「衣替え(ころもがえ)」とは、次の季節を前に、夏物衣料と冬物衣料を交換すること。正直、ちょっぴり憂鬱な気持ちになる人が多いのではないでしょうか? だからと言ってやらないわけにもいかないし、クリーニングにあれもこれも出すのは、手間も経済的にも負担がかかります。そこで、いつもの洗濯にちょっとの“ひと手間”を加えるだけで、衣類がグッと輝く洗濯の基本と、冬物と夏物衣料を衣替えする前の手入れのコツを紹介します。
前回は、洗濯王子こと長野県のクリーニング会社「芳洗舎」3代目である中村祐一さんに、洗濯の基本と冬物衣類の衣替えのポイントを教えていただきました。
今回は、夏物衣類の衣替えについて。夏物衣類は、レースやリネンなど洗濯に弱い素材も多いので、「クリーニングに出さざるを得ず、どうしてもコストがかさんでしまう……」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。洗濯の基本と工程は、冬物と同じですが、おさらいをしながら、夏物衣類の衣替えで気をつけておきたいことを紹介します。
洗濯の基本をおさらいしよう
前回も紹介しましたが、洗濯の基本工程は以下の7つです。
①下洗い ②洗い ③すすぎ ④加工(柔軟剤やノリ加工) ⑤脱水 ⑥乾燥 ⑦仕上げ
そして、洋服についている洋服の取り扱い説明書こと「洗濯表示タグ」を見て、素材にあった洗濯方法で洗濯してあげることも重要。そもそも自宅でケアできる衣類なのかをチェックした上で、洗濯するように心がけましょう。
また冬物と同様に、衣替えは「しまう前に洗う」が基本。夏物は特に汗をかいて、直接肌に触れた衣類が多いので、黄ばみ予防のためにも一度洗濯したものでも衣替え前に手洗いでしっかりケアしてあげることで来シーズンも活躍してくれるようになります。
では早速、夏物衣料の衣替えの際のポイントを見ていきましょう。
夏物衣類の衣替えで気を付けるポイント
夏物衣類は、洗濯する機会も多いので「この前、洗濯したから」とそのまましまってしまう人も多いかもしれませんが、それでは衣類トラブルを招きやすいので、衣替えに合わせた洗濯を行いましょう。
ポイント1. 肌に直接触れた部分は「下洗い」を重点的に
中でも「下洗い」は重点的に。水では落ちにくい皮脂汚れは、ぬるま湯(30〜40℃)を使うと簡単。また襟元や袖口、脇などすでに汚れが気になる部分は「部分洗い」を重点的に行います。液体洗剤を直接衣類につけ、ブラシでなじませる(傷がつきやすい素材は、ブラシの背で)だけでOK。白Tシャツなど全体の黄ばみが気になるものであれば、粉末洗剤を使った、つけおき洗いもおすすめ。皮脂汚れをしっかり浮かせてくれます。
ポイント2. 色落ちしやすい素材やプリーツの素材は、一部だけ濡らしてから
これは初めて洗濯する衣類でも共通していますが、濃い色を使った衣類を洗う場合、色落ちをしてしまわないか、事前に確認してから洗濯を始めます。一部分だけを水で濡らしてみて、濃い色からぼわ〜っと色が滲み出る場合は、色落ちしてしまう可能性があるので、クリーニング店でお願いしましょう。
またプリーツ素材などひだ加工がされているものも、熱や洗剤成分によってとれてしまうものもあるので、端を少しだけ濡らしてチェックしてみましょう。
ポイント3. 洗剤選びも重要
いつも使っている洗剤は、どのように選んでいますか? どの衣類にも、なんとなく同じ洗剤を使っているかもしれませんが、素材に合わせた洗剤選びが大切です。
基本的に洗剤は3種類。
・粉末洗剤:洗浄力が強い洗剤
・普段着用洗剤:標準的な洗剤
・オシャレ着用洗剤:衣類に優しい洗剤
ひどい汚れがある場合や、黄ばみを予防するためのつけ置きには、粉末洗剤がおすすめですが、洗浄成分が強いとその分衣類も傷みやすくなるので、素材に合わせて洗剤を変えていくことがおすすめです。
ポイント4. おしゃれ着は、なるべく手洗いで
これは冬の衣替えとも共通しますが、服の個性を把握するためにもまずは手洗いで洗濯を。洗濯おけがなくても洗面台に水を溜めたり、洗濯機の中で洗ったりしてもOKなので、家にあるものだけで始められます。
またゴシゴシとこする必要はなく、表面についているホコリや水に溶けやすい汗は、水と洗剤の力で漬けておくだけでもOKです。
汚れ具合も目に見えるので、洗う回数やすすぎの回数も手洗いだと自由自在。また洗濯7工程の「⑤脱水」は、洗濯機にお任せ。1回の脱水は素材にもよりますが、1分前後で大丈夫です。
基本的なポイントを押さえたところで、次のページでは、夏物衣類に使われる4つの素材を紹介しながら、洗濯が簡単にできる難易度順に洗濯方法をお伝えします。