ライフスタイル
2015/7/10 14:00

トイレで気づいた「ちょっと面倒な人がなぜかモテる理由」

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いきなりですが、私は幽霊かもしれません

世界で最もせつない言葉のひとつに「俺も、そこにいたよ」という一言があります。

 

例えば、飲み会などの翌日。

「そこでさ〜、アイツがこんなこと言い出して〜」

と、威勢良くしゃべる友人の話をあらかた聞き終えて、一段落ついたところで……

「俺も、そこにいたよ」

とくる、アレです。

 

そして、私、この「俺も、そこにいたよ」を口にする機会に大変恵まれております。

そう、時々、自分でも「俺はもう死んでるんじゃないかな?」と感じるほどに、存在感が希薄なんです。

 

決して、大げさに言っているわけではありません。

存在感を出そうとしても出せないので、もはや諦めています。

 

Facebookで同じ高校出身の女性から

「私、ゴウくんと同じクラスになったことないよね? もし、同じクラスになったことあったらごめんね。最近、物忘れがひどくて…」

と、手厚いケアの施された「友達申請」を頂戴したときも

「それはしかたない」

と冷静に対処できるようにメンタルを仕上げています。

 

挙句の果てに、最近、世の中に増えてきたタッチパネルやセンサーというモノにすら反応されない事態がとみに増えてきました。

 

まずは、自動ドア。

何人かでコンビニエンスストアへ向かい、店内に入ろうとしたとき、最後尾にいる私のところでしばしば、自動ドアが閉まります。

 

つい、この前も、東京・赤坂のお店でこの現象が起こりました。

「ピンポーンピンポーン、ゴスッ! ガガガガガ……」

2人ぐらいの男性に続いて、私が入店しようとしたら自動ドアに挟まったときの音です。

 

挟まったときは恥ずかしいので、なんでもない顔をして平静を装ってはいますが、なかなか痛いものです。恥ずかしさとやり場のない怒り、そして痛み……という思春期の心模様のような状態で買い物を済ませることになります。

 

さらには、銀行のATMです。

操作はタッチパネルで行うわけですが、コレも反応してくれないことが多々。ときには、反応されないままあまりに時間が経ったものですから、「コイツ、他人のキャッシュカードを使ってるんじゃ……」と機械が疑いを抱いたのか、「取引ができません」みたいな文字が画面に表示されたこともあります。こんな風に、機械にすら存在を認めてもらえないと「俺、死んでるんじゃ…」と思ってしまうことがあっても仕方がありません。

 

そこで、こんな幽霊のような日々がいつ始まったのかと振り返ってみたところ、それはデパートなどのトイレの蛇口がセンサーに変わった辺りからでした。

 

蛇口の下に手を差しのべても、ジャーーッと来ない。最初は、おずおずと差し出すから反応しないのかと思い、勢い良くバッと手を出したりと試行錯誤をしたものの無反応。

 

また、同じくトイレで、センサーで水を流す便器。アレが反応してくれない時が一番途方に暮れます。

 

用を終えて、いざ、センサーへ手を近づけても水が流れないんです。だいたい、あの手のセンサーって「5cm程に手を近づけて下さい」と書いてありますから、それくらいの距離で手をかざすのですが……。5cm、反応しない、4cm、まだ流れない、3cm、2cm……ときて、ついにはセンサー部分に手をピタッとつけます。それでも反応してくれません。

 

もう本当に自分はこの世にいないんじゃないか……でも、そうするといま、用を足した自分は何なんだろうか……

古来、トイレは思索に最適な場所とされていますが、はからずも、「私の存在とはそもそも何なのか」という哲学的な思いを巡らせてしまいます。

 

しかしそこで、このトイレに「モテる」「モテない」を分ける何かが隠されているんじゃないかと気付いたのです。

 

 

ちょっとやっかいなヤツこそモテる!

少し洒落た居酒屋やレストランなどに行きますと、トイレの内装も凝っていることが多くあります。たとえば、便器と、その水を流すためのボタンやセンサーが離れて設置されています。なおかつ、その空間が南の島風だったり近未来風だったりすると、水を流すボタンやセンサーも内装に目立たないように溶け込んでいたりします。なので、「これ、どこで水を出すの??」と戸惑うことがしばしば。全くもってユニバーサルデザインではありません。

 

しかし、なぜこんなに分かりにくくするんだろう……というイライラも、ようやくスイッチを探り当てて、水が出たときの喜びで押し流されてしまいます。

 

ポイントは、このイライラからの解放です。取っつきにくさが喜びに変わる、その変化が「モテ」につながるのです。

 

分かりやすい例で言えば、普段は話しかけづらい雰囲気を漂わせている人が、ふと微笑んだりしてくれるとキュンと来る。モテ教の人達が頻繁に唱えている「ギャップ」というやつですね。

 

思えば、私は極度に嫌われたくないからか、物腰は柔らかめ、肌触りもなめらかで、お日様をたっぷり浴びたバスタオルのようなフワフワ仕上げで生きています。少し良いように言い過ぎましたが、人との衝突をさけるために角を立てないように暮らしているのです。

 

しかし、ちょっとぐらいチクッと刺さるところがあったほうが、どうやら存在感は出るようですね。意のままにならない相手のほうが、より気持ちをかき立てられる。

 

居酒屋のトイレが慣れ親しんだノーマルなデザインであったならば気にとめることもなく、あとで思い出すこともないでしょう。ところが、ちょっとやっかいなトイレはそのデザインを覚えているんです。

 

ちょっとした困難から解放されたことによる快感。

そして、そのカタルシスがモテをもたらす……。

これこそが、「面倒な人のほうがモテる」理由です。

 

逆に言えば、モテない勢の皆さんは「自分は面倒臭いヤツではない」と自信を持っても良いと思います。あ、でも、自信を持ちすぎるとモテてしまうので、ちょっとだけの自信にとどめておくのを、オススメします。私は。

 

 

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