく気を使ってしまう」といった状況が生じ得るため、そこの見合いをどのように考えるかによるでしょう。
「一般的なジムの月会費は1万円程度であるかとは思いますが、近所のジムに通う際のコストを算出した上で、以下のステップで妥当性を検証した方が望ましいです」(渕ノ上さん)
- ジムがない同等のマンションと比べて管理費等(管理費・修繕積立金)の差がいくらになるか
- 外部のジムに月額会費を払って通うとしたらいくらまでなら払うか
また、非常に人気の高い「プール」「スパ」といった、多くの水を要する施設については、どうしてもランニングコスト(管理運営・修繕必要性の両面)が高くなる傾向にあります。
マンションの管理組合に問い合わせをして、管理費としてはどれだけの費用が費やされているか、マンションの修繕計画を示す「長期修繕計画」上でどれだけの修繕コストが想定されているか、等を軸に丁寧に検討をするとその費用対効果は見えやすくなります。
そして、あなたがジムにずっと通い続けられるとも限りません。マンションに入っているジムのランニングコストがずっとかかり続けるとしたら、その場合は無用な出費にもなり得ます。コストを考え、堅実な選択をするようにしましょう。